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言語コミュニケーション専攻卒業生(伊田吏佐さん) 社会言語科学会において研究大会発表賞を受賞

 このたび、本年3月に文学部言語コミュニケーション専攻を卒業した伊田吏佐さんが、社会言語科学会の第40回研究大会(2017年9月16・17日大阪開催)において、第39回大会(2017年3月18・19日東京開催)での研究発表に対する表彰として研究大会発表賞(第17回)を受賞しました。

 この学会は言語・コミュニケーションを人間・文化・社会との関わりにおいて取り上げ、そこに存在する課題の解明を目指すことを目的として設立されたもので、年会中の研究発表を行った若手の研究者の中で、特に優れた口頭発表やポスター発表を行ったと認められる発表者2名に研究大会発表賞が贈呈されます。これまで17回の大会で32名が本賞を受賞しましたが、学部生で受賞したのは学会史上2人目の快挙です。

 伊田さんは、文学部の卒業研究として、ナラティブ(=物語ること)としての「怪談」の特異性に着目し、怪談の語りにおける特徴的なハンドジェスチャーを分析してきました。特に、語り手である怪談師が聞き手を怖がらせるという目的を達成するために、ジェスチャーの2つの視点である「登場人物視点」と「観察者視点」がどのように使い分けられているかを考察しました。その結果、怪談において怪談師は、「語り手」「怪異」「体験者」「その他の登場人物」といった複数のキャラクター役割をそれらの間の相互行為に基づいて切り替えながらジェスチャー視点を選択していることを明らかにし、その成果を学会発表として結実させました。

 この研究は、語りによって提示される複数の世界に応じたジェスチャー視点の役割を明らかにすることを通じて、特に、語り手が聞き手をどのように物語世界に没入させるかという認知的な仕掛けの存在を示唆している点で、これまでのコミュニケーション研究に認知科学的な視点から新たな発展をもたらす可能性を示しているものです。今回受賞した最も大きな理由は、「怪談」というこれまで学術的に研究されることがほとんどなかった対象をつぶさに分析し、こうしたコミュニケーションにおける参与者の相互行為と認知プロセスの不可分な関係を明らかにした点にあります。

下記に伊田さんの受賞コメントを掲載させて頂きます。

 この度は思いがけない表彰を賜り、大変嬉しく思います。卒業研究に取り組んでいたあの頃を振り返ってみて、本当に大切だったと思うのは、とにかくなんでもいいからまず手をつけてみるという研究姿勢です。その分析から得られたことを元に新たな仮説が生まれ、その仮説の検証時にまた新しい着目点が生まれてきます。このお陰で、一点だけに絞らず視野を広くもって研究に取り組めたのだと思います。そして、何か困ったことがあったり行き詰った際に、指導教員である岡本雅史先生を始めとした優秀な先生方に気軽に相談できたことも、今回の成果に繋がったのだと強く感じています。改めて皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。

      <授賞式>     <受賞した伊田さん(左から2番目)>