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スミス ナサニエル 先生 (国際関係学部)

2021.07.01


『Intimate disconnections : divorce and the romance of independence in contemporary Japan』
Allison Alexy(Chicago : The University of Chicago Press, 2020年)

離婚は個人的なことでありながら、親戚や他人・世間の目など、社会性を深くもつことでもある。長年にわたるフィールドワークを元に、現代日本における離婚の現象を探り、カップルの在り方、女性の生き方、老後ロマンスの展望などについて考える人々の話を取り上げ、「愛」「結婚」「離婚」は日本社会に何をもたらし、何を反映しているかをテーマとする本。

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『Pure Invention: How Japan Made the Modern World』
Matt Alt(New York : Crown, 2020年)

日本生まれの商品が他の国のカルチャーやライフスタイルに及ぼした影響力について、2000年以降のクールジャパン政策だけでは語りきれない。著者は、カラオケ、ゲーム、漫画、アニメなどを「ファンタジー・デリバリー・デバイス」と定義し、戦後日本にルーツを持ちながら今では世界的に普遍性をもつカルチャーの成り立ちを取り上げる。「ソフト・パワー」ともいわれる日本文化の魅力がどのように広まり世界に定着したか、クリエーター自身に伺った話をはじめ、豊富な資料をいかし面白くわかりやすく書かれた本。

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『Sayonara Amerika, Sayonara Nippon: A Geopolitical Prehistory of J-Pop』
Michael Bourdaghs(Columbia Univ Pr, 2012年)

J-POP誕生の観点から、音楽の歴史と関連性のある文化に目を向けた本。戦後直後の占領軍は、政治は勿論、文化的な波を日本に起こす。本書は戦後から経済高度成長期、バブル崩壊後までのポピュラーミュージックを軸にさまざまなジャンルを分析する。アジアの存在と米国由来のブギーウギーやロカビリー、グループ・サウンズや演歌、坂本九からイエロー・マジック・オーケストラまで、戦後の日本史を音楽史研究として考察する。日本が世界から吸収し、新たに発信した音楽がどのように歴史を映し出してきたか、どのように戦後文化を活気づけたかについて考えるのに良い1冊。

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さよならアメリカ、さよならニッポン : 戦後、日本人はどのようにして独自のポピュラー音楽を成立させたか / マイケル・ボーダッシュ著 ; 奥田祐士訳


『Drawing the Sea Near: Satoumi and Coral Reef Conservation in Okinawa』
C. Anne Claus(Univ of Minnesota Pr, 2020年)

ワシントンDCにあるアメリカン大学の環境人類学者、Claus氏のこの本は、沖縄県石垣島をベースに行ったフィールドワーク調査と以前本人が勤めていた環境保護団体WWFを対比しながら「海」と「自然」とは何かを興味深く探る本。国際的なNGOと島の住民の意識に対立がありながら、住民の間でも農家と漁師は異なる意識を持つことがある。その意識の違いを分析しながらどう自然と付き合うべきか、Claus氏は両者の相対的関係に鋭く焦点を当てる。

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『Intimate Encounters: Filipina Women and the Remaking of Rural Japan』
Lieba Faier(UNIV OF CALIFORNIA PR, 2009年)

夢を追って来日したフィリピン女性たちが、パブで働き、恋をし、家庭を持つようになり、そして伝統を重んじる義理の母との付き合いをどう向き合って行くのか。例えばハリウッドに憧れを抱いたフィリピンの田舎出身の女性が来日し、嫁ぎ先としてたどり着いた先は木材生産でかつて栄えた長野県の木曽谷。村の女性たちの上京により嫁探しに難航する村の男(長男)と出会い、堅苦しい義母のしつけと戦いを通して、グローバル世界の移民経験、地方から見た現代日本の家族形態の変化とダイバーシティーの展望が分析されます。

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『Jesus Loves Japan: Return Migration and Global Pentecostalism in a Brazilian Diaspora』
Suma Ikeuchi(Stanford University Press, 2019年)

自動車産業に労働力が枯渇した90年代日本は単なる「移民」を入れたくはなかった。しかし、20世紀に南米に渡った日系人ならと話が進んだ。ブラジルでは差別を感じていた日系人が、日本に出稼ぎすることはある種の「帰国」と期待した政府と本人たちであったが、「戻った」後もマイノリティー意識が強く、いろんな面で「純」日本人として見てもらえない。文化の違いを逆に糧とし、団結力を強めた日経ブラジル人のコミュニティーに大きく貢献したのは宗教である。この本は「ホーム」とは何かを日経ブラジル人の宗教像を探って考察し、国境を超えた移民・アイデンティティー・レリジオンの関連性について、人生のストーリーに基づいたエスノグラフィー。

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『Healing Labor: Japanese Sex Work in the Gendered Economy』
Gabriele Koch(Stanford, Calif. : Stanford University Press, 2020年)

性風俗は一般な労働に属すべきか非か?社会の「役割」をどう見るべきか?働く女性、当事者はどんな意識を持っているか?人身売買やヒューマントラフィックのNGOが指摘する性風俗の闇と、実際その世界で働いている女性たちの意識はどう異なっているかを考察する一冊。自分たちの仕事を社会で過労する男性に対する「癒し」として考える女性たちは、日本社会のジェンダーの問題を反映しているだけではなく、当事者の意識をどう受け入れて、消えない売春の世界を取り組むべきかを考えさせる。フィールドワークで性風俗に密着し、どう運営されているか、どうトレーニングを受けているか、マーケティングの実施などを様々な観点から性産業の実態に迫る。

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『The Revolution Will Not Be Televised: Protest Music After Fukushima』
Noriko Manabe(Oxford Univ Pr, 2015年)

2011年に起こった東日本大震災こと3.11は単なる自然災害にとどまらず、戦後日本の核開発に関わったエネルギー産業と政府、官僚、メディアと間の裏関係、談合や天下りの実態のもとにできた人工災害だったと指摘するManabe氏による、反原発運動とプロテスト音楽についての考察。日本の放送局や事務所が政治的なメッセージを発するアーティストに圧力をかけて、やめさせようとしていたことに対し、放送されない政治運動を街頭にオンラインに働き出し、反原発のメッセージを必死に取り組んだ人たちの話や、メディア論を踏まえ、さらに抗議に使われ抗議のために作られた音楽の分析し、音楽民俗学の観点から考察する現代の「歴史」を考えるためのテキスト。

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『Ametora: How Japan Saved American Style』
W. David Marx(New York : Basic Books, 2015年)

若者の間に輸入文化が盛んになった日本。アメリカに憧れを覚え、「伝統」や「定番」の概念を掴み、さらに再構成するファッションを新たに世界に発信する。Marx氏のAmetoraは「アメリカン・トラディショナル」の省略だが、この本は昭和日本におけるファッション文化、若者のカルチャー、かつての敵国との次世代の関係、グローバルカルチャーの本でもある。ポップカルチャーを研究家視点で考察するMarx氏の書き方も非常に面白く、オススメできる1冊。

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Ametora : 日本がアメリカンスタイルを救った物語 : 日本人はどのようにメンズファッション文化を創造したのか? /デーヴィッド・マークス著 ; 奥田祐士訳


『Japanoise: Music at the Edge of Circulation』
David Novak(Duke Univ Pr, 2013年)

音楽の定義とは何か?その定義を超越した非音楽を生み出したアーティストが日本にいました。日本で80年代半ばから、灰野敬二、非常階段、MASONNA、Incapacitantsなどがアヴァンギャルドなミュージックシーンも超えた「音」の世界に飛び込み、過激なパーフォマンスを展開。彼らは個別で活動していたにも関わらず、欧米で注目を浴び、海外から日本流の過激な音が「ジャパノイズ」と評された。この本では、この文化的なフィードバックを探り、世界規模の「アンダーグランド」の研究、ローカルとグローバルな視点の行き来と各アーティストの話を織り交ぜ「非」音楽の音楽研究に誘(いざな)ってくれます。

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ジャパノイズ : サーキュレーション終端の音楽/デヴィッド・ノヴァック著 ; 若尾裕, 落晃子訳