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Special Interview 2 : Takashi Higashi 「自分らしさ」を、社会の中で活かせる人物に。 採用担当者が考える社会人としての力。 ◎スペシャルインタビュー 三井住友銀行 人事部 採用グループ長 東 学史さん

激変する社会だからこそ多様な人材が求められる。

現在の日本は、政府が掲げる成長戦略に対する取り組みを受けて、大手企業を中心に好調な業績を上げている一方で、社会情勢を見ると少子化・高齢化の進行により生産年齢人口が大幅に減少しています。日本人の内需が縮小していくことが予想される中で、多くの企業は引き続き需要が活発なアジア諸国へ目を向けています。私が入行した1999年当時は、企業の海外進出というとメーカーが中心で、その主たる理由も製造コストを下げることにありました。しかしながら、近年ではサービス業、小売業、不動産業など非常に幅広い業種の企業が、海外の個人需要を獲得するために海外展開をするケースが増えています。

このような変動の大きい社会・経済状況において、私たちが求める人材イメージを表すスローガンは「君ならでは、を世界へ」です。三井住友銀行は国内外に法人・個人のお客様を持ち、業務内容も営業・企画、新規事業の開拓など、非常に多岐にわたります。世界中におられるお客様一人ひとりのニーズにお応えするためにはどうすればいいか? その答えはダイバーシティ、すなわち多様な人材のいる組織にすることです。一つの採用基準があるわけでもなければ、特定のスキルを持つ人だけを採用するということはありません。それぞれが持つ強み・弱み、その人ならではの魅力を見極めながら、人物評価を行っています。

社会人として求められる四つの力とは?

私は、社会人にとって重要な力は四つあると考えています。

一つ目は「絆をつくる力」です。一従業員として同僚・上司、そしてお客様方と信頼関係を結び、しっかり絆を築く力が求められます。銀行のみならず、すべての企業にはいろいろな社員がおり、また取引を行うお客様にもさまざまな方がおられます。たとえば三井住友銀行には、100年以上に渡ってお取引をしてきたお客様がおられます。そのお客様との絆は、これまで銀行で働いてきた先輩方が築き上げてきたものです。その絆を次の世代へと引き継ぐことができるように、お客様との間で深い信頼関係を築くことはとても大切だと思います。

二つ目は「覚悟を持つ力」です。銀行においては、お客様の大切なお金をお預かりし、進むべき方向性を共に考えるという責務があります。困難に直面する時もありますが、お客様と一緒に乗り越えていくには覚悟を持たなければいけません。これもまた、銀行に限らずあらゆる企業活動において必要とされる力だと思います。

三つ目は「チャレンジする力」です。学生のみなさんも多くのことにチャレンジしてきたと思います。しかし、社会人になるとまたゼロから、今まで出会ったことのない人に関わり、新たなことに取り組まなければいけません。銀行では、グローバルに展開する企業から、国内を中心に事業展開する企業、そして幅広い年齢層の個人のお客様とのお取引があります。これらのお客様のニーズに応えるには幅広い知識が必要です。社会人として自己成長を続けるために、スキルを磨き、知識を身につけようとチャレンジする力も大切だと思います。

私自身も、法人営業を担当していた時には、お客様の業務内容だけではなく、その業界全体を学び、さらには経済情勢を見渡して業界の進むべき方向性を見極めた上で、お客様の進むべき道を考えるというチャレンジを続けてきました。

最後の一つは「個性を活かす力」です。社会に出て、多くの人と関わりながら仕事をするためには、自分自身の個性だけでなく周囲の個性を受け入れ、同じ目標に向かって走ることも必要です。強い組織は、それぞれの個性を受け入れることから作られていくのです。

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[絆]同僚・上司・顧客と信頼関係を築く。 [個性]自分だけでなく周囲の個性も受け入れる。 [覚悟]困難に直面しても乗り越えていく覚悟を持つ。 [チャレンジ]新しい人に関わり、新しいことに取り組む。

それぞれの強みを活かし合い、弱みを支え合うのが社会生活です。

自分に自信を持つために個性を磨く。

採用活動の中でたくさんの学生に会って感じたのは、海外留学など海外を視野に入れて学生生活を過ごしている人がとても多いということです。さまざまな業種の企業がグローバル展開をする中で、個人としてもグローバルな視点を持っていることは大きな強みになると思います。また、海外留学では諸外国の人々とのコミュニケーションを通していろんな気づきを経験するなど、成長の過程が見受けられる学生が多かったことも印象に残っています。

その一方で、周囲との軋轢を生まないことを意識し過ぎるがゆえに、真面目で小さくまとまってしまっている学生もやや多い気がしています。調和を持って行動しようとする気持ちを持つことは良いのですが、そのことを気にし過ぎて自分らしさを見失ってしまうことになると逆効果です。やはり仕事をする中で活きてくるのは、何よりも自分らしさだと思います。自分自身に自信を持てるような個性をぜひ磨いてください。自分のやってきたことに自信を持っている学生は、堂々と自分のことを話すことができるものです。これだけは誰にも負けないということを、一つでも持っておくと良いのではないでしょうか。

社会人になってからも、人それぞれに強みや弱みというものはありますが、一人ひとりがそれぞれの強みを活かし合い、弱みを支え合うのが社会生活なのです。

採用スケジュールが変更されても大切にするべきこと。

2015年、採用選考活動開始が4月から8月に変更されたのは「学業に支障を来さないように」という配慮からだったと認識しています。しかし、結果として8月以前にも選考を行う企業があったため、学生にとっては単純に就職活動が長期化するという事態を招いてしまいました。今年の状況を踏まえて、来年には採用選考活動開始を6月にする案も出ていますが、すでに留学などの予定を入れている人もおられるでしょうし、個人的には短期的な見直しには疑問を感じております。

しかしながら、再度の採用スケジュール変更があった場合、来年は3月に広報開始、6月に採用選考活動開始となり(※今年は従来通り3月に広報開始、8月に採用選考活動開始)、志望業界を絞り込むための時間が2ヶ月短くなることになり、より早くからできるだけ多くの情報を積極的に入手することが大事になるでしょう。

たとえば、大学で用意されている業界研究セミナーや企業研究セミナーなど、大学で企業情報を入手できるのは素晴らしい機会です。さまざまな機会を有効活用して、いち早く幅広い情報に触れながら、ご自身の志望業界を絞り込んでいくべきだと思います。

一方で、スケジュール変更にかかわらず、大切にしてほしいこともあります。学生の間でないとチャレンジできないことに積極的に取り組み、人間としての「器」を広げるような努力、経験を積んでもらいたいと思います。「器」を広げるには、苦手なことや「自分の実力では無理だと思うこと」にこそ、自分らしく勇気を持ってチャレンジすることが必要です。チャレンジの結果として経験する数多くの失敗も、自分の将来のためと前向きに捉えながら、さまざまな経験を積んでほしいですね。

社会に出ると、今までの人生になかった多くの刺激や知識といったものが、どんどん自分の中に流れて込んできます。人間としての器が大きければ大きいほど、その刺激や知識を受け止め、吸収することができ、さらに多種多様な経験を積む機会に対応することが可能となります。そしてその経験を経て、新たな自分に出会うことができると思います。

自分の進むべき道を選ぶ子どもの姿を見守ってほしい。

就職活動は、学生にとって非常にストレスの多いものです。企業や業界の情報を収集して読み解き、幅広い業界の中から、「自らの歩むべき道」を自らの意思で決めていくのは大変な作業です。しかも、就職活動は100%うまくいくとは限りません。ときには志望企業に落ちるなどの挫折を経験することもあろうかと思います。ご両親には、ぜひ、お子さんが落ち込んでいる時には支えになってあげてほしいと思います。

しかし、支えになるといっても、ご自身の思いだけでアドバイスをしたり、あまり干渉し過ぎると、子どもから反発を受けることになるかもしれません。私自身を振り返っても、親からのアドバイスが逆にストレスになってしまった記憶があります。お子さんが就職活動で悩んでいる時には、ひとつひとつの行動に対してアドバイスしようとするのではなく、大局を見て「何をやりたいか?」「どんな仕事をしたいのか?」という原点へと戻るように促すのがいいのではないでしょうか。

先程も申し上げましたが、就職活動は、自らが「自らの歩むべき道」を決めることであり、決める過程で重要なのは、過去の自分・現在の自分・将来の自分を理解することだと思います。いわゆる「自己分析」です。この自己分析は、当たり前のように感じるかもしれませんが、非常に重要なことであり、この作業をしっかりと行うことで、自分に合った働き方やフィールドが見えてくるはずです。

過去・現在・将来の自分を理解する際には、周りからの意見も参考になります。ご両親は最も長い時間をかけて、最も身近な距離からお子さんを見守ってきた存在です。ご両親の視点から「周りから見た自分」を伝えるというサポートの形もあり得るのではないでしょうか。

何と言っても一番大切なのは、お子さんが自分の意志で進むべき道を決めることです。落ち込んでいても、お子さんを信じて今までどおり温かく見守っていただければと思います。

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仕事で活きるのは「自分らしさ」。自分に自信を持てる個性を磨いてほしい。

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東 学史さん
三井住友銀行人事部採用グループ長。1999年入行。支店勤務や法人営業を担当した後、2014年から人事部へ。2015年より現職に就き、西日本全域の人事採用に携わる。

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