教員紹介
東アジア研究学域
私の専門は中国の古典文学でしたが、今は中国・香港・台湾の映画を中心に据えています。20年ほど前まで中国の有名な映画監督の多くは、中国では収益があがらないため、海外で公開することを前提に作品を作っていました。海外で評判が良い歴史物(『始皇帝暗殺』『HERO』など)が多く作られたのです。しかし中国が世界第二位の経済大国に成長した現在、映画館のチケット代は日本とあまり変わらず、人口は日本の10倍。映画は中国国内だけで十分儲かる状況です。最近は芸術性の高い映画は敬遠され、中国人に人気のコメディが増えました。中国では映画やテレビ番組も経済、外交、社会の影響を受けることが多いのが興味深いところです。
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同時代中国の文学思潮の研究が専門です。中国は今、ものすごい勢いで発展していますが、1970年代後半までは「文化大革命」(略して文革)と呼ばれる混乱状況にありました。文革期までは、単純化すれば文化的「鎖国」状態に近く、一般の人々は日本や欧米の文学を読むこともできないほどだったのです。その中国が、文革後、一挙に「開国」を果たして急激な変貌を遂げていく、その過程(もちろん一本道ではなく紆余曲折がありました)で生じた様々な文学現象が研究対象です。この間は、欧米文学理論・現代思想の受容動向をテーマにしていたのですが、今後はもう少し遡って、文革に到る時期の文学状況も探ってみたいと考えています。
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日本の近代は、台湾・朝鮮等の植民地を抱え込んだ帝国として存在しました。それは〈政治的空間〉であっただけでなく、そこで生きた人びとの〈生活の空間〉でもありました。さまざまな笑い、泣き、喜び、哀しみを抱えながら生を営み、そして死を迎えた空間でした。私の研究は、そこで繰り広げられた人びとの生と死、とくに貧困・抑圧・病いに喘ぎ、斃れた人びとにどのような医療や救済が行われたのかを歴史的に明らかにしていくことです。それは過去のことではなく、現代社会が抱える困難にも通底しています。それらに対処し、未来を構想していく糸口をともに考えてみませんか?
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韓国・朝鮮の宗教について研究しています。朝鮮時代末期から日本の植民地時代にかけて、東学(天道教)・甑山教・檀君教(大倧教)・円仏教など数多くの新宗教が登場しました。これら朝鮮自生の新宗教とナショナリズムの関係について分析するのが研究テーマです。最近は関心の幅を広げて、韓国における最新の宗教事情についても研究しています。制度化されない個人主義的な「スピリチュアリティ」の観点から、現代韓国におけるキリスト教の超教派的な聖霊運動(ペンテコステ・カリスマ運動)や、大衆消費文化として現れている新種のセラピー団体(丹田呼吸による身心修練団体など)について研究しています。
COLUMN
日常に深く根をおろす信仰心。 宗教が分かると、アジアが見える。
現代東アジア言語・文化専攻
佐々 充昭
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最初は挨拶一つままならない学習者が、学んだ言語でお礼を言ったり、相手の気持ちを察して声をかけたりと、人とつながるのを見るのは本当に嬉しい瞬間です。でも、その過程では、「どうしたら、この発音できるんだろう?」「どうして、意図が通じないんだろう?」「どうしたら、中級の壁を越えられるんだろう?」「どうして、この語を使いたがらないんだろう?」など、学習者としても教員としても多くの疑問がわいてきます。その答えを見つけるため、学習者言語の特徴を分析したり、「中級」と「上級」との見分け方を探求したり、特定の属性を持つ人(時にマイノリティ)が不安を感じないような学習のありかたを模索したりしています。
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20世紀の中国において庶民に寄り添った文化のひとつに伝統劇があります。「伝統」というと古めかしいイメージですが、実は当時最新のメディアである映画や近代劇の影響も受けたポップカルチャーとしての側面も強いのです。このような伝統劇から近代とは何かについて考えています。また性的少数者を描いた戦後台湾文学も研究しています。日本の植民地であった台湾ですが、戦後も厳しい政治的抑圧のなかに置かれていました。社会の周縁におかれた性的少数者が文学のなかでどのように表現されてきたのかを考えています。大きな歴史からこぼれ落ちる庶民の文化や周縁の人々に注目することで広がる世界の景色は、想像以上に美しく豊かなのです。
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近代以降の中国は、革命・戦争・社会主義を経験してきましたが、その時々の指導者は、いかに「国民」を創生し、国家を建設するかを考えてきました。そして、それは確かに中国社会を大きく変化させてきました。しかし、基層社会に生きる農民などの「ふつうの人々」の生活規範や行動様式はそう簡単に変わるものなのだろうか、そんな疑問を明らかにすることが私の関心です。具体的には中国南方の華南地域を考察対象に、当時の新聞や雑誌・民間文書などを利用し、近現代の中国を生きた「ふつうの人々」が、政府の政策をどのように受け入れ、あるいは反発したのかについて考えています。
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社会問題