A群現代と文化

 現代日本はすでに、急速な工業化段階を終了し、経済的不足はかなりの程度解決された社会となってきました。世界レベルではいまだに経済的不自由の問題は深刻だが、日本ではその段階はおおむね終了しました。このため日本では、人間を政治、経済、社会、文化の4側面から捉えたとき、文化的な観点からみることの重要性が高まってました。そこでこの分野では、現代日本の特徴を世界の中に位置付けながら、社会および文化的存在としての人間を考察していきます。
 第2次世界大戦後の日本が経験した急速な社会変化は、さまざまの問題や課題をもたらしました。その中には人口の急速な高齢化や福祉の問題、教育問題などがあります。これらの課題は、主に社会的存在としての人間についての問題ですが、この分野では、これらの社会問題に対する考察を含みつつ、主に文化的存在としての人間について考察していきます。
 人間の文化的活動の中には芸術の持つ役割は大きく、表現芸術には絵画、音楽、演劇、文学、映像など多様なものがあります。この分野では、人間の多様な表現能力についても考察していきます。これからの教養人には、これまで以上に芸術に関する幅広くて深い知識が求められ、それが生きる力ともなっていくでしょう。この分野では、こうした諸点についても学生の主体的な知識の獲得を促します。

開設科目名、配当回生および概要・到達目標

※一部の学部は以下の科目群・分野の構成を適用していません

社会学入門

1回生以上

社会学は、知識の形態や手法としては抽象的な理論から社会調査まで、研究分野としては世界社会論から生活世界論そしてアイデンティティ論までと、社会科学の中でも特に多様かつ広範な批判的社会分析に取り組む学問です。しかし、多様な手法や分野はみな<社会学的想像力>という根本的な発想を共有し、源泉としています。本科目では、いくつかの具体的テーマや理論に即して、<社会学的想像力>の意義と面白さを知ることとします。

1.社会学の根本的な発想の仕方である<社会学的想像力>について、具体的事例に即しながら、その特徴と理解を得る。
2.社会学的な社会認識の成果として蓄積されてきた主要な社会学理論や社会学特有の問題領域について、基本的な理解を獲得する。
3.社会学の具体的な問題領域についての考察に触れることを通じて、実践的かつ批判的な社会学的問題意識を持って現実の社会的諸問題と関わる見識を得る。

文化人類学入門

1回生以上

文化人類学は、多様な人間集団の文化をフィールドワークによって詳細に研究し、「人間とは何ぞや」という問いに答えようとしてきました。本科目では、文化人類学のこれまでの成果を踏まえ、文化の諸側面についての理解を深め、人類と文化の関係性についてつっこんで考えることができるようになることを目的とします。

1.文化が、人間集団を取り囲む広義での環境への適応装置であることを説明できる。
2.文化の相対性について説明できる。
3.国民国家やエスニック・グループと文化の関係について説明できる。

文学と社会

1回生以上

文学(作品)は、人間の内面の葛藤が社会のさまざまな断面・現象を踏まえて描かれています。本科目は、作品鑑賞を中心に、作者が生きた時代社会と、作者と作品という三者の有機的関係を解明することを目標とします。

1.作品を読解し、作品の主題を理解する。
2.作品と作者との関係を把握し、作者の意図を認識する。
3.作者が生きた時代、作品が生まれた社会を視野に入れ、時代や社会の中で作品を位置づけることができる。

現代の教育

1回生以上

時間軸および空間軸での教育比較や人間観の比較、現代の教育や現代人の生き方に 包含される問題点の分析を通して、さらには今後の教育的動向も視野に入れつつ、現代の教育や人間の生き方を俯瞰、あるいは掘り下げ、望ましい教育像、人間像をともに考えます。

1.現代の教育の諸問題、あるいは人間観、人間の生き方について、その背景や歴史、原因、検討すべき課題を指摘できる。
2.現代の教育の諸問題、あるいは人間観、人間の生き方について、教育学的な視点に基づき、解決策や望ましい対処法を提案することができる。
3.教育や人間観、人間の生き方に関して日頃から興味関心を持ち、自ら調べ、考える態度を持つ。

世界の言語と文化(衣笠)

1回生以上

「グローバル化」や「多言語・多文化」と呼ばれる事態が地球規模で広がりつつある「現代」を生きていくためには、異文化や多文化共生への理解が不可欠であり、言語(ことば)に敏感になること、「母語」以外の言語・文化を学ぶことがますます重要になりつつあります。これらについて各言語の教員がリレー形式で講義を担当します。

1. 普段は空気のように何の違和感もなく用いていることばというものを意識化し,ことばの果たす役割について認識できる。
2. 初修外国語圏における言語・文化・歴史・社会を学ぶことで,「母語」を相対的視点から見ることができる。
3. 今日の国際社会に対する深い理解と,「現代」を生きるにふさわしい視野を獲得している。

世界の言語と文化(BKC・OIC)

1回生以上

本科目は、開講される初修外国語圏の各言語や、それらの言語圏における文化・社会・歴史などに触れながら、異文化国際社会そして多文化共生などに対する理解と視野を養うことを目的とします。

1.初修外国語圏のそれぞれの言語の歴史や特徴を簡単に説明できる。
2.初修外国語圏のそれぞれの国の文化や社会の特徴を簡単に説明できる。
3.初修外国語圏のそれぞれの国の歴史を簡単に説明できる。

映像と表現

1回生以上

古来プラトンの洞窟より、人間にとっての唯一の現実とは影像=映像であり、映画芸術は観客自身を表象する鏡です。本講義では、主に映画芸術を映像メディアの原点としてとりあげ、映像論のなかでも基礎的・普遍的な映画理論を主軸に、表現とテクノロジー、映画表現の特質を検証していきます。この科目は、映像表現の歴史・理論・特質への理解を深め、自分の頭で映像とその文化を考えていくことができるようになることを目的とします。

1.映画・映像文化の歴史について基礎的な説明をできる。
2.映画・映像表現に関する基本的な理論や特質を説明できる。
3.映画・映像メディアと社会との関係性に興味・関心を持ち、考える態度を持つ。

美と芸術の論理

1回生以上

現代の我々にとって、美や芸術というものは、まず第一に感性的なものとして見なされるけれども、それを学問対象として、論理的に考える/語るには、どんな接近の仕方があるでしょう? この科目では、美学・美術史学の方法論の習得を出発点として、様々な芸術作品をとりあげ、作品の分析方法や、芸術をめぐる社会の問題など、視野を拡大しながら、美と芸術への理解を深めます。

1.美と芸術に関わる理論・基礎知識を習得する。
2.美と芸術をめぐる社会や枠組みといった、多様な視点を知る。
3.それらに基づき、美と芸術について、自ら考え、論理的に語る。

メディアと現代文化

1回生以上

通信技術の飛躍的発展によって、現代の社会と文化をめぐる環境は大きく変貌しつつあります。本科目では、文字や音声、映像といったメディアが、本、新聞、雑誌、映画、テレビ、ラジオ、電話、インターネットなどの形をとって、社会・文化の形成・発展とどのように関係してきたか、またメディアと現代文化との間にどのような問題と課題があるのかについて学びます。

1. メディア(マス・メディア)と現代の社会・文化との関係についてのこれまでの考え方とその背景を説明できること。
2. 現代のメディア(マス・メディア)の在り方をめぐる社会的な問題を説明し、課題と方方向性を提示できること。
3. 自分をとりまくメディア環境とそれとの関わりについて、具体的かつ客観的に分析できできること。

世界と日本の食文化

1回生以上

中国、東南アジア、インド、ヨーロッパ、北米アフリカ、中東、そして日本を中心に、世界各国・各地域の食、食事情、食の変遷、食文化、食関連産業の事例を紹介することによって、食文化の多様性を具体的に理解する。

本科目の学習を通して、外国の視点から日本の食を考え、「当たり前の日常の食が不思議に見える」感覚を元に食の観点から異文化を理解する基本的態度を身につける。

特殊講義(映像メディア実践入門)

1回生以上

通信技術の飛躍的発展によって、現代の社会と文化をめぐる環境は大きく変貌しつつあります。本科目では、文字や音声、映像といったメディアが、本、新聞、雑誌、映画、テレビ、ラジオ、電話、インターネットなどの形をとって、社会・文化の形成・発展とどのように関係してきたか、またメディアと現代文化との間にどのような問題と課題があるのかについて学びます。

本科目では、「映像による表現の実践」を主眼に、グローバル化社会における共通言語のひとつである映像による表現活動の実践を通して、プレゼンテーションも含めた表現ツールとして映像のリテラシーを身につけることを目的とする。参加者たちは、特定のテーマや表現内容、様式のもとに、グループでの協働作業を通じて映像表現の実践を行っていくこととする。
従来の言語に重点を置いた実践と比較して、映像表現においては認知的側面と同時に情意的側面も重視される。その意味で、本科目は感性や創造性を含んだ21世紀における全人格的な表現活動の素養の涵養にも資するものである。

観光学

3回生以上

観光はきわめて近代的な現象で、経済、社会、文化、心理、自然等多様な要素が関与しています。本科目では、このような観光を多様な角度から理解し、この現象の面白さを自分で発見できるようになることを目的にしています。

1.観光が、どういった点できわめて近代的な現象であるのかを説明できる。
2.観光には、多様な主体が関与していることを説明できる。
3.観光は私たちの社会に大きく貢献することができるし、また同時に悪い影響も与えるといった二面性を有している、ということを説明できる。

京都学

3回生以上

本科目は京都をテキストとして、歴史・地理・文学を中心に社会・経済・建築などさまざまな側面から学際的にアプローチし、京都の個性や地域性を総合的に理解します。講義は各専門分野の立場からリレー方式で行われます。

1.「京都」を多面的重層的にとらえ、他者に語ることができる。
2.自ら「京都」をフィールドワークし、そのフィールド経験を通じて、自身に とっての「京都」を他者に語ることができる。

(留)日本語学

2回生以上※

※2016年度以降入学の留学生対象

現代日本語を理解するために必要な言語学知識を身につける。言語学の基本的な考え方・分析方法を知るとともに、他言語との比較も行い、現代日本語の特質を理解することを目指す。

現代日本語の音声学、音韻論、形態論、統語論、意味論などの基礎的手法を習得する。