立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • 社会人としての経験を経て
    法科大学院へ。
    専門性の高い弁護士になりたい。

    藤本 智也さん

    関西大学工学部出身
    既修者コース修了(2015年度)
    2017年司法試験合格

自分用のレジュメを作成して
何度も読み返しました

 藤本智也さんは工学部出身。大手機械メーカーに就職後、特許事務所に転職し、弁理士の資格を取得した。司法試験を目指そうと思ったのは、弁理士としてサポートした顧客が後に侵害訴訟を起こすことになった時、弁護士の資格もあれば引き続き関わることができると考えたからだ。「今から思えば安直でした。こんなに時間がかかるなんて思っていませんでした」と笑う。一人で法律の勉強を始めたのが約10年前、その後義父の経営する法律事務所に事務職として入所し、受験に配慮してもらえる環境を得て法科大学院に入学したのは2014年のことだった。

 入学後、予想外だったのは課題の多さ。授業も、ただ聴くだけの講義ではなく、学生がその場で答えていく場面が多い。「恥ずかしい思いをしたくなかったので、予習に時間をかけました。成績が良ければ次の年から奨励奨学金が給付されるということを知ったのも勉強の励みになりましたね」。読むスピードが遅いという自覚のあった藤本さん。繰り返し読むテキストには、問題提起は赤、定義・規範は青、理由づけは黄、結論はオレンジ色など、さまざまな色のペンで線を引いて、次に読むときにどこに何が書いてあるかがすぐわかるよう工夫した。論文試験対策としてオリジナルのレジュメも作った。「先生のレジュメから抜き出したり、基本書から引用したり、優秀答案の良いところを盛り込んだり。何度も読み返して復習しました」

当たり前のことがきちんと書けるよう
基本に立ち返りました

 社会人であり、家庭人でもある藤本さん。時間的な制約はあるものの、家族の生活に合わせることで、かえって苦痛なく勉強することができたと振り返る。「8時15分には大学院へ来て、6時には帰宅し家族の食事の用意。夜は家で勉強というリズムが確立していました」。授業期間は出社しなくても良かったが、長期休暇中はフルタイム勤務。あせりもあったが、おかげで煮詰まらずに完走できたのかもしれないと話す。

 エクステンションセンターもよく利用した。「正課授業と別に、弁護士ゼミ、答案練習、選択科目の講義など、予備校のような内容の講座を、大学院と同じ建物内で受けられるのはありがたかったですね」

 最初の受験で不合格になったが、落ち込む暇もなく仕事、そのまま勉強も再開。そして、論文で難しいことを書かないと合格できないと思っていた自分に気づいた。「優秀な答案には、当たり前のことが当たり前に書いてあるんです。あまり難しいことを考えず、基本問題と言われるような問題をしっかり再現できるような訓練をすべきだと気づきました」。2回目の試験直前は、オリジナルのレジュメと基本問題だけをひたすら見返し、論文の流れを確認していたという。

 修習後は弁護士として再び依頼者と向き合う。「理系出身であることがどう活かせるかはまだわかりません。弁理士としての経験にも特にこだわっていません。でも、自分なりの得意分野を見つけ、その分野に絞った専門性の高い弁護士として、依頼者に満足してもらえる存在になりたいと考えています」

エクステンションセンター

立命館大学には正課外で様々な資格取得をサポートするエクステンションセンターがあり、10名〜20名の弁護士が担当する弁護士ゼミや、模試の学内実施、大手事務所訪問会など多様なサポートを行っています。