5月14日(土)、映画「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」の上映会&トークセッションを開催しました!!

5月14日(土)、映画「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」の上映会&トークセッションを開催しました!!

 5月14日(土)13:00からアンスティチュ・フランセ関西―京都 稲畑ホールにて映画「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」の上映会と長谷川三郎監督、川村健一郎本学映像学部教授によるトークセッションを開催しました。
会場、開始時刻の変更があったにも関わらず81名の方にご参加いただきました。

 はじめに、当ミュージアムの田中聡副館より挨拶があり、早速映画の上映となりました。本作品は、2012年に公開された報道写真家・福島菊次郎さんのドキュメンタリー映画です。現在開催中の特別展「WILL:意志、遺言、そして未来―報道写真家・福島菊次郎」と合わせてご覧いただくことで、福島さんが写真や執筆・講演活動を通して伝えたかったことをより深く感じていただける作品でした。
 参観者からは、「ドキュメント映画の傑作のひとつに数えられる作品に感動しました。生涯を一筋の道で貫きつつ、人間としての魅力と気品を存分に発揮した稀有な方でした。」、「若い20代の私にとっては大変「生」という力の強さを考える内容でした。」、「福島さんの生き方に心を揺さぶられました。映画を通じて「覚悟」の意味が分かった気がします。」などの多くの感想をいただきました。

 上映に続くトークセッションは、川村教授から長谷川監督へ「福島さんとの出会いとこの作品を作ろうと思ったきっかけは何でしたか」という問いから始まりました。
 長谷川監督からは、福島さんと初めて出会った頃の様子、被写体として非常に魅力的であったことなどのお話がありました。部屋の合鍵を渡されたエピソードでは、「お前はどんなものが撮れるのか」と人を撮るということへの覚悟を求められている気がしたと撮影を始めた当時を振り返っていました。

 撮影期間は1年ほどで、出版された福島さんの写真集の写真1点、1点についてお話を聞く作業のかたわらで、自らの意志で年金を拒否した暮らしぶり、愛犬ロクとの時間を過ごす様子など何気ない生活の場面も撮影していったそうです。

 その他、2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故後、広島と福島が重なると憤りを感じている福島さんを見て、これまで福島さんが写真で伝えてきた「ニッポンの嘘」が過去のものではなく現実の問題として意識され、映画の構成を大きく変更することになった、など映画にまつわる数々のエピソードをお話いただきました。

  会場からは「撮影中、福島さんに怒られなかったのですか。」との質問があり、長谷川監督から「被写体を真正面から受け止めるという覚悟がカメラマンの撮影を通じて福島さんに伝わったのか、一度も怒られたことはありませんでした。福島さんには被写体との向き合い方や人を撮ることがどういうことかなどを教わり、それは学校みたいなもので非常に充実した時間でした。」との回答がありました。また、次の質問「福島さんの写真には、国家への批判が込められているが、どう感じられましたか。」では、「福島さんの原動力は中村杉松さんから「敵を取ってくれ」と頼まれたことです。三里塚闘争や山口県祝島の原発設置反対運動など、どの現場でも中村杉松さんのような人を見つけ、その人に寄り添いながら悲しみを感じ、取材や撮影をしていたようです。福島さんはよく自分は「私怨」で動かされているといっていました。」とご回答いただきました。

 本イベントの開催につきましては、本学への爆破予告にともない会場、開始時刻を変更しての実施となりました。突然の変更となり多くの方へご迷惑とご不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
 最後に、アンスティチュ・フランセ関西およびKYOTOGRAPHIE関係者のみなさまのご協力により無事に開催することができましたことをこの場を借りて御礼申し上げます。

 

長谷川監督(右)と川村教授(左) 熱心に聞き入る満席の会場
 ▲長谷川監督(右)と川村教授(左) ▲熱心に聞き入る満席の会場

 


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