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吉次 公介 先生(法学部)

2021.03.01

吉次 公介 先生の研究概要

専門は、政治外交史を中心とした日本近現代史です。これまでは、主に、日米関係史、日本・ビルマ(ミャンマー)関係史、そして沖縄の戦後史についての論文を発表してきました。今回は、皆さんに、歴史や歴史学に興味を持っていただけるような本を紹介します。


『ヒューマニティーズ 歴史学』
佐藤卓己著(岩波書店、2009年)

著名なメディア史研究者が、歴史学はどのように生まれたのか、歴史学を学ぶ意味とは何か、歴史学は社会の役に立つのか、歴史学の未来はどうなるのか、という点について、わかりやすく論じています。高校までの「暗記科目」としての歴史と、大学での「歴史学」の違い、そして歴史学の意義や本当の面白さが理解できるのではないでしょうか。

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『図説 世界の歴史 全10巻』
J.M.ロバーツ著(青柳正規ほか監修)(創元社、2002年~2003年)

イギリスの高名な歴史家による、世界史の通史です。「人類はもはや取り返しのつかない失敗をおかしてしまった」「人類の歴史は愚行のカタログにすぎない」という考えを「あまりにも大げさで極端すぎる」と退ける一方、人類の歴史は「人間が自然をあやつろうと試みたそうした努力と、その結果もたらされた変化の歴史」であり、「成功物語」であると述べています。皆さんは、人類の歴史は「愚行のカタログ」と「成功物語」のどちらだと思いますか?

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『愚行の世界史 トロイアからベトナムまで(上、下)』
バーバラ・W・タックマン著; 大社淑子訳 (中央公論新社、2009年)

アメリカの著名な著述家が、トロイア戦争、教皇庁の堕落、大英帝国の虚栄、ベトナム戦争を題材として、なぜ、政治指導者は国民の利益に反する行動、即ち「愚行」を繰り返すのかについて検討を加えています。やはり、人類の歴史は「愚行のカタログ」に過ぎないのでしょうか。ロバーツの『図説 世界の歴史』と併せて読むと、興味が広がると思います。

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『小説 フランス革命 全18巻』
佐藤賢一著(集英社、2011年~2015年)

世界史上、極めて大きな意味を持つフランス革命を題材とした長編小説。フランス革命の始まりからナポレオンの登場までを、ミラボー、ロベスピエール、デムーラン、ルイ16世、マリー・アントワネットなどの主要人物の動きを追いつつ、生き生きとした筆致で描いています。文庫で18巻もありますが、物語に引き込まれて、あっという間に読了することでしょう。

※本学では所蔵していません。


『完本 春の城』
石牟礼道子著(藤原書店、2017年)

1637年から翌年にかけて、益田四郎時貞(天草四郎)を中心に、キリシタン農民らが信仰の復活や税の軽減などをめざして立ち上がった、有名な島原・天草一揆(島原の乱)を題材にした長編小説。天草出身の著者による、すばらしい作品です。当時のキリシタンの暮らしぶりや、なぜキリシタンが立ち上がらざるをえなかったのかが、よく分かります。キリスト教に関する最低限の予備知識を身につけてから読むと、理解が深まると思います。

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『沈黙』
遠藤周作著(新潮社、1981年)

キリスト者の小説家として名高い、遠藤周作による傑作。島原・天草一揆が鎮圧されて間もない日本に密入国し、キリスト教を布教しようとした司祭・ロドリゴが主人公です。キリシタンに対する残忍な拷問と、悲惨な殉教に直面したロドリゴは、幕府に背教を迫られます。ロドリゴの選択とは…。信仰とは何か、「神はなぜ沈黙しているのか」という極めて重いテーマを問う名作です。

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『藤田嗣治 「異邦人」の生涯』
近藤史人著(講談社、2006年)

ピカソやマティスら一流の画家が集った1920年代のパリで、一人の日本人画家が活躍しました。その名は、藤田嗣治。彼が描く「乳白色の肌」は喝采を浴び、「エコール・ド・パリ」の寵児となります。しかし、アジア太平洋戦争が彼の画家としての歩みに影を落とします。戦時中に戦争画を書いたことを批判され、戦後、藤田は日本を離れるのです。藤田を通して、戦争と芸術というテーマについて考えてみてはどうでしょうか。

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『東京裁判への道』
粟屋憲太郎著(講談社、2013年)

東京裁判研究の第一人者というべき著者の手による、優れた研究書です。アメリカに保管されていた膨大な尋問調書などを活用して、A級戦犯28名はいかに選ばれたのか、天皇が免訴となったのはなぜか、毒ガス・細菌戦が免責されたプロセスなど、東京裁判に至る過程を検証しています。戦後75年が経過しましたが、今もなお、アジア太平洋戦争について学ぶことには大きな意義があります。

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『冷戦:アメリカの民主主義的生活様式を守る戦い』
佐々木卓也著(有斐閣、2011年)

日本の冷戦史研究をリードする碩学による、冷戦史の入門書です。最新の冷戦研究の成果を踏まえ、政治、経済のみならず文化までも視野に入れて、「アメリカの民主主義的生活様式を守る戦い」として冷戦史を描く本書は、冷戦について学ぶうえでの必読文献です。戦後日本の歩みを振り返るうえでも、米ソ冷戦を十分に理解することは欠かせません。

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『暮らして見た普天間:沖縄米軍基地問題を考える』
植村秀樹著(吉田書店、2015年)

自衛隊や日米安保の歴史に関する優れた研究を発表してきた研究者が、実際に、沖縄県宜野湾市の普天間基地の近くに移住した経験を活かして、沖縄の米軍基地問題の歴史と現状について論じています。研究者としての冷静な視点と、実際に沖縄に住んだ体験の両方を踏まえた、良書です。沖縄米軍基地問題については、不正確な情報も多いようですが、本書のような信頼できる研究書を読んでほしいと思います。

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