立命館大学 図書館だより ライブラリーナビゲーター Ritsumeikan University Library Library Navigator

Spring/Summer 2021Vol. 127

Library Navigator(図書館だより)は、立命館大学図書館と利用者のみなさんをつなぐため、1974年から発行している逐次刊行物です。第126号より、オンラインに移行して発行します。

Feature #01

図書館へようこそ
ライブラリースタッフによる大学図書館の使い方

Message

図書館長からのメッセージ
新入生の皆さんへ

重森 臣広
立命館大学図書館長/政策科学部教授

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。新型コロナウィルスの感染拡大への対応が始まってから一年以上が経過しました。本学でも、オンラインによる授業の実施、課外活動の制限、実験実習やフィールド研究の制約など、平常時とはまったく異なるキャンパス運営を余儀なくされました。みなさんも受験勉強をはじめ、大学入学準備に苦労されたのではないかと思います。

苦境や危機は、私たちに様ざまな我慢を求めます。願いがかなわなかったり、計画を断念せざるをえなかったりで、大小様ざまな失意や失望をみなさんも多く経験されたことでしょう。しかし、苦境や危機の経験を通じて、私たちは平常時とは異なる視点や視野をもつことがあります。みなさんの記憶に残っているところでは、10年前の東日本大震災で、自然の力の脅威に戦いたと同時に、それに伴って起こった原子力発電所の事故を目の当たりにして、文明生活を支えるエネルギー供給、防災、互助や共助の必要性について、考える機会が得られたのではないでしょうか。

現在の日本と世界が取り組んでいる新型コロナウィルスの蔓延も同じで、大学における研究活動もそうした視点と視野拡大が大いに求められています。それぞれの専門領域で蓄積された知見と知見を相互に吟味することで、苦境と危機を乗り越える新しい知識領域を開拓する努力が求められています。コレラ、腸チフス、猩紅熱の蔓延に悩まされた19世紀ヨーロッパでは、「社会医学(Social Medicine)」が新たな知識領域として誕生し、これがその後、公衆衛生学、都市計画の発展につながっていきました。

21世紀も苦境と危機は、いったいどのような知識領域を生み出すことができるでしょうか。入学された学部・学科でそれぞれの専門的知見をしっかりと学びつつ、知識と知見の刷新を見据えながら、学問それ自体のイノベーションを達成することを、若い世代の皆さんに期待して入学のお祝いとさせていただきます。

Recommend

図書館長おすすめ本
『ラ・ロシュフコー箴言集』

二宮フサ訳、岩波文庫赤版

人との関係で憤慨したり、逆に自分の愚かさが厭になったりすることがある。そんなとき、『ラ・ロシュフコー箴言集』の格言めいた人間論を味わってみることをおすすめします。徳と悪徳、友情と愛情、運命などを主題とする珠玉の格言は、「人間なんて…」「人間だから…」に続く様ざまな回答の集成で、有頂天になっているときも、意気消沈しているときも含めて、ざわついた気分を落ち着かせてくれることでしょう。最近のお気に入りは93番の「年寄りは、悪い手本を示すことができなくなった腹いせに、良い教訓を垂れたがる」です。