教員紹介

Yoshihiro YAMADA

山田 泰弘

山田 泰弘
専門
商法・会社法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

「会社法制」を研究の対象としています。人々の生活を豊かにするために、新規のサービスや商品の開発が社会では求められます。社会のニーズを的確につかみ、創造的な技術やサービスを開発することは多様な人々の自由な発想に基づき、様々な人の協働により実現します。社会的なイノベーションを促進するためには、個人が多様な事業を始めやすい環境を作り、その活動が持続可能な状況を確保することが必要です。具体的には、事業に必要な資金を賄い、事業活動が自律的に実施される環境が必要です。会社法制は、この環境を整備し、フレームワークを提供するたに、協働した事業活動を社会における「人(=法人)」として設定し、その活動を規律する法制度といえます。

どんな学生時代を送っていましたか。

サークル活動で混声合唱団に所属して(パートはテナー)、歌ってばかりでした。私の所属していた混声合唱団はインターカレッジで複数の大学の学生が参加し、100名を超える団員がいました。歌も楽しかったのですが、団の運営(演奏会の企画・予算管理や練習場所の確保、団員間の意見の調整など)を担ったことも、とても楽しいものでした。メンバーの楽しみたい・上達したいという気持ちを団全体のレベルアップにつなげられるか。運営や練習をサボってしまう仲間が積極的に参加するにはどうしたらよいか。これらをいつも考えていました。

これらのマネイジメントに関する疑問に答えるものが会社法の学習にありました。「学問が現実の自分の生活に答えを示してくれた」ことに対する新鮮な驚きが、会社法の研究者の道を選択した大きな理由です。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

法律学の多くの分野は「訴訟」を中心に扱い、いうなら、ケンカの仲裁を目的としています。しかし、私の専門分野の会社法制は、むしろ「ケンカ」が発生しないように、事前に当事者の行動のあり方をデザインします。たとえるのであれば、自動車の衝突事故が起きてから被害者=加害者の間の衝突を解決することよりも、自動車の衝突事故が起きないようにする交通ルールや道路の形状のデザイン設計を重視しています。

今後どうなるかという情報を当事者に知らせ、自衛的な行動を求めるなど、人間の行動パターンや心理の動きに適応して制度を作っていくところに魅力を感じたこと(それが生活の中での自分の疑問に対する答えだと思ったこと)がきっかけです。

受験生のみなさんへのメッセージ

司法試験などを終えた教え子に「楽しめましたか?」と私は尋ねます。それに対する答えは様々ですが、「ハイ!」とか「楽しかったがもっと楽しめたはず」と答える者もいます。試験もコミュニケーションです。出題者の意図を考え解答することは本来知的な楽しい活動です。もちろん、そう思えるのは余裕がなせる技かもしれません。学習して積み上がった本などのボリュームは皆さんの余裕ひいては生きる自信を形成します。法学部では学びのトレーニング量が大きい分、生きる自信を形成できます。精進を期待しています!

おすすめの書籍
最後の資本主義ロバート・B・ライシュ(東洋経済新報社)

経歴・業績について