清水:国際関係学部の学生は、外資系企業や商社など、海外に関わる機会の多い民間企業への志向が強く、地方公務員を志す学生は少ないのが現状です。そうした風潮の中、皆さんはどうして地方公務員を志望されたのですか。
一企業の利益より、より多くの人ために働きたい
藤田:確かに学生時代、私の周りも民間企業を志望する人がほとんどでした。私も民間企業でのインターンシップに参加したことがあるんですが、実際に見てみると、私の希望する働き方とは違うなと思い公務員の道を選びました。民間で自社の利益を上げるということよりも、社会のより多くの会社や人々が利益を上げることに貢献したいと思ったからです。もう一つ、私の両親が公務員で、公務員という選択肢が身近だったことも大きいですね。
地方での就職を考えた時、選択肢は限られる
鈴木:私の場合は、民間か公務員かという以前に、まず大阪や東京といった大都市で働くか、青森県に戻るかを考えなければなりませんでした。地元・青森で仕事をしたいと思った時、民間企業の採用がそもそも非常に少ないのが現実です。とりわけ当時は、震災直後で民間企業への就職先はほとんどありませんでした。地元に戻ると決めた場合、地方になればなるほど現実問題として公務員という選択肢が大きくなると思いますね。
「おもしろそう」との期待感で地方公務員に
酒井:私の場合、きっかけの一つは、学生時代に環境問題を勉強するゼミで「地方行政から環境を考える」というテーマで卒業論文に取り組み、地方行政に興味を持ったこと。また当時三重県は改革派として知られた北川正恭氏が知事を務めており、「おもしろいことができそうだ」という期待感も大きかったですね。
清水:酒井さんは学生時代、ESSに、原田さんは模擬国連に所属されていたそうですね。英語を生かした仕事をするために、商社や外資系企業という選択肢を考えませんでしたか。
地方自治体でも国際的な仕事はたくさんある
酒井:英語が好きで勉強していたけれど、特にそれにこだわった就職活動はしていません。だたし、グローバル化は地方自治体にとっても無縁ではありません。地方公務員として働いていても、さまざまな国と関わる機会はたくさんあります。私も三重県に就職してすぐ、海外からの誘客を目的にアジアの旅行会社の人達を県内各地へ案内したり、ロンドンにも出張したり、現在も知事の随行で海外へ行くなど、期せずして外国とつながる仕事にも多く関わるようになりました。三重県は今年、姉妹都市であるブラジルのサンパウロ州と提携40周年を迎えます。そのための記念行事への出席や、さらなる連携強化、企業誘致の交渉のため、8月には10日間にわたってブラジルに赴く知事に随行する予定です。今になって、さびついた英語力をもう一度磨かなければと思っているところです。
鈴木:青森県でもたとえば、韓国との交流機会があります。青森と韓国のソウルを結ぶ航空便の搭乗者を増やすために、知事が韓国に赴くことも。私も先月、空港で地元の特産品PRを行いました。
藤田:国際的な関わりの多少は各県によって異なります。滋賀県は、国際的な仕事は少ないですね。
原田:神戸市は154万人の人口のうち、約130ヵ国4万数千人もの外国籍の方が占めており、市役所でも国際的な仕事はたくさんあります。私も入庁1年目に英語教育に関わる業務で英語を使う機会がありましたが、それ以外にも国際会議等の神戸への誘致活動など英語が求められる業務も数多くあります。私も、いずれはグローバルな仕事に携わりたいと思っています。
|