中国語は立命館孔子学院―京都・大阪・東京で学ぶ中国語―
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 HOME > 学院長による「ちょこっと話しチャイナ!」
 
 
   立命館孔子学院の中川正之学院長に中国や中国語教育など、様々な話題に関してお話いただくコーナーです!
   現在、立命館大学文学部特別招聘教授また神戸大学名誉教授である中川学院長は講演会や著作活動など幅広く活躍中。
   そんな学院長にざっくばらんに話ってもらいチャイナ!
  
    

 たまった書類を整理していたら、立命館孔子学院の同僚がネットで見つけた“小学生精彩造句”という笑い話のコピーが出てきた。先生がお題を出し、小学生が短文を作るというものである。見ていると私の分析癖が顔を出す。

 .题目: 马上
 小朋友: 我骑在马上。
 老师评语 :…… !?

 .题目: 天真
 小朋友写: 今天真热。
 老师评语 : 你真天真。

 .题目 难过
 小朋友 我家门前有条水沟很难过。
 老师评语 老师更难过。
 
 .题目 : 果然
 小朋友说 : 昨天我吃水果,然后喝凉水。
 老师评语 : 是词组,不能分开的。

 多くは、4の先生の評にあるように単語とフレーズの混同である。これも中国語の深い問題と関係する。中国語は単語とフレーズと文の境界があいまいな言語である。
 また、語形変化がないため切れるのかつながるのかはっきりしないことが多く、中国語学習者を悩ませる。
 もう一つのタイプは訳の分からないもの、二つだけ紹介しておこう。

 .题目: 一边...... 一边......
 小朋友: 他一边脱衣服。一边穿裤子。
 老师评语: 他到底是要脱啊? 还是要穿啊?

 .题目: 陆陆续续
 小朋友: 下班了,爸爸陆陆续续地回家了。
 老师评语: 你到底有几个爸爸呀?

 6.も考えさせられる。日本語なら「退社時間、お父さんたちが続々と帰宅している」のように「-たち」をつければよくなる。「たち、ら」などの複数接尾辞と“们”の関係も微妙である。日本語の「中川たちがやって来る」は『中川と他の誰かがやって来る』という意味で普通の景色である。しかし、中国語の“中川们来了”は『やって来るのは全員中川』という自分で想像するだけで無気味な景色である。
 “爸爸、妈妈”と「お父さん、お母さん」も微妙に異なる。私の娘の友だちが、私のことを「お父さん」と言うことがある。しかし、中国語で友人の父親を“爸爸”と呼んだり、言ったりすると、あなたは私の子供ではないと言われるだろう。日本語は視点の移動が簡単で、友人の父親でも、友人の視点に立ち「お父さん」と呼ぶことができる言語である。
 日本語の親族呼称の特性としてもう一点挙げておけば、「あなたのお父さん」のように所有者をつけると問題を引き起こすことがあるという点である。たとえば、夕方、母親が夕飯の用意をしている。玄関のチャイムがなる。母親が子供たちに「お父さんが帰って来たよ」と言うところを「あなたのお父さんが帰ってきたよ」と言ったとしたら、小さな子供でも『お父さんとお母さんはどうなっているのだろう?』と心配するだろう。中国語では“爸爸回来了”でも“你爸爸回来了”でも問題はないそうである。

最近は日々の気温差が大きいため、上ののようなことを毎朝繰り返しています…。
次回の「ちょこっと話しチャイナ!」は5月26日(土)掲載予定です。お楽しみに!
  
   
 
 ドイツ語学者に小川暁夫という人がいる。ドイツのフンボルト賞という立派な賞をもらった優秀な研究者であるが、私のことを「親分」と呼ぶ。10歳くらい年下で、清水の次郎長の静岡県出身ということと関係があるかも知れないが、彼によると「大中小」の順で言うと、「中川」は「小川」の上位になるそうである。ところがある時、「横川」という友人が、「中川さんは中央を流れる川で、私なんか主流をはずれた川ですから…」と卑下したことがある。ひがみの材料はどこにでもある。
 ところで「中国」の「中」は、「大中小」の「中」か、それとも「中央」の「中」か。中国語にも「上級(「高級」と言うことのほうが多い)・中級・初級」という言葉はあるが、「中国」の「中」を「中級」の「中」だと思っている中国人は一人もいないだろう。日本もかつて、自分の国を「(葦原の)中つ国」と呼んだことがある。「中つ国」の「つ」は現代語でいえば「の」である(「目の毛」⇒「まつ毛」)。まさに「中国」と呼んでいたのだ。たとえ世の中の隅っこにいようとも、そこが世界の中心と思うのは人の常であると思う。
 それと、本来同等の資格で横に並ぶべきものが、どうしても縦の序列を読み取るという人間の精神構造が面白いと思う。かつて、カレーの宣伝のキャッチコピー「インド人もびっくり」について、なぜインド人なのかという文章を書いたことがある。ほんらい横に並ぶことを表す「も」が、カレーライスに関してはインド人が最高権威者であるという俗説に便乗して『驚き』のニュアンスを獲得するというものであった。このような「も」を考えるきっかけになったのは、「夏も近づく八十八夜」の「も」は、他に何が近づいて来るのかという中国人日本語学習者からの質問であった。

 
                                Vol.1~過去の掲載はコチラから!
 
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