南極地域由来新規微生物群の環境適応機構の解明




 低温乾燥貧栄養、さらには強度の紫外線にさらされる南極地域は多くの生き物にとって生育困難な環境です。しかし、海底の熱水孔や高塩湖等の極限環境から微生物が見つかっているように、南極地域からもその過酷な環境に適応した微生物がいくつか見つかっています。

        
      Fig. 南極の氷床                    Fig. 南極の氷山


 今中教授は南極地域における微生物の探索と分類を目的として、第46次南極地域観測隊(2004.11〜2005.3)に参加されました。そこで、南極海や露岩地域の土壌、内陸湖沼水など約260種のサンプルを採取し、種々の条件でスクリーニングを行ないました。今までに、1000種を越える貧栄養性菌好塩性菌光合成菌などの分離に成功し、その中には、形態観察や生化学的、生理学的な解析から、既知微生物との相同性が低く、新規性の高い微生物が含まれていました。

          
   Fig. 全ゲノム解析済みの貧栄養性細菌   Fig. 形態的にもめずらしい新属・新種細菌
         (バーは5 μm)
                          (バーは10 μm)


 南極地域は地球上の他の地域と隔絶されたフロンティアであり、そこにはまだ知られていない生物や独自の生態系が眠っていると考えられます。そこで、当研究室では南極地域のサンプルより分離した微生物の詳しい同定や機能解析を進めていくことで、南極地域の環境適応機構の解明や、自然界スクリーニング対象の拡幅を目指しています。

Fig. 白い岩の隙間に潜むラン藻をはじめとする共生微生物群







立命館大学 | 生命科学部・生物工学科 | 創造理工専攻 | 今中研