ゲストスピーカー

2014年7月27日(日)

企業分析
奥村 陽一 教授
ゲスト
コープみらい 理事長
田井 修司

企業分析ゲスト講師:コープみらい理事長田井修司氏来る

 7月27目(日),コープみらい理事長(日本生活協同組合連合会副会長兼務)の田井修司氏を迎えて,「コープみらい誕生と生協のかたち」というテーマでお話を伺う機会を得ました。

 南関東3生協の組織合同で誕生したのが,コープみらい(事業高3,583億円,組合員約300万人)です。子法人にコープネット事業連合(事業高4,930億円,6生協・組合員約400万人)があります。これらが加盟する日本生協連は,地域生協だけで2.6兆円の事業高(12年度)があり,7&I(6.3兆円),イオン(5.8兆円),CGC(4.2兆円)に次ぐ第4位
の流通グループです。もともと新鮮な産直品や安全・安心のCOOP商品から生協が始まっているので,売上構成にしめるプライベート・ブランドは30%強(但し日生協COOP商品は16.7%)で,イオン(16.3%),CGC.(9.3%),7&1(7.6%)よりも大きいのが特徴です。ところがCOOP商品の売上は4,080億円(3,885品目,1品当1.05億円)で,今ではトップバリュ(6,800億円,1品当L13億円),セブン・プレミアム(4,900億円,1品当2.88億円)に追い抜かれています。目下の問題意識は,COOP商品のブランドカの強化です。

 その話に入る前に,生協の2つの制約について述べておきます。それは組合員以外の利用はできないという規制と,隣接していない県域を超えた生協同士の合併はできない(但し事業連合は県域を超えてよい)という規制です。協同組合は組合員の相互扶助組織で組合員の出資・利用・運営参加を基本としているからです。そういう枠組みが1948年の生協法制定時にできて,当時全国で6,000もの生協が誕生しました。これが時を経て徐々に集約化され,2008年改正生協法を経て初めて,県域を超える生協としてコープみらいが誕生したのです。その決定は,18名の理事と1,600名の総代(殆どが主婦)が,約80万名の声と期待を集めて行われました。組織合同で得られる未来に,期待と信頼をおいた結果です。

 期待と信頼を現実のものとする活動の1つが,COOP商品のブランド強化です。日生協はこれまで自然人としての組合員に直接アクセスする機会はなかったのですが,これからはコープみらい・コープネット事業連合が目生協のフィールドとなり,商品開発やマーケティングを行うことが可能になりました。お手元のデータのように,COOPブランドは「信頼感(誠実な,一貫した)」の点数が高く,他社ブランドは「活力感(先進的な,主張のある,パワフルな)」という点数が高くなっています。ポジティブ評価の反面としてCOOPは「堅苦しい」「古臭い」「理屈っぽい」が高く,他社ブランドは「変わりやすい」「独り善がりの」「粗野な」といったネガティブ評価が少ないという特徴が出ています。個別評価では,「気配りのある」が他社に追い付いておらず,「おいしい」がセブンより低いといった,本来のCOOP商品の持つ強みが認知されていません。生協利用の組合員にすら,「コープベーシック(低価格商品)」や「おいしさシリーズ」の認知度が低い状態です。ブランド政策の未確立が根本問題ですが,MD要員の1人当開発品目や開発スピードがイオンに追い付いておらず,TVCMもこれから,というのが率直なところです。体制や要員の整備はもちろんですが,生協としては,「いかにして組合員の声に敏感になりホスピタリティを発揮するか」に力点を置いて,ブランディングを進めていきたいと考えています。

 以上,事業連帯の戦略化を基礎とするCOOP商品の新展開について,今日の生協の課題が明らかにされました。
(了)