ゲストスピーカー

2016年1月26日(火)

実践ファイナンスⅠ
三好 秀和 教授
ゲスト
あすかコーポレートアドバイザリー
光定 洋介

良いM&Aと悪いM&A

 実践ファイナンスという科目名のとおり、上場企業を対象にM&Aをおこなうための提案書作成ができるレベル内容を講義している。M&Aに必要な知識は、ファイナンス、コーポレートファイナンスを履修すれば知識レベルでは学んでいるはずであるが、耳学問ではなく実際に自ら企業にM&Aを提案できるレベルでの授業内容である。そのため、最終レポートのプレゼンテーションをM&Aを実践していたファンド系の経験者をゲスト講師に受講生のレポートを批評してもらっている。レポート発表会に先立って、公開講義として一般向けに講義をしてもらった。

 テーマ「良いM&Aと悪いM&A」について、①戦略面、②価格面、③方法面の3点から講義して頂いた。①戦略面では、創造性があり、イノベーティブでシナジーがあること、②価格面では、ファイナンスの知識を共有した上で割高な価格で買わないこと、③方法面では売り手の心にも配慮した上でM&Aを行うことが重要である、という話であった。また、実際のキリンビールや東ハトの事例を交えながら、実践的なファイナンスをどう行うべきかという話にも展開された。特に、ビッド(競争入札)によって割高になった価格を、買い手の出資者や株主にも納得できる形でディールを成立させるためには、キャピタルストラクチャー(資産負債構成)をしっかり考えることも必要である、という話にも言及され、実務に即したファイナンスの講演を聞くことができた。

 M&Aの交渉価格は相対取引であるため、価格はあってないようなもの、とわかったことのように言う経営者も多いが、後から株主からの訴訟となり、適正価格での取引かどうかが論点となるケースもある。科学的な根拠のもとでの折衝が大前提であることを理解しなければプロフェッショナルとは言えない。また、そのタイミングの重要な要素であることは、シミュレーションであっても提案レベルまでレポートを仕上げることでしか体験できないことをしってほしい。

 講演の後、受講生から多くの質問もあり刺激的で有意義な講義であった。