概要

東アジア研究学域(旧:東洋研究学域)は、東アジアと呼ばれる中国(大陸・香港・台湾)と朝鮮半島に関する、歴史、文化、文学、社会などを専門的に学んでゆく学域です。

東アジア研究学域に入学した学生は、1回生時に学域の共通の授業があり、上記の東アジア各国各地域について学ぶための基礎的な知識・方法を学んでゆきます。その学びの中で培った興味や関心にあわせ、学生たちは3つの専攻からどのジャンル・領域を学びたいかを決定し、2回生以上の所属専攻を選んでゆきます。

その3つの専攻とは、中国文学・思想専攻、東洋史学専攻、現代東アジア言語・文化専攻です。

アジア諸国の発展にともなって、わが国には現在、新たな国際戦略が求められていますが、中国・韓国を中心とする東アジア地域を地理的範囲とし、その歴史や言語、伝統的文化から現代の文化までを幅広く研究対象とすることで、この現代的要請にも応えることができる人材の育成を目指しています。

中国文学・思想専攻

古代から現代に及ぶさまざまな文学・思想を探究し、東アジアの文化の基層と本質を深く理解する。漢字や漢文の知識と、現代中国語の語学力を養うことで、国際交流や国語教育の現場で活躍できる人材の育成を目指す。

東洋史学専攻

中国を中心とする東アジアの歴史や文化を史料講読から深く理解し、あわせて西洋文明とは異なる特徴を探ることで、現在の世界が直面している様々な問題を解決する人材の育成を目指す。

現代東アジア言語・文化専攻

中国語や朝鮮語を習得し、東アジアの文化や歴史を広く理解し、朝鮮半島と中国(台湾を含む)が直面する課題と文化現象(文学・サブカルチャー・現代史など)について多角的に検討できる能力を有する人材の育成を目指す。

東アジア研究学域のまなびの特徴

テーマⅠ ことばを学ぶ

●朝鮮語・中国語によるコミュニケーション

学域や専攻でのまなびをとりまく環境には、留学生との交流や海外の大学との交流をおこなう機会が豊富にあります。同じクラスの中に中国や台湾、韓国の学生がいたり、それらの国々にルーツを持つ学生がいることは、もはや当たり前の時代になっています。また授業の内外で学生のまなびをサポートするティーチングアシスタントが海外からの留学生・大学院生であることもめずらしくありません。下記のとおり、海外の大学と共同で運営する授業があり、海外の大学の学生たちと現地で交流・学習するプログラムがそろっています。

つまり、語学の授業でまなんだことを実践できる環境・機会が整っており、それらを活かし、積極的に参加することにより、実践的な語学力・グローバルなコミュニケーション能力を得ることができます。また東アジアの各国・各地域へ、現地で生活しながら本格的な語学力をまなぶために、長期の留学にゆく学生も多数います。

●2カ国語学習

日本語・中国語・朝鮮語のトライリンガルになりませんか?

東アジア研究学域の語学授業では、中国語か朝鮮語を第一外国語科目として履修なければなりません。なかにはその一方を第一外国語に、他方を第二外国語として2カ国語を同時に学ぶ、積極的な学生がいます。「とにかく東アジアの言語が好き(英語はキライ??)」、「中韓両国との学生と両国の言語で交流したい」、「中国・韓国の俳優・歌手がTwitterで自国語で何を書いているのを理解したい」、「高校の時に中国語をやってきたので、大学からは朝鮮語をやろうと思ったけど、やっぱり中国語の力も伸ばしたい」、「東アジア研究学域で学ぶからには2カ国語を学ぶ絶好のチャンス」などなど、動機はさまざま。

語学は若いうちにやっておくべきと、海外を経験した誰もが口にすることです。ここは思い切って、2カ国語話者(バイリンガル)ではなく、3カ国語話者(トライリンガル)を目指してみませんか?

学生たちによる授業紹介・学びの特徴

●語学好きのために

なぜかムショウに「語学」がすき、「ことば」がすきという学生が、必ずいます。高校時代から独学で中国語や朝鮮語を勉強してきた学生も、珍しくありません。また高校の授業やコースとしてアジアの言語を学ぶところも、最近よく耳にします。

東アジア研究学域には、そんな学生たちが全国から集まっています。そして、自分の習得したことばを活かし、海外で仕事をしたり、外国籍の社員とともにグローバルな企業で働くことを夢見ています。ことばの学習は、自らの行動や交流の範囲をひろげ、さまざまな文化と他者を理解する許容量をひろげ、実際に自分の人生に役に立ち、人生の可能性をひろげるものです。

東アジア研究学域では、東アジアの国々の社会・歴史・文化・思想などを総合的に学び、その上で自ら選ぶ専門分野の学問・研究を進め、深めてゆきます。それらを学ぶことは語学力アップに必要なことですし、また伸ばした語学力を縦横に発揮することで専門分野の学問を深めてゆくことができます。

学生たちによる授業紹介・学びの特徴

●漢語・漢文をまなぶ

高校の国語の授業で、「漢文」を学ぶと思います。ある高校ではとても熱心に、ある高校では基本をひととおりというように、その取り組みにも温度差があるように見受けられます。なかには、なぜかわからないがムショウに漢文が好きという学生も、とにかく苦手という学生もいるでしょう。

近代以前の中国の文章はそのほとんどが「漢文」すなわち中国の古典的な書記言語を用いて記されました。それは古代の東アジア世界の中で、一種の公用の書記言語という役割を担っていました。

東アジア研究学域では、1回生で漢語や漢文の基礎を学ぶ授業があります。これは語学の授業ではありませんが、東洋の文学や歴史、思想や芸術を学ぶ上で必要になることが多いですし、それらを学んでおくことは重要です。また、たとえば中国系の人々とコミュニケーションする際にも、中国の古典文学や芸術の話をすると、「この外国人は中国をよく知っているぞ!」と驚かれ、親近感を持ってくれるので、話がはずんだりします。

「漢文」や漢文で描かれる世界に興味を持った学生は、2回生から中国文学・思想専攻や東洋史専攻に所属することでより深く学ぶことができ、また現代東アジア言語文化専攻の学生も両専攻のほとんどの授業を受講することができるので、その学問的な世界に触れることができます。

テーマⅡ 現地でまなぶ

●イニシエーション型

語学力の増進と異文化体験を主要な目的としたプログラム。

代表的なものとして「東アジア現地体験プログラム」があり、韓国プログラムと中国プログラムがあり、どちらも7~10日の期間で、現地で歴史や文化にまつわるフィールドワークをしたり、現地の大学生や企業の方々と交流したり、さまざまな体験・学習をします。1回生、初めて中国や韓国に行く人、数日間程度の中国・韓国滞在経験者向けです。

2013年度 東アジア現地体験プログラム(中国)学生報告

●授業「中国現地実習」「韓国現地実習」

語学のレベルアップと異文化理解を深めることを主要な目的としたプログラム。2回生以上。

・「中国現地実習」は毎年8月の1か月弱のプログラムです。本学で事前授業を受けた後、現地に足を運んで広西師範大学での語学授業、トン族の村でのフィールドワーク、上海や北京での文化体験などを行います。

・「韓国現地実習」は毎年9月に2週間前後のプログラムです。本学で事前授業を受けた後、韓国にわたり、高麗大学での語学授業、韓国各地域での歴史や文化にまつわるフィールドワーク、現地の大学生との交流会などを行います。

●授業「日韓中連携講座(東アジア連携講座)」

日本と中国・韓国の学生たちがともに学びあう国際的な授業。日本語をベースに各国の社会や文化に対する理解を深め、各国学生レベルでの密接な交流を育む授業。2回生以上、大学院生。

・通常学期期間中は、中国の広東外語外貿大学と韓国の東西大学校の3つの大学の教室をインターネット回線で結び、テレビ会議方式で授業をおこなう。セメスターごとに共通テーマを決めて、3か国の学生たちがテーマに沿った内容で各国の状況を発表報告しあい、その後質疑応答やディスカッションを経て、3か国の共通点と相違点を確認し、相互理解を深めます。

・長期休業期間になると、夏季には中国と韓国から学生たちが本学にやってきて、冬季には隔年で中国(広州)と韓国(釜山)で3か国の学生が集まって集中講義を実施し、一緒に授業を受けたり、フィールドワーク、また学期中のテーマについて総合討論を行います。通常学期期間中ではインターネットを通じての交流でしたが、集中講義では直接顔を合わせての交流となり、非常に有意義な人材交流、学術交流の場となります。

東アジア研究学域の4年間

一回生:領域の基礎学習

1回生では文章作成、情報処理、キャリア教育、自己管理などを総合的に養う授業「リテラシー入門」を通し、大学での学習と学生生活の基本・基礎を学びます。学域の「研究入門」や講義では、2回生以降に所属する「専攻」への準備としての学習を行います。

2013年度「研究入門」テキスト表紙               2014年度「研究入門」テキスト表紙         

二回生:専攻選択

2回生では、中国文学・思想専攻、東洋史学専攻、現代東アジア言語・文化専攻から自分の目的に沿った専攻を選択し、所属します。各専攻での講義や演習、「基礎講読」などの小集団の授業で、専門的な学習を進めるために必要な能力を育成します。

三回生:専門分野の設定

3回生では卒業論文に向けた「演習」で、専門分野の本格的な学習が始まります。3回生は、大学での学習・生活を充実できる時期。自身の視野や知識を広げるために海外研修やインターンシップに参加し、行動と思考の幅を広げましょう。

四回生:卒業論文執筆

4回生では、四年間の集大成としての卒業論文を執筆します。大学での授業とさまざまな場面でえた経験をもとに、毎年多様な卒業論文が執筆されています。自分の力を存分に発揮し、オンリーワンの卒論を書き上げよう。

  • 東洋学域専攻 01
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  • 東洋学域専攻 05
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