平田:商社を志望することになったきっかけはなんでしょうか。
国際関係に関わり、問題提起できる仕事を志望
B:国際関係学部で勉強し、とりわけ国と国との関係がどうなっているのかといった国際関係に対する関心が高くなりました。商社を志望したのは、グローバルにビジネスを展開していて、自分なりの視点を持ちながら国際関係に対して問題を提起するような仕事をできるのではないかと感じたからでした。
情報を発信するだけでなく、自らアクションを起こすことに関心
A:私は、国際政治経済学を勉強したことから、当初は新聞記者を志望していました。新聞社でインターンシップを経験したことで、路線を変更しました。メディアの役割は、情報を集めて発信すること。それはとても重要な仕事だけれど、私のやりたいこととは違うと感じたんです。私は集めた情報を自分なりに解釈して、それを元にアクションを起こす。そんな仕事をしたいと思っていました。そこで魅力的に映ったのが、商社でした。
発展途上国に必要なのはビジネスと感じ、商社へ
北野:私は小さい頃から発展途上国の貧困問題や開発支援に関心を持っていました。それができる仕事として思い浮かんだのが、JICAなどの国際機関や国際的なNGO団体でした。大学でAU-DUDPを志望したのも、そうした機関で働くには、英語力が不可欠だと思ったからでした。アメリカン大学に在学中、西アフリカのガーナに約4か月間、留学したことが転機に。途上国での暮らしを自分の目で確かめ、「『援助』で途上国は発展するのだろうか」という疑問が湧いてきたんです。「この国に足りないのは、援助ではなく、ビジネスなのではないか」と思ったことから、「ビジネスで途上国の問題にアプローチしたい」という気持ちが少しずつ大きくなっていきました。「NGOも行けないような途上国に私自身が行って、ビジネスをつくることができたら楽しいだろうな」と思ったことが、商社を選ぶ決め手になりました。
インフラ整備など大きな視点で途上国を支援したい
深田:私も北野さんと似ていて、元々途上国の援助などに興味があります。大学時代は学生団体を立ち上げ、途上国援助活動に取り組んでいました。けれど、学生の私たちができることはとても小さく、いつしか「雇用促進など多くの人の助けになるような仕事に携わりたい」という思いが膨らんでいきました。就職活動では、発展途上国のインフラ整備などに携われる業種に絞り、総合商社の他、重工メーカーや総合電機メーカーなど受けました。最終的には、人とモノとつなげる仕事に魅力を感じて商社を志望しました。
平田:今でも援助機関よりも、北野さんご自身の企業の方が途上国に貢献していると感じますか。
北野:正直に言って、日々の仕事の中で途上国に貢献していると感じることは、難しいですね。いま所属している部署でそうした事業を手がけていないということももちろんありますが、たとえ途上国のインフラを整備するような部門にいたとしても、日々の仕事の中心は、たとえばプラント建設を受注するための書類作成など。けれど広い視野で見た時、企業として途上国に貢献していると感じることはできます。
深田:同感です。私がこれから配属される部署でも業務で途上国に貢献していることを感じるのは困難でしょう。けれど、会社としては途上国に貢献するさまざまな活動に従事しています。与えられた場所で仕事を全うして利益を出し、会社を維持することが、結果的に途上国に貢献することにもつながると思っています。
平田:商社とメーカーは、扱う商品の種類が似ているように感じられることがありますが、両者の一番の違いはなんですか。
B:商社の商売には、さまざまなやり方があります。メーカーの代理店となる場合もあるし、販売先の顧客の代理店、すなわちバイヤーズエージェントになる場合もある。たとえばお客様が何か設備を購入したいと考えた時、もしメーカーに尋ねたら、自社製品しか提案されないでしょう。しかし商社なら、この使い方ならこの企業の製品が良い、あるいはファイナンスもサポートしますなどと、お客様の立場になって多様な方策を提案することができます。
A:モノを作らないからこそ自由にできることもあります。頭を使って、情報を駆使して、ビジネスを作っていくのが、商社の仕事です。
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