教員紹介

Kouji ADACHI

安達 光治

安達 光治
専門
刑法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

ドイツの共謀罪について研究しています。日本の共謀罪は、犯罪組織の活動として特定の犯罪を計画する「テロ等準備罪」として2017年に作られました。この罪は、テロ組織や暴力団などの違法な活動を処罰するものとされます。しかし、処罰対象となる集団が明確でないため、労働組合や市民団体の活動が取締りの対象となることも危惧されます。そこで、共謀罪の成立範囲をいかに限定するかが重要です。こうした視点から、日本の刑法が強く影響を受けているドイツ刑法を対象として、共謀罪の歴史や解釈上の問題について研究しています。

どんな学生時代を送っていましたか。

高校時代は、クラブ活動でバレーボールばかりしており、学校できちんと勉強した記憶があまりありません。ただ、社会問題への関心は高く、社会科だけは分野を問わず得意でした。大学時代は一転して、よく勉強した方だと思います。ゼミなどの授業では、自分の発表でないときも予習をして積極的に発言していました。また、法律討論会と法律相談を行うサークルに所属して、基本書や論文を読んだり、仲間と夜遅くまで議論したりしていました。刑法の研究者になろうと思ったのも、この時の活動がきっかけでした。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

父親が警備員の研修をする仕事しており、そのときに父が使っていたのか、「罪刑法定主義」などの刑法の専門用語を小学生のころから聞いていました。刑事法を志したのは、もちろん大学に入ってからで、岩波新書の『日本の刑事裁判』(青木栄五郎著)を読んだのがきっかけです。この本では、日本の刑事裁判がいかに問題であるかが、具体的な事件に即して説明されています。それで、「刑事司法を何とかできないのか」と思い、勉強を始めました。その際、「刑事訴訟法を知るにはまず刑法から」ということで、刑法の勉強をしているうちに面白くて抜けられなくなりました。でも、刑法への関心は、たぶん子どものころの体験も関係していると思います。

受験生のみなさんへのメッセージ

刑事法は、みなさんの関心が比較的高い分野だと思います(そのため、大学教員になってからほぼ毎年、高校生の人たちに授業をしています)。ただ、そこでの関心は、「犯罪が凶悪化している」とか「少年非行が増えている」といった床屋談義的なものでしょう(私はこれを「床屋刑事法談義」と呼んでいます)。それでも、関心を持つことはよいことなので、そうした方は、法学部の学びを通じて、床屋談義から刑事法への確かな理解に高めてもらえればと思います。

おすすめの書籍
共謀罪批判―改正組織的犯罪処罰法の検討法学セミナー編集部(日本評論社)

経歴・業績について