平田:まずは自己紹介を兼ねてこれまでのご経歴と、現在どんな仕事に就いておられるのかをお聞かせください。
伊藤忠商事で医療・ヘルスケア事業を担当
B:私が国際関係学部に入学したのは、1999年のことです。在学中は1年間休学してロシアに留学しました。2004年、伊藤忠商事株式会社。最初に配属された機械カンパニーの新機能・事業推進部という部署では、先端技術や最新サービスをビジネスに変えていく仕事に携わりました。その一つとして、家庭用ロボットの事業化に携わりました。家庭用ロボットを販売するにはどんな市場やルート、販売手法が有効か、メーカーや他の商社の共同で事業調査を行い、事業化の可能性を模索しました。結局、事業化するまでには至りませんでしたが、新しいビジネスをつくるプロセスを実体験し、プロジェクトマネジメントなどビジネスに必要な力を鍛えることができました。
2006年には、子会社の医療機器輸入販売会社へ出向し、手術用の医療材料や医療機器の輸入販売を手がけることに。この期間に、アメリカでの海外実務研修を経験。帰国後は、製品開発やマーケティングだけでなく、実際に病院を訪ねて製品を販売する営業も経験しました。2011年に伊藤忠商事に復帰して以降は、これまで医療・ヘルスケア分野でのビジネス経験を生かし、海外での新規医療サービス事業の開発を行っています。
トレーディングから事業運営まで経験
A:私は国際関係学部に在学中、日米の両大学の学位を取得できるAU-DUDP(アメリカン大学学部共同学位プログラム)に参加し、2年間アメリカン大学での留学し、国際政治経済学を勉強しました。留学中にさらにベルギーへの留学も経験しました。商社に入社して最初の1年間は、化学品のトレーディング、いわゆる貿易の仕事に携わりました。アメリカから化学品を輸入し、国内で販売するのが主な仕事です。加えて入社2年目からは、日本のメーカーが作った製品をアメリカやアジア、ヨーロッパへ輸出・販売する仕事も手がけるようになりました。成長著しい中国マーケットに目を向け、中国市場への販売を始めたのも、この頃でした。そうしたトレーディング業務と並行して、当社が出資している事業投資先メーカーの事業戦略の立案や運営管理も任されるようになりました。社長や副社長と会社の方向性について議論し、戦略を練り、実行に移すのが私の役割。その企業で作った製品は、当社を通じて販売していましたから、製品開発・製造から販売まで、事業全体を見ることができ、いい勉強になりました。さらに入社8年目を迎えた2012年からは、新規海外投資先のプロジェクトの立案・実行を担ってきました。
住友商事で油井管の貿易に携わる
北野:私もAさんと同じく、AU-DUDPに参加し、2年間、アメリカン大学での留学経験があります。2011年に住友商事株式会社に入社し、今春3年目を迎えました。入社以来ずっと油井管事業部に所属し、石油やガスを採掘する際に使われるパイプのトレーディングに携わっています。
今春丸紅に入社し、目下研修中
深田:私は、ほんの数ヵ月前に立命館大学を卒業したばかりです。在学中は、1年間休学して中南米に留学しました。丸紅株式会社に入社し、金属部門に配属されましたが、今はまだ研修中。実際の仕事が始まるのはもう少し先です。
平田:Bさん、そしてAさんのお話を聞いて、配属される部署や仕事内容はめまぐるしく変わるんだなという印象を受けました。部署の異動は、自分から希望したのですか。また部署が変わっても仕事に一貫性を感じることはできるのでしょうか。
出向先では自ら営業も買って出た
B:私は出向が決まった時、自分から営業の仕事を買って出ました。製品管理やマーケティングの仕事だけでは、最終ユーザーと接する機会はほとんどありません。せっかくなら現場で医療業界や製品についての知識をしっかりつけたいと思ったのです。病院を回り、医師に製品を説明し、購入していただく地道な仕事。海外を飛び回っている同期と話をすると仕事内容に驚かれるほどでしたが、貴重な経験をさせて貰いました。その経験がいま本社で取り組んでいる業務にも活かされていると思います。
業務は多岐にわたってもビジネスの根本は揺るがない
A:商社の扱っている商品は多岐にわたるので、一貫性がないように思えるかもしれませんが、ビジネスの根本は同じです。それはメーカーとユーザーをつなげること。部署が変わっても、その根本が揺らぐことはありません。
平田:商社の仕事って、扱う商品が特定されないために、スケールは大きくても漠然とした印象を受けますね。
B:確かに、仕事が多岐にわたっているので、私たちの仕事を一言で説明するのは難しいですね。
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