教員紹介

Kenichi UEMATSU

植松 健一

植松 健一
専門
憲法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

憲法とは、「一人ひとり、かけがえのない個人」を出発点として、価値観も背負っているものもバラバラな人々が、それでも一緒に生きていくためのマスト・アイテムであり、それが上手く起動するための道筋を探るのが憲法学という学問です。それは基本的人権とか立憲主義とか民主主義とかの話になるのだけど、とりあえずのイメージとしては、欅坂46の「サイレントマジョリティー」とか「不協和音」の世界観を共有してくれれば十分かと思います。

僕の場合は、特に国会や内閣(これらは憲法に根拠を持つ国家機関です)をめぐるあれやこれやを「憲法という顕微鏡」で観察する作業をしています。そんな仕事が面白いのですかと学生に問われることもありますが、クロヤマアリを観察するのと同程度には、永田町や霞が関に生息する生物の観察は面白いです。

どんな学生時代を送っていましたか。

池袋の「文芸坐」(名画座)、下北沢「本多劇場」、新宿ゴールデン街、神保町「さぼーる」(喫茶店)と古書街、だいたいそこらが僕のキャンパスにして教室でした。でも「良い子」はマネしないほうがいいかも(笑)。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

当初は「すばる新人文学賞」を受賞して学生作家として文壇デビューする計画だったのですが、どこでどう道を踏み外したのか……(笑)。人生はそんなものです。

受験生のみなさんへのメッセージ

今、きみが直面している困難。きみの若い感性が知覚した、その生き苦しさ、その悔しさ、その怒り。それらは、きみ自身(だけ)に原因があるんじゃなくて、きみをとりまく社会のシステム・エラーが原因のことも実は多いんだ。

「法を学ぶ」ということは、「法律という眼鏡」を通じてそうした社会の不条理の構造をつかみ取り、「法律という武器」を手にこれと理論的・実践的に切り結ぶこと。たとえば、きみの「生き苦しさ」は、「法律学という眼鏡」を通せば、きみの持つ「権利の侵害」という「法の言葉」に変換できる。「権利の侵害」が認定されれば、裁判所を通じての救済も可能だ。ならば、どうやって「法の言葉」に変換する? それこそが法学部で学ぶスキルです。

おすすめの書籍
審判、城F・カフカ(岩波書店)

経歴・業績について