ゲストスピーカー

2014年5月16日(金)

競争戦略
濱田 初美 教授
ゲスト
株式会社東芝 常任顧問
齋藤 昇三

エレクトロニクス産業の将来像

 立命館大学経営大学院は、大阪梅田キャンパスにて、競争戦略(担当:濱田初美教授)の講義に、㈱東芝 常任顧問の齋藤昇三氏を招聘し特別講義を実施した。テーマは「エレクトロニクス産業の将来像」である。同氏は研究者からスタートされ、主任設計者として1M DRAM開発に成功、米国ではマーケティングを担当、NANDへの事業転換を経てトップマネジメントに就任され、現在、業界団体(JEITA半導体部会、NEDIA)のリーダーを務められている。

 ダーウィンの「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは変化に対応できる者である。」から講義は始まった。企業に当てはまると指摘された。草創期の田中久重(万年時計)と藤岡市助(炭素電球)の飽くなき探求心と情熱が、東芝のDNAとして社員の原動力になっている。日本初の電気洗濯機・冷蔵庫(1930年)、電気炊飯器(1955年)、日本語ワープロ(1978年)、MRI(1982年)、世界初の郵便物自動処理装置(1967年)、4 M NAND 型EEPROM(1991年)等を世に送り出してきた。

 DRAM事業は海外勢に敗れ撤退したが、NANDフラッシュメモリ事業を成功させ、1999年から13年間は、東芝を変化に対応出来る俊敏な企業にすべく、Management Innovationに関わった。仕癖(しくせ)・仕来(しきたり)を変え、事業の選択と集中を推進した。価値を創造するバリュー・イノベーション、アップルの様な既存技術活用のニューコンセプト・ノベーション、生産性向上のプロセス・イノベーションを推進、創造的成長の実現に腐心した。

 これまでのエレクトロニックス産業は自前主義が奏功してきた。現在は合従連衡による新しい動きがある。企業にとってマーケティングとイノベーションが重要だ。顧客の新しい満足を生み出すイノベーションを起こすには、ベンチ―マーキングを行い、自らの立ち位置とベストプラクティスや失敗から学べば良い。常に解決すべき問題を考え、高い感受性とセレンディピティを持っていることが望まれる。

 現在、東芝はエネルギー・ヘルスケア・ストレージを中心に、謙虚な反省と冷静な分析を継続しスマートコミュニティを実現するソリューションビジネスに変革中だ。NOKIAはVoCを聞いてハードを売ったが、Appleは自らの感性でビジネスモデルを創ったといえる。日本にシリコンバレーの様な機能が必要だ。日本産業の問題点は最適なエコシステムがないことに尽きる。個々の強味を有機的に結合せず、国際的な戦いの勢力として結集されていない。今後、メガトレンドをよみ有望市場にフォーカス、アプリケーション・ドリブンのビジネスへの転換で、日本のエレクトロニクス・半導体産業の再興は可能だ。

 講義終盤には、半導体が創るスマート社会の将来の具体的事例が示された。半導体の応用が拡大することで、社会課題の多くが改善に向かい、安全・安心な社会、新技術・新ビジネス・新産業を輩出できる。

 『夢と熱意とスピードを持ってイノベーションを推進しひとりひとりが輝き躍動する社会を目指していこう』と締めくくられた。院生からは活発な質問が相次ぎ、好評の内に終了した。

以 上

講義風景1  講義風景2