立命館大学
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2006年12月  学校法人立命館 常任理事会

APU日本語常勤講師の契約期間満了をめぐる
大分地方裁判所の「決定」について


 標記について、常任理事会の見解をお届けします。

1.立命館アジア太平洋大学(APU)の日本語常勤講師の契約期間満了による雇い止めをめぐって当該元常勤講師から申し立てられていた「地位保全等仮処分命令申立事件」について、大分地方裁判所は、11月30日、「債権者(注・元常勤講師)の申立をいずれも却下する」との「決定」を出し、立命館による雇い止めが正当であることを認めました。

2.今年(2006年)5月18日の仮処分申立以来、裁判所は、計5回の審尋を行いました。この間に、債権者側(元常勤講師)は「主張書面」を6回、「証拠資料」を44号提出し、債務者側(立命館)は、「主張書面」を9回、「証拠資料」を92号提出しています。約半年をかけた審理の結果、裁判所は、元常勤講師側の申立を全て認めない「決定」を出しました。

3.「決定」は、以下の3点において極めて重要な意義を持つ内容となっています。
 第1に、APUの「常勤講師」制度において、「任期4年」としていることについて、「決定」は、「債権者と債務者が交わした本件労働契約は、任用期間が4年、雇用期間が1年という期間の定めのある契約であり、契約締結の経過等に鑑みると、ここにいう任用期間とは、雇用保障期間と解するのが相当である」と判断し、本件労働契約は旧労働基準法に抵触せず適法であるとしました。
 第2に、「決定」は、「債務者が、学生定員の増員を図りつつ教育の質の向上を図るため、教員組織整備計画のもと、常勤講師の職位を廃止したことは必要性・合理性が認められる」と判断し、APUが、ニューチャレンジの展開にともなって、常勤講師を廃止し、上級講師および嘱託講師の制度を導入したことが正当であることを認めました。
 第3に、「決定」は「債務者が債権者を任用期間満了に伴って雇い止めしたことは、解雇権の濫用に当たらない」と判断しました。
 これらは、立命館の主張を全面的に認めたものです。

4.一方で、事実経過については、裁判所が、元常勤講師側の主張を認めた部分があります。それは、APU開学前の1999年10月24日に開催されたAPU日本語講習会において、当時立命館大学言語教育センター長であった教授が、「4年後の更新について知りたい」との質問に対して「一応任期はあるが、本人が望めば60歳の定年まで更新ができる。2期目に入っても昇進・昇給はない。この繰り返しで何回更新しても昇進・昇給はないが、それでも良ければどうぞ定年まで働いてください」との趣旨の説明を行ったというものです。これについて立命館側は、同教授がそのような説明をした事実はなく、4年間の期間満了後の再契約については、APUが公募をした場合にこれに応募して採用が決定されれば可能であることを説明したにすぎないと主張しましたが、裁判所の理解は得られませんでした。

5.しかしながら、裁判所は、そのような事実を前提にしても、労働契約の期間中に元常勤講師側に雇用の継続を期待させる事情は「一度だけの軽率な発言のみ」であって、日本語常勤講師については希望があれば当然に雇用期間を更新することができるようにすると立命館が機関決定した事実はないこと、本件日本語講習会において労働契約の内容を変更するような重要な事項を扱うことが予定されていなかったこと、常勤講師は「契約期間の定めのある雇用形態であることが規程に明記されている」ことなどを理由に、元常勤講師側の申立をすべて却下しました。

6.この問題についてはマスコミに報道されたことでもあり、ご心配をおかけしましたが、立命館の対応が正当であったことについて裁判所が認めたことを踏まえて、みなさんが理解を深められるよう願うものです。