法科大学院

FD活動

2010年度 第1回

  • 日時 2010年7月6日(火)
  • 場所 朱雀キャンパス 218教室
  • 出席者 16名
テーマ 再試験廃止後の成績評価のあり方
報告者 「成績評価基準に関する本研究科でのこれまでの議論」
市川正人教授
「成績評価の実態―08年度、09年度成績評価結果より」
吉村良一教授

法科大学院における成績評価のあり方について、これまで本法科大学院では、FDフォーラムを含めて様々な機会に議論してきた。全国的に見ても、法科大学院における「厳格な成績評価」の必要性については、認証評価の中でも種々指摘されてきているところである。 ところで、本学法科大学院では、本年度入学のL1から再試験制度が廃止され、従来の履修前提制に代え進級制度が導入された。これらの改革は、直接的には個々の科目の成績評価のあり方とは別のものだと考えることもできるが、実質的に見れば、成績評価のあり方に影響を与えるものであることは否定できない。そこで、今回のFDフォーラムでは、従来からの成績評価に関する議論の到達点や実態を整理した上で、新制度における成績評価のあり方について意見交換を行った。

「成績評価基準に関する本研究科でのこれまでの議論」

立命館大学では、絶対評価を採用している。2004年度の発足時に、各科目の「所期の目標」を策定した。しかし、実際に成績評価するとなかなか難しい。何が所期の目標か、どこまでいけば達成するかなど、科目により担当者により異なる。科目間やクラス間のアンバランスが発足後に生じた。以来、問題意識を持って取り組んできた。

FDフォーラムでは、2006年FD 第1・2・5回、2007年FD 第1・2回において検討してきた。その結果、絶対評価によるべきであり、到達度との関係で成績をつけるべきことを確認してきた。認証評価(2007年度後期)に向けた「自己点検・評価報告書」では、「比較的うまくいっているが、各科目の成績評価基準を具体的に見れば、科目ごとに差異が見られ、また具体的にどのような能力をどのように評価するかという点について、シラバスや講義要項からは明瞭に示されていないという問題が残されている」としている。「認証評価報告書」(日弁連法務研究財団)では、「成績評価に絶対基準を取り入れている点は問題ないが、その内容の把握、設定はまだ途上の面があり、学生への事前開示の面でも十分になされているとはいえない。教員間の成績評価のばらつきもあり、改善が必要である」とされた。

認証評価後、FDで検討されたものがない。その後の実態は吉村報告によるが、成績評価のばらつきはなくなってきており、絶対評価の基準、相場が確立されつつあり、事実上の相対評価傾向があるのではないか。外見上、アンバランスの問題は解消されてきているが、根本的に解決したとは言い難い。次回認証評価に向け成績評価基準・あり方について検討必要である。


「成績評価の実態―08年度、09年度成績評価結果より」

データとしては、08年度、09年度の前期・後期の成績を分析した。それによれば、A+、A、B、C、Fの割合について、驚くほど安定している。

再試験について言えば、相当数の院生が再試験によって「救済」されている。例えば、08年度前期で、再試験前Fは94名、再試験後Fは26名である。再試験がなくなれば、各年度各学期とも相当数のFが出ることが予想される。

L1についてみると、08年度より09年度のFの数が減っている。また、同一学生が多くFとなっており、最終的にFになった延べ人数は少ない。

絶対評価を採用しているが、全体としては大きなバラツキはなくなっ てきている。しかし、A+が20%を超える科目がある一方で、CとFの合計が50%を超える科目もある。また、同一科目でクラス担当者が異なる場合には、全体として大きなバラつきがなくアンバランスは解消されてきているが、一部の科目で、なお、クラス間の差が大きい。学生から不公平感が出る可能性もある。

全体としてみれば、前回の認証評価で指摘された点についてはずいぶん解消されてきているのではないか。絶対評価であるが、ある種の相対評価的なものが働いてきているのではないか。ただし、これが良いのか悪いのかについては議論が必要である。

以上の報告を受けた討論では、成績評価基準の問題と、再試験廃止による成績評価の問題について、各科目の実態にも踏み込んだ率直な意見交換が行われた。その中で、成績評価や修了認定の厳格化という要請をも踏まえ、次回の認証評価をもにらんで、成績評価のあり方について引き続き議論していくこと、今年度のL1への再試験廃止や進級制導入の中で、これまで同様、客観的で厳格な成績評価を行っていくことが確認された。

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