●衣笠エクステンションセンター政治家養成講座と報道・ジャーナリスト講座における安倍晋三氏特別講演会について

2004年12月4日(土)、本学衣笠キャンパスにおいて、衣笠エクステンションセンター政治家養成講座と報道・ジャーナリスト講座における授業の一環として、自民党幹事長代理である安倍晋三氏の特別講演会「これからの日本−日米関係・北朝鮮」を開催しました。講演会には講座の受講生を中心に約500名の学生が参加し、学生にとってはこれからの日本の政治を考える重要な契機となりました。なお、この講座では、これまでにも民主党の菅直人氏やジャーナリストの筑紫哲也氏など様々な立場の政治家、ジャーナリストを講師に招き、学生が多様な視点から物事を考えることができるようにしています。



●学外者を含む本学学生・院生による一連の事態について

一部の本学学生、院生および学外者が、講演会の数日前から安倍晋三氏の政治信条や政治家としての言動をとらえて、安倍氏の「来学阻止」を目的とする抗議・宣伝行動を行っていました。講演会の当日も十数名の集団が授業中の大学構内において無許可で抗議・宣伝活動を行いました。当日は、安倍氏の講演会の他にも授業やイベントが多数行われており、大学は、彼らの行動が授業等の妨害になると判断し、彼らに対して授業中であることを説明するとともに、大学構内での活動をやめるよう再三注意しましたが、彼らはそれを無視して、大学構内でビラ撒きや大声での宣伝、ハンドマイクを使用するなどの授業妨害にあたる行動を続けました。大学における授業と学生の学ぶ権利を守るために、大学職員が毅然とした態度で彼らに注意を繰り返しました。
 学問の府である大学において、主義・主張が異なる場合は、議論を尽くして一致点や相違点を見出し、真理を探究していく姿勢が求められます。講師の意見や考え方を建設的に批判することは当然の自由ですが、講師の政治的立場や思想信条を理由にその講師を誹謗中傷したり、授業そのものを阻止しようとする行動は、学問の自由や学生の学ぶ権利を侵害することになります。
 この点からも授業を妨害しようとした彼らの行動をこそ厳しく批判しなければなりません。



●12月5日付京都新聞の報道について

12月5日付京都新聞の朝刊に「学生ら約二十人が抗議活動を展開、これを大学職員が妨害するなど学内は一時騒然とした。」との記事が掲載されました。また、同じ記事内で「『ビラを配るな』『この大学に言論の自由はないのか』など怒号が飛び交い、警官隊に学生らが押し出される一幕もあった。」と記載されました。
 この新聞報道には、次の点で重大な問題があります。
第一に、学生の活動を「大学職員が妨害した」とする記事内容は、事実とは全くの正反対です。上述の通り、大学職員は、大学の授業を妨害し、学生の学ぶ権利を侵害しようとしていた一部諸君の行動を制止したものであり、その行動を「妨害」と記載し、あたかも大学職員が学生の言論を弾圧したかのように表現することは新聞の読者に誤解を与え、大学のイメージを大きく傷つけるものだと言わざるを得ません。実際、新聞報道を読んで誤解した読者や本学卒業生、在学生父母から、大学に対する抗議、苦情が寄せられました。
 第二に、「警官隊に学生らが押し出される一幕もあった」との記載により、あたかも大学が国家権力を使って学生を大学の外に排除したかのように受け取れる表現となっていますが、実際は一部の者が公道上(大学の外)で帰路につこうとする安倍氏の車両を取り囲んだために、大学構外で待機していた警官隊が、安全を確保するために彼らの行動を阻止したものです。