A群自然・科学と人類

 この分野は、主に自然科学および科学技術に関する諸分野を対象とし、その歴史や到達点を学ぶとともに、現在および今後の課題について、われわれがどう向き合うのかを考える力をつけることを目標にしています。現代社会においては、自然科学や科学技術が及ぼす影響は極めて大きくなっており、文社系の学生にとっても、科学技術と社会の関わりに関心を持つことは不可欠です。とくに宇宙科学、地球科学、生命科学など最先端の科学技術や、環境問題、生命倫理などの新しい問題が今どうなっているのかを理解し、それらに対する見方・考え方を身につけることが必要です。
 理系の専門科目では基礎的な知識が前提となりますが、教養科目としてのこの分野では知識の習得よりもものの見方・考え方の習得が主目標となるので、問題への関心の強さと学ぶ意欲が求められます。

開設科目名、配当回生および概要・到達目標

※一部の学部は以下の科目群・分野の構成を適用していません

科学的な見方・考え方

1回生以上

科学的な観方・考え方を、担当者独自の切り口で講義します。学生達が、将来どのようなVariationの自然科学・技術に出会っても、怯えることも騙されることもなく、山勘だけで処理するのではなく、自分で考えて理解・解決するための基礎的な力をつけていきます。

1.科学的な見方・考え方とは何かを説明できる。
2.科学的な見方・考え方が必要なことを理解できるようになる。
3.科学的な見方・考え方ができるようになる。

宇宙科学

1回生以上

宇宙的広がり(百数十億光年)、宇宙的歴史(百数十億年)、天文学的な数の星(1千億の銀河xその中の1千億個の恒星)の中で,宇宙がどのように理解されてきたかを知り、また大気・水・生命を持つ地球はこれらの中でどう位置づけられるのかを、ミクロとマクロの現代科学的視点から考えます。

1.自然科学の考え方を宇宙を題材にして身につける。
2.宇宙科学の見方を通じて空間的・時間的にマクロな見方を身につける。
3.宇宙の研究の歴史から現代科学の発展を知る。

地球科学

1回生以上

生命・水・大気・大地が相互に影響しあいながら、46億年という長時間をかけて地球は変化してきました。水・大気・大地それぞれのダイナミクスと相互作用を、現代科学的視点から考え、日常経験する複雑な自然現象の根本原理が実は単純なことを学びます。

1.自然科学の考え方を地球を題材にして身につける。
2.地球科学の見方を通じて空間的・時間的にマクロな見方を身につける。
3.地球の過去と現在を知り,未来を自分の頭で考えることができるようになる。

生命科学(分子と生命)

1回生以上

生物個体から生物を構成する中身(分子)に関する項目を学習します。「そもそも生物とは?」いう問から始まり、生物のからだのつくりを考えます。具体的には、生物個体(動物や植物自身)から出発して、その内部構造(細胞や遺伝子)へと展開する生命科学の基盤となる内容です。引き続き、生物・生命のもう一つの特性である「増殖と遺伝」や「代謝」について解説を進めます。そして、応用編として「人間と医療」に関わる諸課題について考察していきます。

1.「生物個体から分子」に関する基礎的事項をきっちりと理解し、生命に関する新聞記事や各種報道に対応できる素養を身に付ける。

生命科学(生物と生態系)

1回生以上

生物個体から視野を広げて生態系に関する項目を学習します。具体的には、生物個体の話題から出発して、生物集団、生態、そして地球上の生物の多様性について展開していきます。最終的には、応用編として身近な話題である「地球環境や食糧問題と人間」について、様々な角度から考察していきます。

1.「生物個体から生態系」に関する基礎的事項をきっちりと理解し、生命に関する新聞記事や各種報道に対応できる素養を身に付ける。

現代環境論

1回生以上

現代の公害・環境問題に関する主要なテーマを取り上げ,汚染と被害の実態を概説し,その原因・発生メカニズム・影響などを自然科学と社会科学の両側面から考察します。現代社会や人間活動と関係づけながら,市民・企業・行政のそれぞれの役割と環境問題の克服への課題について検討します。

1.現代の公害・環境問題についての汚染と被害の実態・原因などを幅広く理解できる。
2.現代の公害・環境問題の課題について,自分の頭で考えて,その見解を論理的に述べることができる。

科学と技術の歴史

1回生以上

自然科学の成立・発展と、技術の発達の両者を区分し、それらを系統的、通史的に学びます。またとくに産業革命以降、科学と技術がどのように相互に影響しあい、歴史的に発展してきたのか、その現代的、社会的展開も明らかにしていきます。

1.科学史の流れの基本的なポイントについて説明できる。
2.産業革命など技術史の基本的な流れについて説明できる。
3.科学と技術が関連し合って発展してきたことやその社会的展開についても説明できる。

生命科学と倫理

1回生以上

20世紀後半の生命科学の飛躍的発展と、先端医療技術の普及により、従来の人間観・倫理観・慣習は大きな影響を受けてきました。また、生命技術は環境との関係にも新たな問題をなげかけています。文化的・社会的・法的な軋轢のもとで、生命倫理という問題領域が生まれ、様々な議論や実践がなされてきました。これらの蓄積について学ぶとともに、「生・老・病・死」の変容や生命技術と社会の関係などについて考察を深めます。

1.生命科学と倫理をめぐる諸問題や論点を理解できる。
2.それらの諸問題を検討するための、初歩的な調査ができる。
3.諸問題に関する学習や調査を踏まえ、自ら論点を整理し、客観的な根拠に従って述べることができる。

科学・技術と社会

1回生以上

文・社系の学生の動機付けにもつながるようなトピックスをとりあげながら、科学技術にかかわる現代的な社会問題、あるいは産業経済との関わりやその日本的特質などを通じて、科学技術の果たしている社会的役割、影響、および問題点を明らかにします。

1.科学や技術に関わる社会問題に関心を持つ。
2.科学・技術と社会、あるいは産業経済との関わり等の代表的な例について説明できる。
3.科学・技術と社会の関わりについて、自ら調べ、考える態度を持つ。

現代の科学技術

1回生以上

担当する理工系教員の最も得意とする分野に講義内容を特化し、日常的に役立っている科学技術から先端的なものにいたるまで、試行錯誤や経験の蓄積および豊かな発想から生まれた素晴らしき現代の科学・技術事情を学ぶ(情報技術との峻別)。

(留)日本の自然・科学技術

1回生以上※

※2016年度以降入学の留学生対象

自然科学のトピックを通じて、日本に対する理解を深める科目。自然科学的アプローチにより自然環境としての日本に対する理解を深める内容、または、日本で展開される自然科学の研究ないし科学技術の研究に関する知見を広める内容を含む。

・日本について自然科学の視点を介して認識することで、日本に対する理解を深めるための教養的基盤を拡げることができる。具体的内容により、以下の何れかの到達目標を達成する。
・日本の自然環境に対する科学的理解を深めるとともに、自然環境の世界的な多様性を認識できるようになる。
・日本の基礎的自然科学ないし応用的科学技術の歴史を背景に、日本の自然科学ないし科学技術の現状を理解できるようになる。