ゲストスピーカー

2014年7月14日(月)

企業分析
奥村 陽一 教授
ゲスト
カップヌードルミュージアム 館長
筒井 之隆

「企業分析」ゲスト講師:日清食品ホールディングス常勤顧問、筒井之隆氏来る

 7月14目(月)、日清食品ホールディングス常勤顧問の筒井之隆氏を迎えて、当社の最新決算・中期計画及びグローバル戦略をめぐって、お話を伺う機会を得た。

 14年3月期の決算では、初めて売上高が4,000億円台に乗りました。国内ではう王(生めん風袋めん)が好調なうえ、中国では80~90年代生まれの人々に「合味道」(中国版カップヌードル)が好評です。北米ではビッグ・カップヌードルが順調な売れ行きを示しています。2015年度に向けた中計では、売上高4,500億円、海外比率20%を予定しております。また今年、『勝つまでやめない!勝利の方程式』(中央公論新社)という安藤宏基CEOの攻撃的経営論も出版され、各方面から大きな期待を頂いております。

 ここ10年間で、即席めんの国内総需要は50~55億食で大きな変化はありませんが、海外では2倍の伸びを示しており、1,055億食へと市場の拡大が続いています。海外市場を伸ばす好機が訪れているのですが、インスタントラーメンの世界戦略は一筋縄ではいかず、現地に則した創意工夫が求められます。たとえば、①あごの骨格や各国の食文化の違い(ゲルマン系の人はめんをすすれない)、②おいしいと感じる温度の違い(欧米は猫舌の人が多い),③宗教的禁忌(イスラム圏ではハラール認証が必要)などを乗り越えることが前提となります。そのためコカ・コーラやマクドナルドのような味やスペックを統一した世界戦略ではうまくいかず、カップヌードルのようなグローバル・ブランドでも、国と地域に合わせた「おふくろの味」(現地の人にとって最もComfortableな味)を再現することが必要になります。タイではトムヤンクン味。インドではマサラ味。インドネシアではミーゴレン味です。さらに資材や食材の調達、人の雇用など、生産・販売の現地化も必要です。

 このような戦略を展開するため、ホールディングス本社は海外活動と事業部門をサポートするプラットフォームヘと変身を遂げています。今年のハイライトは、グローバル・イノベーション研究センター「theWAVE」(東京八王子市)の完成です。全グループ会社の開発拠点を一元化し、世界各地の商品開発をスピードアップすることが1つの狙いです。
世界中で毎年開発される1000アイテムの新製品について、決済から3ヶ月以内で上市するという社内基準を作っています。このようなハイスピード・ブランディング・システムを動かすのは、当社の場合ブランド・マネジャー(BM)です。ご報告にもありましたように、当社にはBM制やSBC(ストラテジック・ビジネス・セル)、管理職の公募制、恥制など、個人が経営能力を高め、チャレンジできる数多くの仕組みがあります。組織の壁を打ち破る個人の創意を何よりも大切にしており、カップヌードル・シンドローム(ダントツ商品への依存・甘え)に陥らないように常に工夫しています。昨年度、海外現地から20名の大学生を新卒採用しましたが、彼らのハングリー・スピリッツを社内で共有し、海外人材の育成につなげようとしています。このように海外戦略は未だ先行投資の部分も多いのですが、着実に進んでいます。

 筒井常勤顧問からは、災害時の食糧援助などを行う世界ラーメン協会を先導する活動についてもお話を伺い、創業者精神を継承する同社の社会貢献活動にも触れることが出来た。
(了)