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Studying in the JDP

JDPで学ぶ
「グローバル国際関係学」とは何か
安高 啓朗准教授

JDPでは、4年をかけて「グローバル国際関係学」の修得を目指している。グローバル国際関係学は何を学ぶもので、そもそも国際関係学とはどこが異なるのか。批判的国際関係理論が専門の安高啓朗准教授が語る。

Episode01

国際関係学への批判から生まれた
グローバル国際関係学

グローバル国際関係学とは、国際関係学に対して批判的な立場からアプローチする学問です。では、国際関係学とは何かというと、第一世界大戦後のヨーロッパで生まれ、第二次世界大戦後のアメリカで発達した学問です。こうした経緯から、ヨーロッパの経験や歴史が理論のベースで、おもに戦争や平和などのテーマから、国と国との関係について理解することを進めてきました。しかし、国際関係学の研究が発展する中で、政治だけでなく、文化や経済、宗教などの側面も含めて、より包括的に国と国との関係を考えるようになります。そうなると、従来のヨーロッパなどの西洋的な観点からだけではとらえきれなくなり、生まれたのがグローバル国際関係学ということになります。

Episode02

新たな学問を共に
立ちあげていくことができる分野

このように西洋的な観点だけでなく、非西洋的な観点からも国と国との関係について考えることは重要ですが、両者のどちらを選ぶのかといった、単なる二項対立に陥るのでは意味がありません。例えば、イスラームのような非西洋的な視点を取り入れながらも、それを乗り越えることがグローバル国際関係学の課題となっています。その意味で、グローバル国際関係学はまだまだ発展途上の学問なのです。逆の見方をすれば、発展の最前線立てる学問であり、学生でも主役になる可能性があるダイナミックな側面を持った学問でもあります。

Episode03

京都とワシントンD.C.で学ぶ中で
養いたい「批判的視座」

気候変動やコロナ禍をはじめ、世界の課題には正しい答のないものが少なくありません。国と国との関係も同様で、西洋、非西洋にとどまらず、多様な視点から考える必要があります。その際に大切なのは「批判的想像力」です。批判的といっても「あら探し」ではなく、常識や支配的な見方に対して疑いの目を向け、自分なりの意見を見つけることが求められます。

つまり、批判的視座を獲得することが重要なのです。批判的視座を身につけることは簡単ではありませんが、JDPで西洋の中心であるアメリカと、西洋と東洋の間で揺れ動く日本という異なる環境で学ぶことによって、異なる視点や考え方を体感することはできると思います。

アメリカで学ぶ中で、必ず問われるのは、日本の考えはどうなのか、そもそも日本とは何かということ。それに答えるには、日本人としてのアイデンティティや、歴史や文化に関する知識を身につけることが必要で、それは京都で学ぶ中で養うことができます。アメリカン大学の学生も同様のことを問われるはずです。それが京都とワシントンD.C.という180度違う環境で学ぶ意義であり、それぞれの社会に身を置く価値といえるでしょう。