法科大学院

FD活動

2021年度 第1回

  • 日時 2021年7月13日(火)15:20~16:45
  • 場所 205教室
  • 出席者 16名
テーマ 採点済み答案の返却
報告者 ①趣旨説明  北村 和生 教授・FD委員長
②中村 康江 教授 (商法)
③倉田 玲 教授 (憲法)
④松岡 久和 教授 (民法)

 2021年度の第1回FDフォーラムでは、「採点済み答案の返却」をテーマとして取り上げた。法務研究科においては、従来、定期試験の採点前答案を試験実施後、直ちに返却し、その後速やかに試験解説・講評を配布・公表することによって、院生が自らの答案と解説・公表を照らし合わせて自らの到達度と課題を認識し、その後の学修に活かすことができるようにするとともに、成績評価の根拠を知る機会を保障してきた。しかしながら、過去の認証評価では、採点済み答案の返却が制度化されていない点が懸念事項として指摘されており、2021年度より定期試験 (最終到達度確認試験)の採点済み答案の返却が制度化されることになった。そこで今回は、法律基本科目の授業担当者から、過年度の中間到達度検証や定期試験答案にどのような書き込み、添削を行っていたかについて報告をしてもらい、教員間で意見交換と情報共有を図ることとした。

 まず、中村康江教授から商法演習Ⅰ、コーポレート・ロー先端演習を事例に添削内容について紹介があった。これらの科目では、論述試験の実施直後に、3頁ほどの解説を配布しており、論点の解説や答案の書き方については解説の中で言及されている。そのうえで個人の答案には属人的な事項と答案の記載と合わせて意味を持つ事項を記入している。とくに属人的事項である字の読みやすさについて、採点効率上の心証もあるため、司法試験受験前に本人に自覚をさせることを目的とし記入しているとのことであった。

 次に、倉田玲教授から憲法演習、公法実務総合演習を事例に紹介があった。これらの科目では、中間到達度検証および定期試験(最終到達度確認試験)の実施直後に解説を配布している。その後採点を行い、解説に講評を追記したものを「解説と講評」として配布している。添削内容について、公法実務総合演習の最終到達度確認試験では、1つの答案を教員2名が採点することになっており、どのような採点済み答案を返却すべきか検討する必要があるとのことであった。その後の質疑・議論をふまえ、複数体制で採点する場合は、それぞれの採点済み答案を返却するのではなく、統一させたもののみ返却すべきであることや、複数担当者同一科目については、採点基準を共有することの重要性が確認された。

 最後に、松岡久和教授から民法演習Ⅰを事例に添削方法の紹介があった。民法演習Ⅰの中間到達度検証試験は、担当者ごとに問題を作成し実施しており、松岡教授のクラスでは、試験実施後に解説を行い、加えて個別に答案を添削し返却している。添削は答案をPDF化したものに書き込みソフトを使用して記入しており、論点毎の点数配分・合計点を開示している。またあわせて全員の点数も公開しており、自己の答案が全体の中でどのレベルにあるかが自覚できるようになっている。添削答案送付した後、1週間を目処に再起案を提出させており、半数以上の院生が再起案では優秀答案の域に達するとのことであった。その後の質疑・議論の中で答案をPDF化することのメリットについて、特に複数体制で採点する場合の有用性があげられた。

 以上のように、本フォーラムにおける各報告と質疑応答・意見交換を通じて、添削内容・添削方法についてのノウハウが共有されたといえる。2021年度春学期最終到達度確認試験の採点済み答案の添削方法の参考として、各教員において活用していく旨が確認された。

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