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  • 稲田 康宏教授
  • Yasuhiro Inada
  • 応用化学科
  • 研究室無機触媒化学研究室
  • 専門分野触媒化学、無機分析化学
  • 担当科目分析・無機化学Ⅰ、分析化学Ⅱ、分析化学Ⅲ
    • エネルギー変換
    • 機能材料
    • 環境浄化
Q1研究の内容を教えてください。

 自動車や工場などからの排気ガスに含まれる有害物質を無害化するとき、新しいエネルギー源として期待される燃料電池が水素を燃料として発電するとき、その水素を作り出すときなど、「触媒」が大切な役割を果たし、「触媒」がないと反応が進みません。「触媒」とは、化学反応式には姿を表さず、しかし目的の反応をより速く、より効率的に、より高い選択性をもって進める機能をもった陰の立役者です。
 天然ガスから水素を作るとき、COやNOxなどの有害ガスを無害化するとき、リチウムイオン電池を充放電しているときなど、実際に反応している「触媒」物質そのものを観測して、「触媒」がどのように反応に関係しているのかを調べ、より高性能な「触媒」を作るにはどうすれば良いかを研究しています。

Q2研究に興味を持ったきっかけを教えてください。

 地方の公立高校普通科で、運動系の部活に励む訳でもなく、平々凡々と高校生活を送っていましたが、知識を総動員しつつ、何らかの工夫(数学で補助線を入れるとか、物理で公式を組み合わせるとか)をして問題が解けたときの快感が大好きでした。化学を教わった先生の授業に感銘を受け、将来は化学に関する仕事がしたいと心に決めたことを覚えています。
 大学に入り、本来はすごく時間がかかる反応をあっという間に進めてしまう「触媒」のことを知り、とても不思議でした。「どうして?」って思いませんか? その好奇心が、「触媒」の反応メカニズムを調べる研究がしたいと決めたきっかけです。

Q3高校生へメッセージをお願いします。

 私たちの身の回りにある多種多様な物質の構造や反応を理解し、社会や環境に役立つ新しい機能をもった物質を生み出すための学問が「化学」です。周期表や色々な反応を覚えなければならない科目と思われているかもしれませんが、その知識をベースに改めて身の回りの物質を原子のレベルで見直したとき、その物質が持つ機能との関係が分かってきます。それが新しい「ものづくり」への第一歩です。そんな化学研究の面白さを味わうためには、やはり最低限の知識は必要で、高校時代はその知識を身につけていると思ってください。また、化学の勉強は高校の教科書にとどまる必要は全くありません。自分で興味をもった物質や機能について、少し深く掘り下げてみましょう。その時、学校で学んだ化学の知識が生かされる場面がきっとあるはずです。