立命館孔子学院の開設について
                   
2005年6月28日 学校法人立命館  

 立命館学園は戦後、第二次世界大戦と十五年戦争に対する深い反省に立ち、憲法と教育基本法に基づく「平和と民主主義」を教学理念として掲げました。その後、幾多の困難を乗り越えて1953年に「わだつみ像」を建立し、1992年に世界の大学ではじめて「国際平和ミュージアム」を設置するなど、建学の精神「自由と清新」と教学理念を、実際の教育や研究に生かすために様々な取り組みを行ってきました。
 2000年には、21世紀の来るべき地球社会を展望した際に、「アジア太平洋地域の平和的で持続可能な発展と、人間と自然、多様な文化の共生が不可欠である」との認識から、アジア太平洋の未来創造に貢献する有為な人材の養成と新たな学問の創造を行うため、学園創立100周年事業として、大分県別府市に立命館アジア太平洋大学(APU)を創設しました。
 現在立命館は中国の37大学と交流協定を締結しており、中国から、立命館大学で438名、立命館アジア太平洋大学で338名の計776名の留学生が学んでいます。短期も含む中国への留学生は、立命館大学で58名、立命館アジア太平洋大学で33名の計91名となっています。
 また、政府開発援助(ODA)による中国内陸部人材育成事業の一環として、円借款を実施する国際協力銀行との協力により、「中国の大学管理運営幹部特別研修」を行っています。この特別研修は既に5回行われており、2004年8月の重慶市の31名を皮切りに、大学管理運営幹部ならびに省の教育庁の高等教育担当者ならびに財政庁の幹部を含め1市4省37大学140名の方々を受け入れています。
 このような、長い友好の経緯を通じて構築してきた信頼関係により、このたび、中国政府が、漢語と中国言語文化の普及のために、世界各地に大学等と連携して設置する孔子学院の日本での設立を立命館と合作で行うこととなりました。 同時に、「立命館」の由来が、中国の古典「孟子」の盡心章(じんしんしょう)の一節であることにちなんで、中国政府のご厚意により、中国政府新聞弁公室より孟子像をご寄贈いただくこととなりました。
 立命館孔子学院の本部は、大学が果たすべき社会的責任を自覚し、アジア諸国との提携により平和を構築することを目的に、1992年に設立した「立命館大学国際平和ミュージアム」がある「アカデメイア立命21」の中に設置します。このことは、本学が誠実に過去の歴史と向き合うとともに、学術機関らしい方法で未来に向かって平和を構築する役割を果たすことに加え、学術研究分野においても平和を基礎に世界各国とりわけアジア太平洋地域との国際的交流を推進していくセンターとしての役割を果していくための重要な営みになると考えています。
 現在の日中国交回復以降、最大ともいえる困難な日中関係の下においても、立命館学園は学術機関としての立場から、長期的視野にたって日中の交流を促進するための取り組みを進めてきました。
 今回の立命館孔子学院の開設、孟子像の受贈は、立命館学園にとっては、中国の個々の大学との協力関係の樹立にとどまらず、立命館の自主性を前提に中国の政府機関との恒常的な提携関係を確立し、新たな日中交流を築く礎となります。学術研究機関として引き続き民間草の根外交を通じて、日本と中国の友好関係を促進していきたいと考えています。



立命館孔子学院の概要

設置形態:
 学校法人立命館とは別に、学校法人もしくは特定非営利活動法人(通称NPO)が運営する学校とし、「立命館孔子学院」として設置する。

設置場所:
 立命館孔子学院の本部は、立命館大学国際平和ミュージアムが設置されている「アカデメイア立命21」の中に設ける。

当面の開講講座:
 学生対象講座
   中国語講座の開講(10月)
   中国語を履修している学生に対して漢語水平試験(HSK)対策講座の開講
 社会人対象講座
   中国に関するセミナー開催
   広く市民向けの中国語講座の開催
   既存の語学学校の中国語講師を対象とした中国政府認定の漢語能力検定試験対策講座の開講

以 上