教員紹介

Yujiro KISHIMOTO

岸本 雄次郎

岸本 雄次郎
専門
信託法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

異なる人に帰属する複数の財産が、契約で、あるいは偶発的に混じった場合の、その混合財産に対する権利の行方が研究テーマです。Aさんが所有している物と、Bさんが所有している同じ種類・同じ品質の物が混ざることにより出来上がった混合物の所有権は誰にあるのかということが基本です。

最近は、複数の人に帰属すべき金銭が1つの普通預金口座に入金された場合の各員の権利の行方を主要なテーマにしています。平成28年12月19日に最高裁の大法廷が、相続の際は複数の相続人による預金債権の共有を認めたと解される決定をしました。それは相続の場合にだけ特別に認められるのか、あるいは広く一般的に認められるのかを研究したいと思っています。

どんな学生時代を送っていましたか。

大学時代の友人たちが一様に「お前が大学で教えられることがあるのか?」と言うほど、学習には親しまない学生でした。もっとも、卒業所要単位を取得することに苦労した覚えはありません(優秀な成績を取り続けていくことはかなり大変ですが、卒業できるだけの単位を取得する程度のことは、単なる事務といえましょう。事務すらできない人は仕事の遂行能力を疑問視されてしまいます)。

学友や先生方からの刺激もあり、読書量はかなり多かったと思います。因みに「すぐ役に立つ本はすぐ役に立たなくなる本(小泉信三『読書論』)」です。

また、大学正課の中でもゼミ(民法財産法)だけは真剣に活動を行いました。その恩師からは、卒業後も30有余年にわたって薫陶を受け続けております。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

信託法という法律が存しますが、民法財産法と併せ、これを専門分野としています。信託法は、民法の特別法に位置づけられます。大学卒業後は信託銀行に勤務しましたので、信託業および信託法に携わりました。大学のゼミで研究した民法と、卒業後に業務で取り扱った信託法の両者を現在の専門分野としているわけです。

契約で、あるいは契約外で他人に管理を委託した財産が、管理者の破産の影響を受けて返還されないことが起こり得ます(成人の日の振袖業者騒動は記憶に新しいでしょう)。しかし、管理委託された財産が管理者の破産から原則として保護されるのが信託の特長です。管理者の破産からの救済の可否は、広く民事法全体に通底した大きなテーマであります。

受験生のみなさんへのメッセージ

法学は、「説得の学問」と言われます。説得性を欠く発言は誰も相手にしませんから、生きていく力を涵養する学問領域なのです。さらに、社会に出てもいろいろなシーンで役立つ実学でもあります。

ところで、高校までの勉強は、作問者が準備している正答そのものを回答できるように努力することだったと思います。だけど、大学での学問はそうではありません。答えは1つとは限りませんし、問題点の発掘さえ学生自らが行うべきところです。大学で自ら学び自ら最適解を導き出す力をつけましょう。

おすすめの書籍
一歩の距離城山 三郎(角川文庫)

経歴・業績について