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「第64回:人と植物」笠原 賢洋 先生(生命科学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 津村、武田

2018.08.02

―笠原先生の研究分野について教えてください。

今研究室では二つの大きなテーマがあって、一つは植物と光応答で、植物は光受容体としてどのようなものを使っているのかかだったり、その感じた光を彼らの生活の中でどう使っているのかを調べています。もうひとつは、cAMPで、これは学生のときに構造を見て忘れられなくなってしまってね。cAMPは外からの刺激を細胞の内側に伝える分子(セカンドメッセンジャー)で、これはとっても重要な分子で人の体の中でも色々な所で働いているんだけれど、人だけじゃなくて大腸菌からあらゆる生物の細胞の中の情報伝達物質として重要だということがわかっていてるんだよね。このcAMPの発見によって細胞内のシグナ伝達という領域が発展していって、さらにcAMPを発見したサザランドって言う人はノーベル賞を受賞していて、あらゆる生物においてcAMPの働きが注目されて調べられていたんだけど、cAMPが何をしているか植物ははっきりしていなかったんだね。そこでここ最近、cAMPを作る酵素を研究室で発見して、私が大学院にいた頃からシアノバクテリアという光合成生物だけれども、それのcAMPの働きをずっと調べていて、植物ではどうなっているんだろうと興味を持ってたんだよ。けど、実験を繰り返してもなかなかそこを突破できなかったんだけど、最近やっとCAMPを作る酵素が見つかったんで、植物はある意味ぽっかり穴が開いていたんだけど、やはり植物にもcAMPの働きがあって、今はそれを詳しく何をしているかを調べていますね。 そういう意味ではずっと「光と生物」、「光と植物」と「cAMPと植物」というキーワードで研究をしているって感じかな。

―今までの読書体験を教えてください。

小学生の頃は夏5時半になると起きて、虫を取りにいきましたね。そこで、虫かごに入れて虫にえさをやるのは母親ですけどね(笑)。蝶も好きで、小学校の頃の先生が蝶好きでしばらく、蝶の採集なんかも飛んでいる蝶を見ると大体何の蝶かわかるぐらい図鑑は見ましたね。

椎名誠が当時人気でした。アングラな感じがすきで、外で焚き火を炊いてキャンプをして、友達と遊んだりしましたね。色々読みましたけど、軽い感じの本が好きでした。

―大学生活ではどのように図書館を利用されていましたか。

普通に皆さんと一緒でレポートを作成するときなんかに使っていました。それ以外に、結構図書館は利用しましたね。植物関係の植物ホルモンの本を読んでいましたね。授業の合間などによく利用しましたね。

―将来の図書館はどうなると思いますか。

衣笠キャンパスみたいに、コーヒーショップなどがあると良いですよね。他にキャンパス全体快適になるといいですね。

静かで勉強できるところはなくならないと思いますね。私が大学院生のときは、本のコピーをするのに大変でした。いくつかの図書館をまわってコピーをしましたね。大変でした。今はデータベース化されていて、pdfがなかったらまず読まないですね。より便利になると思いますよ。時代と共に図書館も替わっていくと思いますね。

―影響を受けた本やオススメの本を教えください。

ノンフィクションを書く人で、深夜特急は沢木幸太郎がバックパックした話で、これはある意味すごく影響を受けましたね。最近学生さん見てても、ひとりで旅行なんて行かないでしょ。

―怖くて一人ではなかなか行きませんね。

ね、海外旅行行くってなってもだいたい友達とバックパックしたりするでしょ。だけど、私の周りの友達がそうだったのか時代だったのか、結構みんな一人で旅行に出かけてましたね。私も学生の頃には最初は国内を旅行してたんだけど、あの時はある程度行ったら日本どこ行っても面白くないなって、次は外国に行こうと思いましたね。

―どの国に行ったのですか。

安く、なるべく長くふらふらできるアジアの国に行きました。中国、インド、ネパールあたりですね。インド三角形の国の形に添うように色々な街を巡って、途中でネパールに寄ったり、1か月くらい旅をしました。

―バックパックの印象に残っているエピソードはありますか。

まあ悪いことしか覚えてないよね(笑)。食べ物にあたって大変な思いをしたとか。でも、行くとやっぱり町のにおいとか空気とか肌で感じることがいっぱいあったね。沢木幸太郎の深夜特急は彼自身が行った旅行の体験記で、結構面白くて、実際にバックパックしたときに重なるものがありましたね。ぜひ、そういう意味では、連れ立たずに皆さん一人旅に挑戦してみてほしいですね。 ファインマンはノーベル物理学賞を受賞した人で、この本は子供の頃の話が書かれていたり、ある意味彼の自伝ですね。学者ってこうなんだなって、子供の頃からいたずら好きで身の回りにあるものを使ってこういう物作ったとか、失敗したこととかが書いてありますね。大きくなってからの学者間の交流のことも書いてあったりして、憧れるようなものがあったりしてね。研究者を目指す人、目指さない人もそんな固い本ではないのではないのでぜひ読んでみてほしいですね。こんな風に学者やれたらいいなと思います。楽しそうですね。この本は影響を受けたというか、今でも覚えている本ですね。

―学生へメッセージがあればお願いします。

良い暇な時間を作ってください。みんな忙しすぎだよね。我々はある意味暇だったね。この暇をどうつぶそうかと自分の好きなことを見つけてた気がしますね。今スマホなんてすぐ暇つぶしに使えちゃうもんね。電車で学校通ってても昔はスマホなんてなかったから暇で暇で仕方なかったわけ、その時に小説読もうかとか、この前印刷してきた英語の論文読もうかってなってましたね。暇な時間を作って、将来のことや面白いと思うことなどいろんなことを考えるのがいいんじゃないかなと思います。ぼーっとすることもいい時間の使い方だと思います。退屈で退屈で仕方なくなったときにそれが、何かやる力になるんだよね。

時間を大切に、いい時間の使い方をしてください。

今回の対談で紹介した本

『深夜特急』、沢木耕太郎、1994年、新潮社
『ご冗談でしょう、ファインマンさん』、R.P.ファインマン著;大貫昌子訳、2000年、岩波現代文庫
『困ります、ファインマンさん』、R.P.ファインマン』著;大貫昌子訳、1988年、岩波書店