立命館大学図書館

   
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「第25回:デジタル資料をフル活用!」星野 祐司 先生(文学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 橋本、和田、大西

星野 祐司 先生
星野 祐司 先生の研究概要

―― 学生時代に影響を受けた本はありますか?

高校生の頃は少し時間もあったから、本をいろいろ読みました。世界の文学など、近所の本屋で自分で買えるような本や文庫本をずいぶん読んでいたように思います。特別感銘を受けたというのはちょっと思い当たらないんだけれども、いろいろ読んで、影響を受けたような気がします。当時のことと今やっていることはあまり関係ないので、直接何か影響を受けたということではないんですよ。

大学に入ったらば、少しは専門の勉強もしなきゃいけないな、と。認知心理学のテキストなどを、読まないといけないかなあと思いながら読みました。そのようなことでいろいろなものを読んできたので、特にこれ一冊!という感じはあまりしないですね。

―― 学生時代の図書館の利用頻度、利用方法を教えてください。

私の出身大学は、東京にある都立大学という小さい大学です。そんなに学生もいないし、図書館もそんな大きな設備ではなかったです。もちろん必要なものを探すという時には図書館に行ったと思いますけれども、図書館についての思い出はあまりないですね。ただ、心理学はどういうわけだか心理学の専攻の書庫があったんですよ。助手さんが管理している、書棚しかない狭いところでした。そこを行ったり来たりしてね。本がちょっとあちこちばらばらになっているなと思ったらシリーズ本同士を並び替えたりして。で、助手さんに「入荷した順番に並べているんだからシリーズで並べちゃいかん!」って怒られたりしてね(笑)。そこを利用していました。

図書館という話題ではないけれども、私は大学から自宅まで電車に乗って帰っていかなければいけなかったんですよ。それで、途中で新宿の本屋さんに寄って、本屋さんの本棚を端からずっと見ていったりしました。今でもその本屋さんを懐かしく思います。

―― 現在は図書館をどのくらい利用されますか?

最近はあんまり図書館には行かないんですよ。私自身の情報源はもうPDFになってきています。最近は学術雑誌の電子化がずいぶん充実してきたので、そういうものを利用しています。自由にダウンロードできるものもあれば、立命館大学が契約していてくれるものもありますね。コピーしなければいけないものがあるときは、人文系文献資料室とか修学館リサーチライブラリーの雑誌コーナーを利用したりしています。あとはAmazonを使って検索したりしますね。授業の準備などいろいろありますので、電子化が進んで助かっています。

―― 現在はどのような資料を利用されますか?

私はPDFの学術雑誌をよく参考にしています。心理学は、専門的なものから説明的なものまで学術雑誌がいろいろありますので、そういうものはよく利用していますね。さっき言ったようにPDF化もずいぶん進んできていますし、PDFの質もずいぶんよくなってきたので、PDFのままで文献の整理のソフトを使って整理して、パソコンの中に資料を収めるようにしています。最近は普通の本を個人でスキャナでとってPDF化している先生もいると思います。私は幸いPDF化している論文が多いので、それをそのまま利用することが多いです。

―― もっぱらデジタルということでしょうか?

そういうことですね。文献資料のデジタル化っていうのが先生の間でのテーマじゃないかな。幸い図書館もいろいろなサーバーと契約してくれているので、いろいろ入手できて便利だと思います。

―― 学生にお勧めの本や資料があれば教えてください。

最近私はこのような本の購入希望を図書館に出したんです。BKCにもある本です。『錯覚の科学』は、心理学の本で、記憶や知覚に関する本ですね。

『歌うネアンデルタール』は、最初の方はわりと心理学的なことが書いてあるんだけれども、基本的には文化人類学というか考古学というか、化石や遺跡をたどって検証している研究です。要するに言語と歌はどういう関係にあるのかという話ですね。人間の特徴として言語を使うってことがあるじゃないですか。言語を使えるようになった人間がついでに歌も歌っているのか、そうじゃなくてもともと言語と歌と共通するような部分があって、それがそれぞれ発達していったのか。そのようなことを議論しています。音楽ともちろん関係があるし、言語とも認知心理学とも関係がある領域です。

最近こういう人類学的な研究っていろいろありますよね。『旅する遺伝子』もその一つです。遺伝子と関連付けて、人類がどういう風に変化してきたのかが書いてあります。私が学生だった頃は人類の起源がアフリカとアジアの二つあるかもしれないなんてことも言われたけれど、最近ではアフリカから旅をしてアジアやヨーロッパに広がったということが言われるようになりましたね。その他にも、日本人と関係づけていろいろ書いてある本もあります。日本人は地域的に東アジアの遺伝子が集まっているからね。

そういうことは私の専門じゃないんだけれども、たまにちょっと気楽な感じで読んだりしています。進化と心理学は関係があるから、興味を持っています。最近の面白いテーマですよね。

―― 図書館への意見や要望をお願いします。

図書館には、PDF化や電子書庫のことをいろいろずっとお願いしてきたんですよ。でも最近はずいぶん充実してきたように思います。キャンパスの規模や大学の様子を鑑みて、図書館のあり方というものを考えないといけないと思います。立命館の図書館は共同で作業するようなスペースもあるのかな? 机もわりとオープンで、広い空間があって使いやすいと思います。その一方で、個人がこっそり勉強できるような、ちょっと間仕切りがあって、隙間をうまく使っているような、そんなスペースが将来的にはあったらいいなと思います。

―― 他大学・外国と比較して立命館大学の図書館をどう思われますか。

私は図書館自体にあまり興味がないので、比較をしたことはないのですが、資料の入手のしやすさはずいぶん努力されていると思いますよ。

―― 立命館大学に赴任されたときに、図書館を訪れて何か驚いたことはありますか?

驚いたということはありませんよ。私は実験系心理学だから、文献があまり重要ではなくてね。実験室とかパソコンがあるかとかそんなことのほうが気になっていました。

―― 最後に学生にメッセージをお願いします。

最近では電子媒体がいろいろ発達してきているけれども、いろいろ本を手に取って、自分の目で端から端までいろいろ探してみるとかして、図書とか資料に触れてほしいなと思います。私自身の経験からも、偶然面白いものが見つかったりすることもあると思いますよ。

―― 本日は貴重なお話をありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

錯覚の科学 / クリストファー・チャブリス, ダニエル・シモンズ著 ; 木村博江訳 文藝春秋 2011
歌うネアンデルタール : 音楽と言語から見るヒトの進化 / スティーヴン・ミズン著 ; 熊谷淳子訳 早川書房 2006
旅する遺伝子 : ジェノグラフィック・プロジェクトで人類の足跡をたどる / スペンサー・ウェルズ著 ; 上原直子訳 英治出版 2008