吉澤 香菜子(よしざわ かなこ)

専攻 現代東アジア言語・文化専攻

留学先 延世大学

留学期間 2016年2月~2016年6月

「やっぱり留学したい!」

 私が留学を決意したのは3回生後期の時でした。そのため、留学期間は4回生の前期になり、専門演習Ⅲを受けることができず、必然的に4回生で卒業ができなくなります。私は、5回生になってでも行きたい、きっと今しかない、そう思い留学を決意しました。大学に入学し、東アジア、特に韓国や韓国語について勉強していく中で、日本ではなく、実際に韓国に行くことで、もっと深く韓国を知りたいと思う気持ちが強くなりました。そして三回生の後期、今までの学びの集大成として、「やっぱり留学したい!」と留学を決めました。もちろん簡単に決まるはずもなく、韓国の名門大学「延世大学校」への留学であり、1学期間という短い期間でありながら、正規の科目を韓国語で受講するため、韓国語の能力はもちろん、韓国で生活する上で必要な適応能力なども重視され、競争率が高かったこの留学プログラムでしたが、なんとか合格することができ、発表された時の感動を今でもはっきりと覚えています。

 韓国での生活は、本当にあっという間でした。私が住んでいた地域は、江原道の原州(ウォンジュ)で、他の地域に比べると田舎と呼ばれるような場所だったので田舎出身の私にとってはとても落ち着く環境でした。しかし田舎だからといって何もないわけではなく、市内に行けば、映画館やボーリング場、おいしい食べ物屋さんもたくさんあり、十分に楽しめます。また、ソウルまで1時間ほどで行けるので、土日には遊びに行ったりもできます。

 原州キャンパスでの生活は、日本人学生はもちろん、日本語を話すことが出来る先生も全くいない環境だったので、ひたすら韓国語でのコミュニケーションをとるしかありませんでした。また、寮は韓国人学生と同じ部屋の二人部屋で、もちろん彼女も日本語が話せないので、毎日韓国語漬けという、本当に韓国語の勉強には最適の環境でした。

 私は国語国文学科専攻に所属しており、専攻独自のイベントなどにも積極的に参加し、学科のみんなと一緒に勉強をすることで、仲良くなりました。授業で分からないところがあって慌てていると、すぐ「ここはこういうことだよ」と教えてくれて、本当に学科のみんなにはたくさん助けてもらいました。

 また、一学期という短い期間でありながら、私はサークルに入ることができました。入部したのは「野球サークル」でした。もともと野球を見るのも実際にするのも好きだったので、マネージャーとして入部したものの、毎週水曜日の練習に選手たちと一緒に参加することもあったので、サークルのみんなにはとても驚かれました。試合の応援や合宿などにも参加することで、記録の仕方も覚え、授業では習わないような韓国語もたくさん教えてもらいました。

 留学に行く前は、日本人が全くいない環境と聞いて、期待と少しの不安がありましたが、学科やサークルの友達を始め、先生方や校内の売店のおじさん、おばさんまでもが本当に優しくて、暖かくて、多くの支えがあったからこそ勉強もプライベートも充実した毎日を過ごすことができたのだと感謝しています。

留学したきっかけ

 私は、現代東アジア言語・文化専攻で主に韓国について勉強しており、1回生のときから韓国留学に対する憧れがありました。しかし、私の姉も留学経験があり、留学にどれだけのお金が必要で、留学がどれだけ家族に心配をかけてしまうことなのかを知っていたので、なかなか踏み出せずにいました。このまま留学できず、卒業するのだろうと諦めかけたその時、転機が訪れました。私が専攻でずっとお世話になっている先生から、ある留学プログラムの話を教えて頂きました。それが、私が参加することになる「2016年度前期 延世大学校人文芸術大学国語国文学科留学プログラム 」でした。このプログラムは初めて実施される留学プログラムで、私は第一期生として参加しました。他にも様々な留学プログラムがある中で、私がこのプログラムを選んだのは、多くの面で支援を受けられ、費用負担が圧倒的に低く、1学期だけでありながら韓国語で正規の授業をとることができるという点に魅力を感じたからです。また、キャンパスがソウルではなく原州にあり、ソウルに比べ圧倒的に日本人が少ないという環境なので、自分が今まで勉強してきた韓国語の実力を試すことができるだけでなく、そのような環境こそ韓国語の勉強に最適であると考えたからです。

大学での平均的な生活

 私は毎日授業があり、朝9時から授業を受けていました。月曜日は午後からの授業でしたが、その他の曜日では、平均的に9時~3時まで授業がありました。そして、1学期という短い期間を精一杯楽しもうと思い、授業が終わった後はサークルの部屋へ行って友達とキャッチボールをしたり、学科の友達と遊んだり、図書館へ行って勉強したりと、精力的に活動しました。寮の門限が基本的に0時なので、0時までには必ず戻り次の日も全力で過ごすために早く寝ていました。

困ったこと?

 留学生活の中で困ったことは、「バス」です。韓国のバスは日本のバスよりも少し運転が荒く、つり革を持っていても振り回されますし、降りる時も急いで降りなければなりません。また、次の駅と、その次の駅を放送で教えてくれるのですが、最初の頃はとても混乱しました。まだ韓国に来て間もない頃、洗剤を買いにバスに乗ってショッピングセンターへ向かうものの、降りたい停留所で降りることができず、結局次の次の停留所で知らないおばあさんと一緒に降りて、徒歩で目的地に行きました。その道中、道に迷って山の中に入ってしまい、本当に怖い思いをしました。

一番美味しかったもの?

 留学に行く前から、韓国料理が大好きで、日本でも韓国料理をよく食べていましたが、実際に韓国で生活していく中で、本場の味のおいしさに感動して、毎食たくさん食べてしまいました。もともと鶏肉が好きで、韓国ではタッカルビ(닭갈비)やチムタッ(찜닭)をよく食べていました。しかし、留学生活で初めてヤンニョムカルビ(양념갈비)を食べた時の衝撃は今でも忘れられません。冷麺と一緒に食べるとさらに美味しかったです。

留学前と変わったこと

 よくテレビなどで、「韓国人はこんな性格だ」と決めつけたような紹介を見聞きすることがあります。授業でも「韓国人の傾向」といったような話を聞くこともあります。もちろんこのような情報を知っていたら、実際に韓国人と会ったときに、文化や環境の違いに驚いたり混乱したりすることも少なくなるでしょう。しかし、韓国へ実際に行って、たくさんの韓国人たちと触れ合う中で、本当に人それぞれ性格も考えも全く違うと実感しました。ごく当たり前のことなのですが、留学前よりも固定観念に縛られず、広い視野で人を見ることができるようになりました。日本を出て留学を通して、「○○人だからこうだ」と判断するのではなく、その人個人を見なければならないと痛感しました。


韓国留学を考えている人に

 留学に行くことを選んだことは、私の人生の中で最も悩み抜いた末の最高の選択だったと思います。「本当に行ってよかった。」この一言に尽きます。短い期間でしたが、たくさんのことを学び、たくさんの人々と出会い、今までで一番幸せで充実した一学期でした。もちろん、ただ韓国で生活していたのではなく、日本にいる時よりも積極的に、活発に、悔いのないように、自分から行動することを心掛けていました。だからこそ、留学を通して成長できたと実感しています。私も本当に悩みました。悩んだからには、きっと素敵な留学生活に向けて頑張れると思います!頑張ってください!。