ゲストスピーカー

2015年01月18日(日)

商品開発
鳥山 正博 教授
ゲスト
PwC PRTMマネジメントコンサルタンツ
尾崎 正弘

狭義の「商品開発」以上に日本の製造業がしなければならない「開発」とは

講義風景1  尾崎氏はハイテク製造業に特化したコンサルティング会社PwC PRTMジャパンの代表である。 日本の製造業を強くしたいという思いで日々コンサルテーションを行っており、なぜ日本の 製造業が技術力に優れていても勝てないのかについて「選択と集中」「アーキテクチャー」 「CAPEXからOPEXへ」という3つのキーワードで語られた。

 「選択と集中」というと製品ラインの選択と集中を考えがちだが、バリューチェーン上の 選択と集中こそ考えねばならないという。たとえば、アップルなどは構想設計のみで 詳細設計は外部委託である。ユーザーとの接点レイヤーに集中しているのだ。多くの 日本企業はすぐに製品の詳細設計に入るが、構想設計が圧倒的に欠けているのだ。 逆に製造の規模の経済で戦うことに集中するという戦略もあり得るがどっちつかずと いうか十分に考えていないのは問題である。

 「アーキテクチャー」とはモジュール化とモジュール間のインターフェースに関する 基本的な考え方である。たとえばPCは20年で性能が100万倍になっても同じアーキテクチャーで できているので優れたアーキテクチャーと言える。個別の製品で言えば仕様が20%変わっても 設計が5%しか変わらないのが良いアーキテクチャーで60%も図面を引きなおしているなら 悪いアーキテクチャーである。それを実現するためには個別製品のデザインレビューでなく、 全体シリーズと展開計画についてのデザインレビューを行う必要がある。

 「CAPEX」とはキャピタルエクスペンディチュア、すなわち買い手が資産計上するような 製品売りである。とりわけB2Bの場合はそれを「OPEX」オペレーショナルエクスペンディチュア すなわち経費で払うような利用課金にすることを考えねばならない。先にお金が入ってこなく なるので移行は簡単でないことに加え、「売るため」と「使い続けてもらうため」では製品の 設計から営業からサービスまで違ってくるので転換は簡単ではない。とりわけサービスが大事に なっているのに日本企業のR&Dはほとんどがプロダクトへの投資であるというのは問題である。

 このように、製品力や品質で勝負していると思っていること自体が最大の問題であるという骨太な講義だった。