名誉館長館長声明

イスラエルがガザでの停戦措置を持続し、
和平プロセスに真摯に取り組むことを求めます

 

立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長 安斎育郎
立命館大学国際平和ミュージアム館長 高杉巴彦

 

われわれは、2009年1月12日、「イスラエル─ハマス紛争に国際世論で人道的歯止めを」と 題する声明を発表し、国際世論の力で非人道的な武力紛争に歯止めをかけることを求めた。

 しかし、イスラエルによる組織的な武力攻撃はその後も激化の一途をたどり、ガザにおける死者は1,300人をこえ、負傷者は5,000人をこえるという、人道上許されるべきではない極めて深刻な事態を招いた。
われわれは先の声明で、「一方の立場から他方を非難する立場」をとらず、「国際問題を武力的に解決しようとする方法そのものの非人道性」を告発し、日本国憲法9条の精神に照らして暴力的な行為に歯止めをかけることを要求したが、その後もイスラエル軍による意図的・組織的殺戮は止むことはなかった。
イスラエルによるガザ攻撃の背景には、ガザ沖の油田採掘権独占の意図があると伝えられるが、それは武力行使をまったく正当化しない。
いたいけな子どもたちの命が奪われ、無辜の民が大量に虐殺され続け、恐怖と憎悪が拡大再生産される中で、ついに攻撃は、降伏の意思を表明したガザ住民や、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のガザ本部、外国メディアが入居するビルにも向けられ、国際社会のイスラエルに対する批判は急速に高まった。

 武力によって相手を屈服させようとする手段は憎悪や敵愾心を増幅させることはあっても、理性的に問題を解決する道を遠ざけ、いっそう困難にするばかりである。
イスラエルが停戦と軍の撤退を実施しガザに小康状態がもたらされたが、われわれは、あらためて紛争当事者双方に自制を求め、とりわけイスラエル軍がガザに対する武力攻撃の停止措置を持続することを強く求めるとともに、国連およびオバマ新政権に移行したアメリカを含む国際的な枠組みの中で問題の平和的解決のプロセスが遅滞なく開始され、イスラエル政府とパレスチナ暫定自治政府の双方が真摯に交渉の場に臨み、平和的共存へのロードマップづくりに真剣に取り組むべきことを要求する。

 

2009年1月18日