映画『憲法を武器として―恵庭事件 知られざる50年目の真実』上映会&ゲスト対談を開催しました!

 

映画『憲法を武器として―恵庭事件 知られざる50年目の真実』上映会&ゲスト対談を開催しました!

 

会場の様子

 

 

 5月2日(水)、立命館大学国際平和ミュージアム平和教育研究センター主催による映画『憲法を武器として―恵庭事件 知られざる50年目の真実』(監督 稲塚秀孝/2017年/110分)の上映会を14時半からと18時からの2回開催しました。16時半からは、監督の稲塚秀孝氏と弁護士の内藤功氏をお招きし、本学国際関係学部教授の君島東彦先生を司会に対談を行いました。
 本作は、1962年12月、北海道恵庭にある陸上自衛隊・島松演習場で通信線が切断される事件が起き、隣接する野崎牧場の兄弟が自衛隊法121条に違反すると起訴された「恵庭裁判」を現在の視点で描いた作品です。自衛隊が違憲か合憲かで争ったことで注目されたこの裁判を改めて掘り起こし、再現ドラマ(法廷劇)と関係者のインタビューをまじえて製作されました。
 1回目の上映後に行われたゲスト対談では、まず監督の稲塚氏から、1967年の判決を新聞で見た高校生の時、野崎兄弟に話を聞くために恵庭へ行った経験が映画製作のきっかけとなったこと、製作にあたっては関係者へのインタビュー調査や北海道平和委員会に残っていた全公判記録を読解したことなど、判決から50年目の2017年本作公開に至ったプロセスをお話いただきました。
 次に、恵庭裁判をはじめ砂川事件、長沼訴訟など米軍・自衛隊基地関連の裁判への参加歴を持つ内藤氏から、弁護団の一員として携わった恵庭裁判の経緯を説明いただきました。結果的に自衛隊の違憲判断を回避した無罪判決となったが、野崎兄弟を憲法の力で守ったという意味で価値があり、長沼訴訟につながることを鑑みても、“憲法が国民のくらしを守る武器であること”を示した裁判であったと当時を振り返りました。
 司会の君島先生からは、戦後、自衛隊の存在と憲法が問われた最初の事件であったことをふまえた上で、北海道内や全国各地での世論の後押しがどれくらい影響したか、「肩すかし判決」といわれているが広い文脈では「勝利」だったのか、この裁判以降、憲法学の中では自衛隊の憲法判断は回避するという流れになったといわれているがどう思うか、などお二人への質問をまじえて進行いただきました。
 最後に稲塚氏からは「改憲への議論が進む今、事件のことを多くの人に知ってもらうために製作した、本作をもっと広めていきたい」との抱負も語られました。
 当日は、5月3日の憲法記念日前日ということもあり、170名近い方々にご来場いただきました。
 上映会をとおして1960年代に起きた恵庭事件とその裁判の経緯を知り、自衛隊基地の存在が隣接して生活する人々にとって身近な問題であることや、今まさに議論が行われている改憲の争点のひとつとなっている自衛隊と憲法について考える良い機会となりました。
 今回の企画開催にあたって、後援いただきました京都平和委員会の皆さまには多大なご尽力を賜りました。この場を借りて感謝申し上げます。


▲稲塚秀孝監督

▲内藤功弁護士

 
▲君島東彦本学国際関係学部教授  


 


ページの先頭へ