東洋史学専攻

東洋史学とは、中国を中心とする東アジアの歴史や文化を研究対象とする学問ですが、単に過去の歴史事象を知るだけのものではありません。歴史学が目指すのは、各時代・各地域の歴史や社会を史料によってできる限り復元し、その時代性を明らかにすることです。その意味で、すぐれて創造的な営みなのです。また、東洋史学の直接の研究対象は過去の歴史や文化ですが、ただ過去を見るだけのものではありません。現在、中国をはじめとして東アジア諸国は急速な経済発展を遂げる一方で、政治的・社会的な問題も少なからず存在します。それらの問題の本質を理解し解決策を見つけ出すカギは、歴史の中にあるのです。現在は過去の積み重ねの上に存在し、未来もまた過去と現在の延長上に作られてゆくものだからです。その意味で、東洋史学専攻の学びは、東アジアの現在と未来を見通すことでもあるのです。歴史や文化の研究を通して、これからの東アジアを考える。東洋史学専攻が目指すのは、東アジアのより良い未来を創造する人材の育成です。

東洋史学専攻の特徴

  1. 中国を中心とする東アジアの歴史を学ぶ際に、学生自身による史料講読を重視している。実際の史料を自分で読み込み当時の社会や文化を肌で感じることで、歴史のより深い理解を目指す。
  2. 我々の文化的基礎となった東アジアの伝統文化を学ぶことで、現在の我々自身を見つめ直すと共に、西洋文明とは異なるアジアの文化を学ぶことで、現在の世界が直面している様々な問題を解決する手掛かりを探求する。
  3. 東洋史学専攻で中国を中心とする前近代の歴史を学びつつ、学域内の中国文学専攻及び現代東アジア言語・文化専攻との連携により、歴史だけでなく文学や思想も学ぶことで当時の社会を立体的に理解し、過去だけでなく現代をも視野に入れることで歴史を現代的課題として考察する視点の獲得を目指す。

講義紹介

  • 東洋史学史 前近代中国において歴史学は最も発達した学問の一つでした。本講義は、その歴史学の歴史を、漢・司馬遷『史記』や唐・劉知幾『史通』といった代表的な歴史著作を取り上げながら学ぶものですが、それはこれら歴史家の目を通して歴史学を学ぶこととも言えます。
  • 東洋史概論I~IV 東アジアの歴史についての概説講義です。近代以前の東アジアは、漢字文化圏とも呼ばれるように中国を中心とした文化圏を形成していました。本講義では、前近代を四つの時期に分けて、中国を中心とする東アジア世界の歴史展開を概観します。
  • 漢文入門・漢文文献読解 漢文を読み理解する力を養成するための演習授業です。前近代の東洋の歴史を研究する為には、漢文史料を読むことが不可欠です。訓読・現代語訳などの漢文読解の基礎的訓練を行います。
  • 東洋史講読演習 史料は、文章の文字通りの意味だけではなく、その背後にある当時の社会も含めて理解しなければ、正確に理解することはできません。本講義は、漢語・漢文法で修得した基本的読解力を基礎に、漢文史料を歴史資料として利用する技術を養成するための演習授業です。
  • 東洋史特殊講義 東洋史概説が東アジア世界の歴史展開を概観する講義であるのに対して、本講義は、個別具体的なテーマをより深く掘り下げてゆくものです。講義担当者が自分の研究分野を講義するものですので、概論では聞けない東洋史の奥深い世界を知ることができるでしょう。
  • 東洋学のための情報処理 東洋学で扱う漢文文献は、現在そのほとんどが既に電子化されています。それ故、それらを利用する為のコンピュータスキルは、東洋学にとってもはや不可欠な技術となっています。本講義は、東洋学に必要な情報機器スキルの習得を目指すものです。