卒業生からのメッセージ

文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。

2019

その他

職業はアイドルと若女将。大学で学んだ「二足のわらじの履き方」

中国文学専攻 2012年卒業

宝船温泉 若女将 / アイドルユニット「AH(鳴呼)」楽曲制作担当

中国文学専攻を選んだ理由

私は、滋賀県高島市の琵琶湖のほとりに立つ温泉旅館「宝船温泉」の長女として生まれました。子どもの頃から両親が旅館を経営するのを見ていて、いつか跡を継ぐのが夢でした。

でもその前に、大学に入って視野や可能性を広げたいと思っていました。音楽好きの父の影響で高校の頃から歌や作曲をしていたので、大学でバンド活動もしてみたいなと。 

立命館を選んだのは、中国文学専攻があったからです。歌手のビビアン・スーさんが大好きで、中国語のCDも取り寄せて聞いていました。立命館は中国語の学部が充実していると知り、好きなことが勉強できると思い入学しました。

語学とバンド活動に打ち込む日々

授業では中国文学を原書で読むなど、中国語にどっぷり漬かる内容が多かったです。個性的な先生が多く、ユニークな文学作品を教えてもらったり、ちょっとした小話が面白かったりと、楽しく学ぶことができました。 

副専攻では、ドイツ語を選択。中国語とは全然違いますが、楽譜によくドイツ語が使われていて興味があったので勉強しました。立命館では副専攻もしっかり授業が取れるので、やる気さえあれば二か国語を同時に身につけることができます。 

また、念願の軽音楽部にも入り、バンドのボーカルとして活動しました。平日は授業、週末は音楽活動で忙しかったですね。学祭や定期ライブはもちろん、学外のイベントにも参加していました。 

卒業論文テーマは地元への観光客誘致

3回生からのゼミ(専門演習)は中国思想のクラスを選びました。中国には、明の時代に確立された「陽明学」という儒教の思想があります。私の地元は、日本の陽明学の始祖と言われる中江藤樹の出身地。小学校の授業でも習うため親しみがあり、古代の中国思想を学びたいと思いました。 

卒業論文のテーマはけっこう自由で、先生から「中国に関わることなら何でもいい」と言われていました。みんなサッカーや映画など好きなことに絡めて中国を掘り下げていて、面白かったです。私も興味があることを考えた結果、「高島市への中国人観光客誘致とその展望」をテーマに選びました。 

高校生ぐらいの頃から、地元の高島市にも中国人観光客が少しずつ増え始めていて。私も旅館を手伝いながら、京都や大阪以外の観光地として滋賀にもっと注目が集まるといいなと思っていました。 

そこで、高島市を訪れる観光客の数やその内訳などのデータを調べ卒業論文にまとめました。その時考えたのは、高島市にもゆるキャラや名産などの「目玉商品」が必要ではないかということ。卒業論文のために調べたことや考えたアイデアは、今も旅館を営む上で役に立っています。 

仕事は「若女将とアイドル」

ライブの様子

ライブの様子

卒業後は念願だった宝船温泉の若女将になりました。今は母と一緒に宿泊プランや料理メニュー、集客イベントなどを考案しています。自分のアイデアで業績が変わるのは、怖いけど面白いですね。お客様の反応がダイレクトに伝わる仕事なので、喜んでくださるとすごく嬉しいです。家族で色んな旅館に行ったことがありますが、うちの料理が一番おいしいと自負しています。近江牛や琵琶湖の新鮮な地魚はもちろん、父が作る燻製料理を目当てに来てくださる方も多いんですよ。

中国のお客様も以前より増えてきました。中には中国語しか話されない方もいるため、大学で中国語を勉強していてよかったなと思います。 

音楽の方は、卒業後も趣味程度にライブに出るなど活動を続けていました。プロを目指すつもりはなかったんですが、数年前にライブハウスで出会った相手とアイドルユニット「AH(嗚呼)」を結成しデビューすることに。今、マネージメントも作詞作曲も全部自分たちでやっています。最近では「若女将アイドル」としてテレビや雑誌でも取り上げて頂き、旅館で貸切イベントを行うなど2つの仕事をリンクさせた働き方ができるようになってきました。 

出川哲朗の充電させてもらえませんか?×AH(嗚呼)MV「KYOTO TOWN NIGHT FEVER」。学生時代、京都での恋愛を書いた曲です。

「君こそニューロジック」はソロ名義で、「アイドルと若女将の二足のわらじ」を表現した作品です。

これからも2足のわらじを履いていく

アイドルと若女将という、2つのことを同時に進める力は大学生活で身につけたものです。中国文学を勉強しながらバンド活動にも打ち込んだ経験が、今の2足のわらじ生活を支える基盤となっています。あの時は音楽が仕事になるとは思っていませんでしたが、やりたいことに一生懸命取り組んでいてよかったですね。 

今後は、卒業論文でテーマにした高島市の「目玉商品」のひとつに私自身がなって、観光客誘致につなげていけたらと思っています。そのために来年、地元で音楽イベントを計画中です。全国のライブで知り合ったアイドルを滋賀に集めてフェスを開催し、多くの人に高島市を知ってもらいたい。滋賀は水がきれいだから食べ物がおいしく、自然豊かで温泉もあります。そういった滋賀のいいところを国内や海外にもっと発信していくにはどうすればいいか、これからも考えていきたいです。

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