法科大学院

FD活動

2008年度 第1回

  • 日時 2008年6月3日(火)16時40分~18時
  • 場所 205号教室
  • 出席者 22名
テーマ 履修前提制について

【今回のフォーラムの趣旨】

本研究科では、体系的な履修を目指して、履修前提制をとっている。例えば、2年次科目の民法演習を履修するには、1年次の民法科目(5科目12単位)の単位取得が条件となる。その結果、一つの科目の単位を落としたため、次年度の必修科目が履修できず、事実上、留年するという学生が生まれることになる。体系的な履修の確保からして当然とはいえ、実際の運用において、様々な問題があることが指摘され、制度のあり方について、昨年の教務委員会でも検討された。
 今回のフォーラムは、履修前提制の実際について率直な意見交換を行い、教務委員会や教授会での議論に素材を提供することを目的として行なわれた。


【報告要旨】

1)メイン報告  北村和生教授(行政法担当・教務委員長)
北村教授は、昨年の教務委員会での議論を紹介する形で、大要、以下のような報告を行なった。

■ 履修前提制の問題点として、以下の点が言われている。
① 例えば、L1の民法科目を1つでも落とすと、自動的に留年となるということは、学生に与える不利益が大きいのではないか。
② 教員がF評価をする場合、それは学生を留年させるか否かの判断をすることになるので教員の単位認定に影響を与えることはないのか。

■ 履修前提制の改革案としては、以下のものが考えられる。
① 履修前提制を緩和する案。例えば、民法5科目の内、4科目以上とっていればよいというように緩和する方法。
② 進級制に変える案。

■ 今回のフォーラムでの意見も踏まえて、教務委員会でさらに検討したい。

2)サブ報告

① 松宮孝明教授(刑法担当)
松宮教授からは、刑事法の経験から、刑法も刑事訴訟法も再試験を経てのF評価は比較的少ないという実態、後期科目については、教員にF評価に対するプレッシャーがかかるが、刑事法としては、現在の履修前提制は特に問題は生じていないとの紹介があった。

② 生熊長幸教授(民法担当)
未修1年次の民法科目を担当する生熊教授は、前任校が進級制(6単位を越えて必修科目をとれないと進級できないという制度)をとっていた経験なども紹介しつつ、厳格な成績評価は当然のこととしても、履修の前提となる科目をでも落としたらダメだという制度は、特定の科目の担当者に事実上進級の可否判断をさせることになり、問題であるとの指摘を行なった。


【議論】

以上の報告、問題提起を受けて、活発な意見交換が行なわれたが、主な意見は、以下の通りである。

■ 履修前提制から外れても必修科目から外れるわけではないので、制度を廃止した場合、今以上に見えにくい形で必修科目を取れない学生が出てきて、履修指導も困難になるのではないか。

■ 履修前提制を緩めるとしても、その方法が難しい。

■ 履修前提制自体に問題があるというよりも、合格水準の設定と、それについての評価の仕方に問題はないのか。

■ 厳格な成績評価の仕方について、単位を落としたら、翌年度ある特定の科目を受けさせないという形できちんと勉強させるというのも1つの方法であるが、それとは別に、本学では法律基本科目については最低限GPAをこれだけ取っていなくてはいけないという制約も課している。履修前提制によって来年度受けられないというペナルティを課す必要は無いのではないか。

■ 1年次の科目ができなかったからといって、2年次の科目を受けさせないのはまずい。2年の演習を受けながら、再履修で単位を取るといったことで最終学年までに学力をつければよい。2年次の授業を受けて初めて、自分がいかに1年次の学習が不十分であったのかが分かったという感想を持っている学生も多い。科目を取らせないという方法がよいのか、取らせた中でカバーするという方法がよいのか考えていく必要がある。

■ 改革の方向として、進級制に変えるということも検討されて良いのではないか。

 今回のフォーラムは、特に具体的な改革案を得るためのものではなく、制度の実際や問題点等について、自由な意見交換を行なうものであったので、北村教務委員長の報告にもあった通り、今後、本日の議論をも踏まえて、改革の是非や方向性について、教務委員会で議論していくことになった。











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