人間研究学域

人間研究学域は、哲学・倫理学専攻と教育人間学専攻で構成されます。両専攻は人文学の中心問題である〈人間〉を、根源的な次元にたち帰って捉え直し、あるいは社会的な諸事象をとおして統合的に探究します。「人間とは何か」、「生きる意味」といった今日の人間の問題に迫り、人間の可能性、人知の可能性を創造的に切り拓いていくことが、共通の課題となります。

哲学・倫理学専攻

教学理念

哲学・倫理学は2600年の歴史を有する最古の学問です。各時代の最高の知性による思索の重層的な積み重ねが哲学・倫理学を形成しています。その学問内容は、深度、量ともに圧倒的であり、哲学・倫理学が皆さんの知的情熱を裏切ることは決してありません。存在、価値、美、自己、他者、社会、自然、生死、倫理、その他およそ人間として問わねばならない問題のすべてがこの学問の対象であり、内容です。偉大な先達の思索に親しむことによって、皆さんは世界をその根底から知り、人生の深みを見ることでありましょう。

しかし同時に、哲学・倫理学はそこから未来に向けてこれらの問題の新たな可能性を創造していく学問であり、その意味で最新の学問でもあります。真の思索力は、絵空事ではなく、現実の創造力です。それを今ここで担うのが皆さんの仕事です。哲学・倫理学専攻での学びと研究の理念は、人間である自己自身をつうじて、自ら問いながら、人間と世界のあり方をめぐる上記のような問題について広い知識を獲得し、深く思索し、新たな可能性を創造する力を身につけることにあります。

特徴

① 洞察的な問題発見力と問う力
② しなやかで深い理解力と豊かな知識
③ 創造的で強靱な思索力
④ 論理的な表現力
⑤ 他者とともに生きる自己の力

これらを総合的に習得するために、専攻では、「見抜く」「読む/聞く」「問う」を基礎としながら、さらに「語る」「表現する」ことを重視した発信型の授業も多く展開されます。専攻では、知を「獲得する」ことが、知を「創造する」ことにつながっています。さらに、これによって、皆さん自身の知らなかった自身の生き方と生きる態度が発見・確立され、人間社会の未来を創造する道が拓かれることでしょう。

専攻オリジナルサイト

教育人間学専攻

教学理念

教育は広義には、「ひと」を「人間」化する営みとして捉えることができます。さらに言うならば、この場合、より十全な人間の育成が目標となります。しかし、そもそも、「人間」とは何でしょうか? 「十全な人間」とはどういう人間なのでしょう? このような教育の根本にある「人間」への問い掛け(「私」とはいったい誰? 「心」とは? 等々)から私たちは吟味し直す必要があります。

私たちは、現代人のおかれている危機的状況に取り組むために、遠い過去から現代に至るまで連綿と続けられてきた先人たちの人間探究の成果を辿りなおし、それと同時に、今まさに私たちの目の前で起こっている日々の現実から学ぶ必要があります。人間は複雑に組織された全体的な存在です。こうした人間の心とからだの相関、心身の健康、意識の深み、生と死、自己実現、そして対人関係や心の病理、教育病理といった、これら人間形成と教育にかかわるさまざまな事象を多面的に探究していくなかで、統合的な人間のあり方を明らかにしようとするのが、教育人間学専攻の特色です。

特徴

① 「人間を問う」という永い人文学の伝統にねざし、最新の人間研究にもふれながら、教育と人間と心のあり方についての客観的知識を学び、さらに主観的理解を深めたうえで両者の統合をはかります。

② 実験実習専攻として、さまざまな体験的学習や実験の機会を用意しています。それをつうじて自分自身や対人関係のあり方を具体的に学ぶことができ、自己理解を深め、自己表現力を高めることができます。

③ 卒業論文の執筆に必要な専門的知識と技能を身に付けることをつうじて、教育と人間と心にかかわる諸現象を分析する力を養い、それを実際の諸問題の解決に結びつけられるようになります。

専攻オリジナルサイト

教員一覧

教員名 研究テーマ
伊勢 俊彦 研究テーマ人間性を動物のいのちから見直す
鵜野 祐介 伝承児童文学におけるいのちとたましいの伝え方
加國  尚志 メルロ=ポンティ存在論における文学の位置づけ
北尾 宏之 道徳規範の成立根拠と限界について
谷 徹 現代の諸問題とそれに応答する現象学の展開
鳶野 克己 人間形成の物語論的研究・笑いの人間学的研究
原 幸一 支援を必要とする方への心理・教育から理解する人間研究
福原 浩之 青年期の心の教育の理論的・実践的研究
山本 昌輝 臨床人間学
加納 友子 心身相関的介入による心の癒しと教育
亀井 大輔 デリダの脱構築思想の解明
川那部 隆司 人の自然認識の発達的変容の解明とその教育への応用
辻 敦子 「教育という語り」への臨床教育学的アプローチ
林 芳紀 現代社会の諸問題に対する倫理学的研究
細尾 萌子 フランスと日本における高大接続と学力評価の研究
山内 清郎 「教育」「子ども」「生活世界」「経験」の理解のための臨床教育学的研究