「京都アート・エンタテインメント創成研究」最終成果公開シンポジウム開催
2月19日(月)と20日(火)の2日間にわたり、立命館大学21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」最終成果公開シンポジウム「京都アート・エンタテインメント研究の挑戦〜日本文化研究のグローバルハブ構築のために〜」が開催された。このシンポジウムは、2002年に始まった立命館大学21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」の5年間の研究の到達点を確認し、研究活動の方向性を広く国内外に知ってもらうための総仕上げとして企画されたものである。
立ち上げ当初から能や狂言など京都の伝統的な実践家の協力のもと、最先端のデジタル技術と京都の文化や芸能を融合させて世界に発信する取り組み(歴史絵巻を元にした三次元バーチャル空間の創造、古都の町並み疑似体験シミュレーション、能楽や日本舞踊の動きのデータ化など)を展開し、この分野では類を見ない成果を上げることに成功してきた。
1日目には、京都観世会館において能楽師・片山清司氏による能の上演、ならびに金田章裕氏(京都大学教授)、原島博氏(東京大学教授)、熊倉功夫氏(林原美術館館長)による招待講演が行われた。その後、各研究プロジェクト代表者による発表では、赤間亮・文学部教授が浮世絵資料のデジタルアーカイブ活動への取組みを、八村広三郎・情報理工学部教授が舞踊等の無形文化財を対象としたモーションキャプチャをテーマに5年間の研究活動を発表した。
2日目の20日(火)は、衣笠キャンパスにおいて、引き続き各研究プロジェクト代表者の発表があり、川嶋將生・文学部教授、矢野桂司・文学部教授、田中弘美・情報理工学部教授が行った。
シンポジウムで川嶋氏は、宸翰様書風の到達点に言及しながら、「今後は書体・字体・字形を、デジタル技術を駆使しながら分析していく」と将来的な展望を語った。また、矢野氏は、参加者の前にバーチャル空間を映し出し、「時・空間情報のデータベースを作成することで、地理情報から多角的な分析が可能になる。今後は、それらを利用し、新たなエンタテインメントの構築など、様々な分野に関する応用研究を進めていきたい」と述べた。また、文化財の3次元モデルに関して発表した田中氏は、リアルな映像制作の過程を解説しながら、「実物ではなくバーチャルで映像を作ることで、様々なニーズへの対応が実現する」と話した。その後、質疑応答が行われ、2日間にわたるシンポジウムは盛況のうちに幕を閉じた。
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