教員紹介

Ichiro TADA

多田 一路

多田 一路
専門
憲法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

専門は憲法です。憲法とは、基本的人権の保障体系と統治システムの総合的な法体系だと理解しています。基本的人権は法的権利なので、当然、裁判所による保障がなされるべきです。しかし、裁判所に持ち込んだ時には手遅れだったり、そもそも裁判所に持ち込もうとすることそれ自体が「負担」になったりする場合があります。裁判所での解決は結局、「最終手段」なのです。だったら、その前に権利が実現されるほうがいいと思いませんか?
そこで、何らかの理由でそもそも権利主張ができない人に、実際に基本的人権を保障ないし実現するためにはどうしたらいいのか、裁判所にたよる前の段階での統治システムで、何とか権利実現するすべはないのか、ということを、「社会的民主主義(≠社会民主主義)」という概念をカギと考えて研究しています。

どんな学生時代を送っていましたか。

社会科学系研究サークルで、いわゆる「名著」と呼ばれるものを読み漁っていました。ルソー『社会契約論』、マルクス『資本論』、ロック『統治論』(後編のみ)……。マックス・ウェーバーはあまりよくわからず、アダム・スミスは途中で挫折しました。そのほか、学生自治会の活動に、病院での夜勤アルバイト。後者では、急性アル中で運ばれてくる同じ大学の学生を相手したり、深夜に病室を抜け出す入院患者さんを看護師の指示で探しに行ったりしました。さらに、社会人のバレーボールクラブに入って毎週日曜日に練習、練習後には終電まで飲み会か麻雀、といった生活でした。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

高校生の時に、新聞紙上で杉原泰雄先生(当時、一橋大学)のインタビュー記事を読んだのが最初のきっかけです。どんな内容だったかはもう忘れてしまいましたが、この先生の大学に行こう、と決めました。その話は憲法の話だったので、それで宮澤俊義『憲法講話』(岩波新書)を通学の電車で読みましが、全く理解できませんでした。だけど、当時、首相の中曽根康弘さんが「日本列島を不沈空母に」と発言した(事実ではないという説もありますが)と報道されるような政治状況で、「もう憲法しかないな」と思い込んでしまったのです。

受験生のみなさんへのメッセージ

「よく学びよく遊べ」という言葉がありますね。私はこの言葉が大好きです。遊びが足りない時には遊び、学びが足りない時には学ぶ。ダイガクっていうのはこういうところだと思います。「学び」も「遊び」も「社会の矛盾」も「あきらめない」。これが大学生活を豊かにします。

おすすめの書籍
『KENが「日本は特別な国」っていうんだけど……』ケン・ジョセフ・ジュニア、荒井潤(トランスワールドジャパン)

経歴・業績について