A群数理と情報

 この分野では、主に数理的な見方と考え方の涵養をはかりつつ、あわせて情報関連科学に注目します。数理的な世界について学ぶことによって、学士課程でどのような分野を専門的に学習する際にも必要である、論理的で合理的な思考方法を身につける契機になることを期待します。ここで重要なのは、たとえば代数学を学ぶ際には方程式の解法を学習するのではなく、方程式という数理的世界の思考方法の特徴を学習することによって現象を論理的に把握することを学ぶことです。代数学、幾何学、解析学など数理の世界は多様ですが、ここではその歴史的発展の経緯、数理的思考法の特徴とその応用などを学習します。
 さらに、数理の世界の応用として、情報理論とコンピューター、および情報科学についての、広範な学習を学生に促します。情報科学の進展は、多様な回路から社会に大きな影響を及ぼしつつありますが、情報技術と社会の諸活動との関連にまで考察の範囲を広げています。

開設科目名、配当回生および概要・到達目標

※一部の学部は以下の科目群・分野の構成を適用していません

数理の世界

1回生以上

数、図形、確率、などさまざまな数学的対象を通して、歴史的発展をたどりながら、数学的なものの考え方や見方を学びます。特に数学における「定義」と「証明」の考え方を、色々な対象に応用することで、数学という学問の力とディシプリンを学んでいきます。また、数学の学習は抽象化の能力、論理的思考力の恰好の訓練の場でもあります。

1.数学における定義、定理、証明の概念を理解する。
2.数学の中の具体的な分野を例に、上の1の内容を説明し、具体的な問題にその考え方を適用できる。
3.上の2を通して、数学がどのように現実の自然科学的な問題、あるいは社会的な問題に適用できるか、理解できる。

情報の数理

1回生以上

コンピューターやインターネットが社会の中心で重要な役割を果たすようになった現代において、「情報」を科学的、数学的に捉え、その理論を研究し、応用を考えることの重要性が増しています。この科目では、専門的になり過ぎることなく、「情報」をいかに定量的に捉え、理論的に定義するか、それを用いてどのような性質が導かれ、現実世界への応用がされるかを解説します。特に、シャノンの情報理論、通信、計算量、暗号、など、いくつかのテーマを選んで講義します。

1.「情報」を科学的・数理的にとらえる方法と姿勢についての正しい認識が身につく。
2.その認識を下に、現実の問題に応用していくためのプロセスを論理的かつ現実的に考察できるようになる。

情報科学

1回生以上

情報処理の機械化に必要な情報の表現の仕方や、処理の仕方を通じて、コンピュータのメカニズムを理解します。また、計算機が持つ情報処理能力と人間の情報処理能力の比較を通じて人間の限界にも言及します。さらに、曖昧さの尺度としてのエントロピー、記号処理機としてのチューリングマシン、セルオートマトンなどについて解説し、情報を科学的に扱い理解する方法について学習します。

1.情報の科学的な考えをみにつけて、論理的に情報が考えられる。
2.情報を機械的に処理するとはどのようなことか説明できる。
3.機械による情報処理と人間の情報処理の能力について比較をし、この問題に対して関心や興味を持って自己の考えとアイデアについて説明できるようにする。

情報技術と社会

1回生以上

社会は急速に情報化社会に移行しています。すなわち、大量生産による効率向上を目指した社会から、個性化重視の情報化社会に移りつつあります。本科目では、情報化社会を支える情報技術について学ぶとともに、情報技術によって人々の社会生活がどのように変わってきているのかを、具体的な例をあげて考察します。

1.情報社会を支えるコンピュータおよびネットワークの基本的な仕組みを理解し、説明できる。
2.情報技術を活用した製品やサービスが社会に与える影響について理解し、説明できる。
3.情報社会の進展にともなう課題とその対策について理解し、説明できる。

統計学

1回生以上

統計学は、集団現象に関するデータを収集し、その集団の特質をデータに基づいて記述・推測する方法を基本としつつ、データ解析へと拡がりをもって発展している科学であり、自然・人文・社会諸科学の数量的分析において広く利用されています。この講義では、初めて統計学を学ぶ学生を対象に、統計学の基礎的な手法について、その考え方を理解し、計算力をつけ、人文・社会科学諸分野への応用力を培うことを目的としています。

1.統計データを整理して、度数分布表とヒストグラムを描くことができる。
2.平均、分散、標準偏差などの基本統計量の意味を理解し、計算することができる。
3.二次元以上のデータについて、散布図を描き、相関係数を計算することができる。
4.また、最小自乗法を理解し、回帰直線を求めることができる。
5.母集団と標本の関係について理解し、平均値や比率の推定をすることができる。
6.統計的仮説検定の考え方を理解することができる。

特殊講義(実践データ科学1)

1回生以上

統計学およびデータ分析の実際への応用の基礎について、実社会における応用事例を交えて幅広く学ぶ。

統計学やビッグデータ解析、人工知能の基礎を理解し、これらが実社会でどのように活用されるかを理解する。マスコミ等で報道される統計データの読み方を学ぶ。

特殊講義(実践データ科学2)

1回生以上

実際にデータを収集して統計学等を活用して分析する。その分析結果からどのような問題解決が可能になるか討論する。成果をグループごとに発表する。クラスは数学の学力レベルに応じて構成する。

統計学やデータ科学の、運用や実社会応用にむけて、企画力、情報セキュリティ、データビジネスにおける文理協働の重要性を学ぶ。