本研究室では、バイオテクノロジーの力でウイルス病に強い農作物を作出することを目指しています。基礎〜応用まで幅広く研究を展開しています。私竹田の研究人生を振り返りつつ、現在の研究内容について紹介させていただきたいと思います。
そもそもウイルスとは何でしょうか?
ウイルスとは核酸(DNAまたはRNA)とタンパク質からなる微粒子(化学物質)です。毎年冬に猛威をふるうインフルエンザウイルスのように膜に包まれた構造を持つものもいます。タンパク質の情報をコードした核酸をもつことや、宿主細胞内で増殖することなど生物的な面も持っています。動物に感染するウイルスを動物ウイルス、植物に感染するウイルスを植物ウイルス、細菌に感染するウイルスをバクテリオファージなどと総称します。ウイルスは単独では増殖できず、必ず宿主細胞の代謝に依存して増殖します。
植物ウイルスとは? 〜植物ウイルスとの出会い〜
動植物、微生物に感染するウイルスを通じて最初に同定されたウイルスは、タバコモザイクウイルスです。植物ウイルスに感染した植物の記録は、古くは万葉集にまで遡ります。人類が農耕をはじめて以来、植物ウイルス病とのつきあいは切りたくても切れないものとなっています。今日でも植物ウイルスによる大きな経済的被害が引き起こされています。
植物に病気を引き起こすウイルスの大部分は、タバコモザイクウイルス同様にプラス鎖RNAをゲノムとして持っています。学部3回生の時に受講した植物病理学の講義は衝撃的でした。5’末端にVPg?、3’末端にtRNA様構造??、CapもポリAもないのに翻訳させる???。しかもポリシストロニック?真核生物のmRNAとあまりにも構造が違っているではないですか。。。
「なぜ植物はウイルスRNAからの翻訳を許してしまうのか?」
「なぜ植物はウイルスRNAを分解出来ないのか?」
これらは、今でも持ち続けている疑問です。
植物RNAウイルスのゲノムは、4000~10000塩基ほどからなり、通常4~10の遺伝子をコードしています。植物RNAウイルスのゲノムはとにかくコンパクトです。遺伝子同士が重なり合い、所狭しと並んでいます。分節ゲノム、サブゲノム、リードスルー、ポリプロテイン、フレームシフト、リーキースキャニング、インターナルリボソーマルエントリー、リボソーマルシャンティング、、、裏技の数々を駆使して、ウイルスの遺伝子発現が完了します。
つづく。。。
余力がある時に書き足しています。
しばらくお待ち下さい。
•ウイルス感染時に見られるRNAi関連遺伝子の発現変動機構に関する研究
•植物ウイルスのRNAiサプレッサーの機能解析
•N. benthamianaにおけるウイルス抵抗性機構の解析
•植物ウイルス感染に必要な新規宿主因子の探索
•ゲノム編集を利用したウイルス抵抗性作物の作出
•Small RNAによる標的mRNA決定機構に関する研究
•ゲノム編集を利用したmiRNAの機能解析
•植物の生育に必須なmiRNAの探索
•Small RNAを利用した新規スクリーニング系の構築
•TGSを誘導しない多重過剰発現系の構築
•配列特異的な転写活性化法・抑制法の開発