立命館大学図書館

   
  1. TOP>
  2. 学生支援>
  3. 教員インタビュー>
  4. 「第18回:アンテナを張って情報をキャッチせよ!」雀部 晶 先生(経営学部)

「第18回:アンテナを張って情報をキャッチせよ!」雀部 晶 先生(経営学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 春山

雀部 晶 先生
雀部 晶 先生の研究概要

―― 学生時代に影響を受けた本はありますか。

たくさんありますよ。新刊より古典の本をよく読んでいたね。猿が人間へどのように発達していったかに関する本をはじめ、エンゲルスによる労働関連のものなど、様々な歴史についての本を多く読みましたね。

―― 先生は理系なので、理系の本を想像していました。

理系でしたが文系の本もたくさんですね。本で科学技術や生産力の変遷について知り、それが経済にどのような影響を及ぼしたかということを考えましたね。図書館へは、司書の方に顔を覚えられてしまうほど通っていましたよ。

―― 学生にお薦めの本があれば教えてください。

お薦めの本もたくさんありますよ。例えば、福島原発についての本かな。昔、原発を批判していた本が今復活しているんだよね。22年前に出た本で増補版まんがですが、本学名誉教授安斎育郎解説『原発列島』(大月書店)がお薦めです。

―― 雀部先生が小学生の教科書を執筆したと聞きました。よろしければ、見せてください。

これ(東京書籍の国語の教科書)は、ロボットを題材にしたものでね、20年間ほど教科書に掲載しているんだよ。先日は、その教科書を採用している草津市内の小学校に招待されて話をしてきたね。小学生の肺は小さいから、一度に読める文の長さが大人と異なってくるんですよ。だから、小学生向けに句読点の位置も考えなくちゃいけないんだよね。

―― 図書館をどのような場所と考えますか。

図書館は単なる本の貸し借りの場じゃなくて、人と人とがふれあえる場であってほしいですね。例えば司書の方に質問をすれば、読みたい本を素早く出してくれて、その上、いろいろな情報を得ることができますね。また、図書館にはラウンジや展示場といった側面ももつよね。それらをより良く統合し、ラウンジのアカデミックな雰囲気作りを進めていくことで、図書館での人と人とのふれあいはもっと大きなものになるのではないかな。ラウンジの種類には部屋を作るものと、壁をなくしてオープンスペースにするという2種類があるけど、人と人がふれあいつつも、静かな雰囲気で学習できる環境作りが大切ですね。また、立命館大学でも司書の資格を取れますよね。それは、司書という人材を育てるということと、本を大切にするようになるという2つの面でとても良いことですね。本を大切にするという姿勢がどんどん周りに広がっていくからね。所蔵スペースの関係で古い本が捨てられてしまうことがあるけどね、その本は専門家にとっては非常に大事な資料であったりするんだよ。現物がなくなってしまわないように大事な本は誰かが保存しなくちゃいけないよね。スペースの問題上難しいところもあるけど、本を大切にしていきたいですね。

―― 最後に学生へメッセージをお願いします。

現代は、非常に電子化が進んでいますね。図書館では、電子化によって、簡単に資料を取り寄せられることや、膨大な本の情報を素早く探し出せること、また、本の所蔵に広いスペースを必要としなくなることなど、電子化による利点が数多くある。本当に便利になったよね。でもね、そのような電子化は視野を狭めるという問題を引き起こしてしまう可能性があるんだよ。例えば、論文を参考文献として利用するとき、電子媒体ではなく冊子として論文を手に取れば、自分が引用したい先生の論文の他にも多くの論文が載っていて、それが目に入るから様々な知識を得ることができんだよ。電子的に論文を読む場合は、必要なところだけを検索して見るようになってしまうのから、キーワードに引っ掛かる論文だけを見ることになってしまって、他の情報に目がいかなくなっちゃう。短時間でできる電子的な検索はとても便利だけど、視野を狭めてしまう可能性があることを忘れちゃダメだよね。そのアナログとデジタルの折り合いはなかなか難しいけど、学生は敏感にアンテナを張って、多くの情報を受け取らなきゃならない。「気づかず・感じず・やらず」の3つの「ず」では自分を変えていくことができませんよ。だから、学生には情報に敏感になるよう心がけて欲しいね。また、声に出して読むということも、肺を使って頭骨を刺激するという点でとても大切なことですね。皆さんも、声に出して本などを読むようにしてみてほしいな。立命館大学の学生はやればできる人たちだよ。現代的情報論に惑わされず、アナログも大切にしてほしいですね。1日1回図書館へ行って本を手に取ってみれば、ものすごい力がつくはずですよ。

―― 貴重なお話をありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

原発列島:まんが/柴野徹夫原作;向中野義雄画/大月書店/1989