私の大学生活の前半はいたって平凡なものでした。1、2回生の頃は、もちろん授業にはきちんと出ていましたが、アルバイトとサークル活動を中心に生活していました。
しかし、2回生の終わり(2月から3月)に、文化交流プログラムでアメリカのイリノイ・カレッジ(Illinois College)に短期留学したことがとても刺激になりました。それまで学部で国際政治、経済、文化を勉強していましたが、異文化を五感で体感したことはそれまでの2年間の勉強以上にすばらしい経験でした。憧れていたアメリカという国の姿を肌で感じ、向こうの大学生の日本に対する興味関心の高さを知ることができましたし、伝えたくても伝えきれない自分の英語力の無さを痛感もしました。そのプログラムでいろいろな事を学びながら、私は「世界を舞台にした仕事に就きたい」という思いを強め、外交官への道を目指すことを心に決めたのです。
また、私は、3回生から始まるゼミでは、国際法を勉強するゼミを選択しました。実は、私はそれまで支えてきてくれた両親や家族に、大学で勉強したことを一つの成果として見てもらいたいと思っていましたので、国際法が試験科目となっている外務省職員採用試験に現役で合格することを目標に掲げました。そして、3回生から大学の公務員試験対策講座を受けたり、自習室や図書館で夜遅くまで勉強しました。
当時、学部での印象深かった授業のひとつに、イスラエルとパレスチナの紛争を扱った授業がありました。その授業で先生が、将来どのような形で和平が実現できるか、イスラエルとパレスチナの二国家併存か、ひとつに纏まるかなどいくつかの解決策を紹介してくださいました。選択される策によって、当事者達の運命は大きく変わる重要な話であり、最善の策を目指して話し合いをしていく、まさにそこに外交の醍醐味があるのだろうなと感じたのを覚えています。それまでは、その紛争は遠いところで起きている大変なことくらいにしか認識していませんでしたが、その時の授業は非常に印象的でしたし、結果として私は外務省でまさにこの地域の担当として仕事をするようになったのも、こういった授業で感じたことの影響なのかもしれません。 |