中野信夫さんのご逝去にあたって

立命館大学国際平和ミュージアム
名誉館長 安斎育郎
館長 高杉巴彦

 2010年1月16日、中野信夫さんが亡くなられました。
当ミュージアムの「中野記念ホール」は、中野信夫さんの名に因んでいます。「百まで生きよう会」の代表を務めておられた中野さんは、約束を果たすかのように、百歳でのご逝去でした。謹んで哀悼の意を表します。
  ご専門の眼科医療分野をベースに長年にわたって市民のための医療の発展に尽くされた中野さんは、自らのビルマでの従軍体験もふまえて、反戦・平和の市民活動の発展のためにも大変大きな足跡を残されました。1981年、「平和のための京都の戦争展」を呼びかけ、その後の運動の発展に大きく貢献されました。当国際平和ミュージアムは、「平和と民主主義」を教学理念としてきた立命館大学のイニシャチブと、長年にわたる戦争展運動の成果が響きあい、協力しあってこそ実現したものです。しかも、中野信夫さんは、1992年に当ミュージアムが創設されるに際して多大な財政支援を寄せられ、世界唯一の大学立の総合的平和博物館としての国際平和ミュージアムの開設に、重要な貢献をなさいました。
  開設以来18年、当ミュージアムは、常設展・特別展に100万人を越える来館者を迎え、ますます国内外の平和博物館運動の発展のために重要な役割を果たしつつあります。私たちは、中野信夫さんのご厚志を受け継ぎ、未来に豊かに花開かせるためにも、今後とも世界と日本の平和博物館運動のさらなる発展のために、引き続き努力する決意であることを表明します。

2010年1月20日