ゲストスピーカー

2014年11月07日(月)

経営政策
濱田 初美 教授
ゲスト
キヤノン㈱顧問(元取締役)
福間 和則

1.日本の電子産業は何故敗退したのか 2.東芝とキヤノンに見る生き残り戦略

 立命館大学経営大学院は、梅田キャンパスにて、経営政策(担当:濱田初美教授)の講義に、キヤノン㈱の福間和則氏を招聘し特別講義を実施した。福間氏は㈱東芝(執行役常務)からキヤノンに移籍された稀有な経営者である。20代に開発された半導体が今も現役で活躍中という。

 オイルショック後の1970年代の日本は、価格・性能・デザインの三拍子揃った家電や、世界で最も低燃費の自動車等、アメリカ向け輸出が好調に推移、Japan As No1と呼ばれた時代があった。アメリカの製造業は弱体化し日米貿易摩擦に発展した。結果、86年に日米半導体協定締結、87年にはココム事件も発生、東芝製品は禁輸措置となるなど苦労した。
かつて日本製品はつくれば売れた。しかし、日本の総生産は労働人口がピークを迎えた1995年に成長が止まった。当時の日本は科学技術創造立国を目指し、多額の資金を研究開発に注ぎ込み、デジタル化の深耕と共にテレビや携帯電話などが成長したが、機械加工技術やデジタル技術が中国等の新興国に伝播し、コモディティーなエレクトロニクス機器を産み、事業は価格破壊に陥った。

 一方、アメリカでは90年初頭スーパーハイウェイ構想の下、イスラエルのハイテク技術を活用した情報通信のイノベーションに成功した。ものづくりやデジタルに傾注して停滞した日本に対し、米国はネットインフラの新しい潮流に乗り換えた国家戦略が開花した。中国や韓国の成長はめざましく、日本のGDPは2010年に中国に抜かれ、産業の軸はかつての米日から韓中へと地球を横断しつつある。

 世界のリーディングカンパニーは巨大である。日本はドメスティックカンパニーをつくらず、世界目線で、世界一の教育の復活、財政政策の見直し、人口増加や高度技術推進に向け立て直しをしなければならない。世界に先駆けた新産業の構築が望まれる。

 講義の最後に、東芝とキヤノンの企業文化等を比較された。東芝は事業選別の成功、キヤノンは知財権戦略を徹底しカメラのデジタル化に成功したことが大きいという。
競争優位を獲得する条件は、投資力と生産性、知的財産力と技術力にある。『世界はグローバルに変化している。変化をとらえ、変化を受け入れ、変化をおこす力を持つことだ』と締めくくられた。

以上

講義風景1  講義風景2  講義風景2