教員紹介

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日本史研究学域

日本古代から東アジアを考える
キーワード :
往来する人びと、漢籍受容、術数文化、感性

水口 幹記教授

所属専攻:
日本史学専攻
専門分野:
日本古代史、東アジア文化史
私の研究の要点は、日本古代における文化の受容と選択にあります。たとえば、ある書物が中国から伝来したとします。それは史実ですし、歴史の一側面です。しかし、それが日本社会にとってどのような意味を持ったか、というのは別の問題です。その書物が果たして読まれたのか、読まれたとしたらなぜ読まれたのか、どのように読まれたのか、読まれなかったとしたらなぜ読まれなかったのか、そういった問題を問うことが重要なのです。文化が伝来し、受容し、取捨選択する際の軋轢・ズレこそが、双方の社会の様相をあぶり出し、東アジア文化の共通性と日本古代社会の独自性を明らかにするきっかけになると考えています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

「常識」は流行に過ぎず、「世間」は社会の一部に過ぎません。大学は、そういったものから離れ、自分の「好き」をとことん追究できる場所です。もし、あなたの「好き」に日本古代史・東アジア文化が含まれているならば、是非研究室を訪ねてください。一緒に楽しみながら考えていきましょう。

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日本史研究学域

日本近代史の多角的研究
キーワード :
公議、治水、植民地

山崎 有恒教授

所属専攻:
日本史学専攻
専門分野:
日本近代政治史
明治維新から始まる日本の近代化・西欧化は、それまでの伝統的な文化・価値観・ライフスタイルなどをすべて捨てて、一から新しい西欧型近代国家を作ろうとする大変革でした。私の研究は、この大変革を多角的に分析し、それがどのような「今」を生み出していったのかを明らかにしようとする点に特徴があります。これまで「公議」「治水」などをキーワードに研究を進めて参りましたが、こうして生み出された新しい国家像が、その後の植民地支配と深い因果関係を形成していることに気づき、最近は植民地期の研究にも取り組んでいます。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

高校までの日本史学習は、ともすればいろいろな年号や用語の暗記ばかりのように感じられたかもしれません。しかし、歴史は今と未来に続くものであって、現代社会を深く理解するためには必須の教養であると思います。大学で深く歴史を学び、混迷の時代を切り開く新たな視角を身につけてみませんか。

COLUMN

人生を変える出会いもある。 歴史研究は、ハラハラドキドキの連続だ。

日本史学専攻

山崎 有恒

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日本史研究学域

原始古代の土器と交流
キーワード :
土器生産、農耕、国家形成

長友 朋子教授

所属専攻:
考古学・文化遺産専攻
専門分野:
日本考古学、民族考古学
弥生から古墳時代には、水稲農耕の普及、王権の成立、古代国家形成過程の解明など、日本の歴史を知るうえで重要な研究テーマが豊富にあります。私は、弥生・古墳時代を、ものづくりや食文化、海外との交流関係から研究しています。考古学的研究を軸としながら、民族学的調査をおこなったり、共同研究者らと理化学的分析と考古学研究成果を総合化するなど、時には学域を超えて研究を進めるなかで、視野がひらけ疑問の解けたときの喜びはひとしおです。過去の人々の生活の痕跡や墓、そこに残された物から歴史を再構築する楽しさを、ともに感じてみませんか。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

今現在の皆さんの問題意識の中から、研究課題は見えてきます。皆さんの見慣れた風景や生活する空間の地下には、歴史が眠っています。教科書では学ばない歴史を掘り起こしてみませんか。発掘調査をしたり東南アジアの土器づくり民族調査をしたり、フィールドワークを皆で一緒にすると楽しさも倍増します。皆さん、一緒に楽しみませんか?

COLUMN

何の変哲もない石に
価値を見つけるのが考古学の醍醐味

考古学・文化遺産専攻

長友 朋子

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東アジア研究学域

古代兵学思想の源流をさぐる
キーワード :
銀雀山漢墓竹簡、古代兵書、兵陰陽

石井 真美子教授

所属専攻:
中国文学・思想専攻
専門分野:
古代中国思想、出土文献
『孫子』等の古代兵書について研究しています。『孫子』は今から2500年ほど前に書かれたものですが、戦に関する極意がつまっていて、後世の兵書に大きな影響を与えました。「いかに効率よく勝利をおさめるか」に加え、前提として「戦わないことが最善」の重要性が説かれています。戦乱の時代において、従来の大義名分を掲げる立場とは異なり、実際の経験にもとづき「戦とは騙し合いである」「戦には多大な出費と犠牲がともなう」と現実主義の立場で説き、結果としてむしろ反戦の内容になっているのが奥深い点です。最近は古代兵法の一種である、呪術を応用した「兵陰陽」について、実際のどの地理・風習等に源流があるのかを研究しています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

世界は皆さんが思っているよりずっと広く深いものです。私の研究分野である古代中国についても、日々新たな資料の発見があり、学説が変わっています。大学ではぜひ多くのことを貪欲に学び、固定観念や利害等に縛られずに、広い視野を育んでほしいと思います。

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東アジア研究学域

中国近世の学術と思想
キーワード :
清代、経学、考証学、朱子学

尾﨑 順一郎准教授

所属専攻:
中国文学・思想専攻
専門分野:
中国近世思想、儒学史
中学生の頃、クラスの中で『三国志』が大流行。そんな小さなきっかけから、僕は次第に中国の古典に興味を抱き始め、大学に入ったら本格的に中国の古典を学んでみたいと思うようになりました。当初は春秋戦国時代や三国時代に興味がありましたが、大学入学の前年、清代にイギリスに割譲された香港が中国に返還されるというニュースが大々的に報じられ、それ以来、清代という時代に興味を持つようになりました。現在は清朝の成立前後から全盛期にかけての学術・思想について研究をしています。研究対象によっては、国内外で数点もしくは一点しか存在しない資料もあり、各地の図書館を訪ねるのは宝探しをしているようでワクワク感が止まりません。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

文系の人も、理系の人も、オープンキャンパスなどで大学を訪れる機会があれば、文学部を訪れてみることをお勧めします。高校までで学ぶ文系科目は、ほとんどが文学部の領域に属しており、皆さんにとっては最も身近な分野です。教科書で学んだ事柄の背景や原典などに触れることで、新たな気づきを得られるはずです。

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東アジア研究学域

唐代の詩人と漢籍研究
キーワード :
唐詩、漢籍

芳村 弘道教授

所属専攻:
中国文学・思想専攻
専門分野:
中国古典文学、文献学
唐代の詩を研究しています。李白、杜甫、王昌齢、孟浩然、儲光羲などの盛唐詩人や中唐詩人の韋応物と白居易の伝記と文学について考察しています。李白と杜甫については、彼らの作品集を主に研究しています。他の詩人については伝記研究を通し、それぞれの文学的特色を探求しています。また文学研究的視野を備えた漢籍研究も行っています。古籍を骨董趣味的に扱うのではなく、書籍の編著、伝来に古人はいかなる思いを抱いたのか、という考察を加えた文献学を目指しています。特に最近は中国や日本で古く出版された漢籍だけでなく、朝鮮半島の漢籍も視野に入れ、日中韓の漢籍研究を進めています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

中国の古典文学は広がりがすごいです。約紀元前8世紀からの伝統があり、詩・文・小説・戯曲・評論などとジャンルが多様で、それらが時代・社会・思想に密接に結びついており、さらに日本などの周辺国の文化に大きな影響も与えました。中国文学は幅広さと奥深さをもつ学問分野です。学び甲斐のあること間違い無しです。

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東アジア研究学域

文人の日常生活から中国近世という時代の特質に迫る
キーワード :
文人趣味、档案、水資源

井上 充幸教授

所属専攻:
東洋史学専攻
専門分野:
中国近世の文化史・社会史・環境史に関する研究
中国近世、それも明清時代といっても、皆さんにはあまりピンとこないと思います。ですが『西遊記』や『三国志』などの物語をはじめ、私たちが「いかにも中国らしい」と感じる伝統文化や、中国人特有の思考方法・行動様式が生み出されたのは、まさにこの時代だったのです。私は、明清時代に生きた文人たちの日常生活や、彼らを取り巻く社会の様子、さらには当時の文化のさまざまなありようを具体的に明らかにし、それを通じて中国近世という時代そのものの面白さを伝えていきたいと思っています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

歴史を学ぶということは、文献を通じて過去に生きた人々と対話し、それによって彼らの生き方や考え方を理解することである、と私は考えます。その際に重要なのは、予断と偏見を排して謙虚に相手の話を傾聴しつつ、それがどこまで本当なのかを冷静に見極めることです。そしてそれこそが、歴史を学ぶことの難しさであり面白さでもあると思います。

COLUMN

400年前の「明末清初」の時代にタイムスリップ。 庶民の日常から現代中国のルーツを探る。

東洋史学専攻

井上 充幸

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東アジア研究学域

秦帝国が滅んだ本当の理由
キーワード :
秦漢時代、木簡、長城警備

鷹取 祐司教授

所属専攻:
東洋史学専攻
専門分野:
中国古代史、木簡研究
私は木簡などを使って中国秦漢時代の法律や制度の研究をしています。秦王朝は苛酷な法律で民衆を支配したと言われますが、木簡に見える法律の多くは役人の職務規定です。例えば、《罰金に処せられた者が貧乏で銭で払えない場合は労働させ、一日八銭を罰金分として受け取る。一日八銭以上を受け取ったり、銭で払えるのに払わせないで労働させた場合は、その役人を罷免する》といった細かな規定が目白押しです。法律でがんじがらめにされていたのは民衆ではなくむしろ役人だったのです。このことから、秦帝国がわずか15年で滅びたのは、法律が細かすぎて役人がそれを守らなくなったためだと最近思うようになりました。じゃあ、この国も危ない?

MESSAGE

受験生へのメッセージ

私が研究しているのは今から二千年程前の中国ですが、みなさんは二千年前ってまだまだ文明度の低い原始的な時代だと思っていませんか。ところが、木簡から知られる秦漢時代の法律や制度は、現代にも劣らない精緻なものでした。そんな精緻な法律は、実は、役人や徴発した民衆に業務をサボらせないようにするためのものだったのです。

COLUMN

2200年前の木簡から見える、古代中国人と現代人の共通点

東洋史学専攻

鷹取 祐司

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